最判平成5年10月19日
元請契約に「中途解除時の出来形部分は注文者に帰属する」との約定があれば、材料を出した一括下請負人の施工分も原則として注文者に帰属する
出題:司法H29・司法R6・予備H29
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成1(オ)274 建物明渡等
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 民集 第47巻8号5061頁
- 参照法条
- 民法632条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
建物建築工事の注文者と元請負人との間に出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合と一括下請負人が自ら材料を提供して築造した出来形部分の所有権の帰属
裁判要旨
建物建築工事の注文者と元請負人との間に、請負契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合には、元請負人から一括して当該工事を請け負った下請負人が自ら材料を提供して出来形部分を築造したとしても、注文者と下請負人との間に格別の合意があるなど特段の事情のない限り、右契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する。
解説
事案
注文者X(上告人)は、建設業者D建設との間で、X所有地上に建物を建築する請負契約(元請契約、代金3500万円)を結んだ。この契約には、注文者は工事中に契約を解除でき、その場合の出来形部分は注文者の所有とする条項があった。D建設は、Xの承諾を得ないまま、工事を建設業者Y(被上告人)に一括して下請させた(代金2900万円)。下請契約には所有権帰属の明示の約定はなかった。
Yは自ら材料を提供して施工したが、基礎工事と鉄骨構造が完成し、出来高26.4%の段階で工事を取りやめた(本件建前)。この時点でXはD建設に計1950万円を支払済みであった。一方、D建設は自己破産し、Yは下請代金を全く受け取れなかった。
Xは元請契約を解除し、別業者Eに本件建前を基に建物を完成させ、所有権保存登記をした。YはXに対し、民法246条・248条に基づく償金を請求した。原審は、元請契約の約定はYを拘束せず、本件建前は材料提供者であるYに帰属するとして、765万6000円の支払を命じた。
争点
- 注文者・元請負人間の「中途解除時の出来形部分は注文者に帰属する」旨の約定の効力が、一括下請負人に及ぶか
- 一括下請負人が自ら材料を提供して築造した出来形部分の所有権は、元請契約解除時に誰に帰属するか
判旨
原判決破棄・自判(Yの償金請求棄却)。
規範:建物建築工事請負契約で、注文者と元請負人との間に「契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する」旨の約定がある場合に、契約が中途で解除されたときは、出来形部分の所有権は注文者に帰属する。元請負人から一括して工事を請け負った下請負人が自ら材料を提供して築造したときでも同じである。例外は、注文者と下請負人との間に格別の合意があるなどの特段の事情がある場合に限られる。
あてはめ:次の事情からすれば、Xへの帰属を肯定すべき事情こそあれ、否定する特段の事情はない。
- 一括下請負にXの承諾がない
- XはD建設の倒産まで下請契約の存在すら知らなかった
- Xは解除前に、本件建前価格の2倍以上の代金をD建設に支払っていた
したがって、Xは約定により解除時に本件建前の所有権を取得した。所有権がYにあることを前提とする償金請求は理由がない。
判決文から
「注文者と下請負人との間に格別の合意があるなど特段の事情のない限り、当該出来形部分の所有権は注文者に帰属すると解するのが相当である。」
結論と例外(特段の事情)の定式
「建物建築工事を元請負人から一括下請負の形で請け負う下請契約は、その性質上元請契約の存在及び内容を前提とし、元請負人の債務を履行することを目的とするものであるから」
下請契約の従属性という理由づけの前提
「下請負人は、注文者との関係では、元請負人のいわば履行補助者的立場に立つものにすぎず、注文者のためにする建物建築工事に関して、元請負人と異なる権利関係を主張し得る立場にはないからである。」
履行補助者的立場という核心の理由
「元請契約は親亀であり、下請契約は親亀の背に乗る子亀である。」
補足意見の有名な比喩
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
