成田新法事件
行政手続にも憲法31条・35条の保障が及びうるとしつつ、事前手続や令状の要否は総合較量で決まるとした大法廷判決
出題:司法H25・司法H29・司法R4・司法R7・司法R8・予備H30・予備R4・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 昭和61(行ツ)11 工作物等使用禁止命令取消等
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 民集 第46巻5号437頁
- 参照法条
- 新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和59年法律第87号による改正前のもの)3条1項,新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和59年法律第87号による改正前のもの)3条3項,憲法21条1項,憲法22条1項,憲法29条1項,憲法29条2項,憲法31条,憲法35条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和五九年法律第八七号による改正前のもの)三条一項一号と憲法二一条一項 二 新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和五九年法律第八七号による改正前のもの)三条一項一号と憲法二二条一項 三 新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和五九年法律第八七号による改正前のもの)三条一項一、二号と憲法二九条一、二項 四 新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和五九年法律第八七号による改正前のもの)三条一項一、二号と憲法三一条 五 新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和五九年法律第八七号による改正前のもの)三条一、三項と憲法三五条
裁判要旨
一 新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和五九年法律第八七号による改正前のもの)三条一項一号は、憲法二一条一項に違反しない。 二 新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和五九年法律第八七号による改正前のもの)三条一項一号は、憲法二二条一項に違反しない。 三 新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和五九年法律第八七号による改正前のもの)三条一項一、二号は、憲法二九条一、二項に違反しない。 四 新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和五九年法律第八七号による改正前のもの)三条一項一、二号は、憲法三一条の法意に反しない。 五 新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和五九年法律第一八七号による改正前のもの)三条一、三項は、憲法三五条の法意に反しない。 (四につき意見がある。)
解説
事案
新東京国際空港の建設に反対する上告人とその支援者である過激派等の実力闘争が続いた。供用開始直前には、過激派集団が空港内に火炎車を突入させ、管制塔の航空管制機器を破壊する事件が起きた。これを受けて、議員提案により「新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法」(本法)が成立した。
本法3条1項は、規制区域内の工作物が次の用に供され、または供されるおそれがあると認めるとき、運輸大臣が所有者等に期限付きで使用禁止を命じうるとしていた。
- 1号:多数の暴力主義的破壊活動者の集合の用
- 2号:爆発物・火炎びん等の製造・保管の場所の用
- 3号:航空機の航行妨害の用
同条3項は、命令後の職員の立入り・質問を定めていたが、事前の告知・聴聞の規定も、立入りに令状を要する規定もなかった。
運輸大臣は、上告人所有の鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物(通称「横堀要塞」)について、1号・2号の用に供することを禁止する命令を期間を区切って発した。上告人は、各命令の取消しと国に対する請求を求めて訴えを提起し、本法の違憲(憲法21条1項、22条1項、29条、31条、35条)を主張した。
争点
- 本法3条1項1号による集会の禁止は憲法21条1項に違反するか(過度の広範性・不明確性を含む)
- 工作物使用禁止による居住の制限は憲法22条1項に違反するか
- 3条1項1号・2号の使用禁止は憲法29条1項・2項に違反するか
- 事前の告知・弁解・防御の機会を与えない使用禁止命令は憲法31条の法意に反するか
- 令状なしの立入り(3条3項)は憲法35条の法意に反するか
- 使用禁止期間が経過した命令の取消訴訟に訴えの利益があるか
判旨
本法3条1項1号は憲法21条1項・22条1項に、同項1号・2号は憲法29条1項・2項に違反せず、憲法31条の法意にも反しない。同条1項・3項は憲法35条の法意に反しない。期間が経過して効力を失った命令の取消訴訟は、訴えの利益が消滅したとして却下された。
- 集会の自由:公共の福祉による必要かつ合理的な制限を受ける。その是非は、制限が必要とされる程度と、制限される自由の内容・性質、具体的制限の態様・程度等を較量して決める。
- 憲法31条:行政手続であるとの理由のみで当然に保障の枠外とはならない。もっとも、事前の告知・弁解・防御の機会を与えるかは、制限される権利利益の内容・性質・制限の程度と、処分で達成しようとする公益の内容・程度・緊急性等を総合較量して決すべきであり、常に必要なわけではない。
- 憲法35条:行政手続上の立入りに常に令状を要するわけではない。行政目的達成に欠くべからざるものか、刑事責任追及の資料収集に直接結び付くか、強制の程度・態様が直接的か等を総合判断して令状の要否を決める。
判決文から
「憲法三一条の定める法定手続の保障は、直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続については、それが刑事手続ではないとの理由のみで、そのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは相当ではない。」
行政手続にも31条が及びうることを認めた部分
「行政処分の相手方に事前の告知、弁解、防御の機会を与えるかどうかは、行政処分により制限を受ける権利利益の内容、性質、制限の程度、行政処分により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等を総合較量して決定されるべきもの」
事前手続の要否に関する総合較量の規範
「常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではないと解するのが相当である。」
告知・聴聞が常に必要とはされない点(短答頻出)
「集会は、国民が様々な意見や情報等に接することにより自己の思想や人格を形成、発展させ、また、相互に意見や情報等を伝達、交流する場として必要であり、さらに、対外的に意見を表明するための有効な手段であるから」
集会の自由の意義の定式
「制限が必要とされる程度と、制限される自由の内容及び性質、これに加えられる具体的制限の態様及び程度等を較量して決めるのが相当である」
集会の自由制約の違憲審査の枠組み
「「暴力主義的破壊活動を現に行っている者又はこれを行う蓋然性の高い者」の意味に解すべきである。」
限定解釈で広範性・不明確性を否定した点
「当該立入りが、公共の福祉の維持という行政目的を達成するため欠くべからざるものであるかどうか、刑事責任追及のための資料収集に直接結び付くものであるかどうか、また、強制の程度、態様が直接的なものであるかどうかなどを総合判断して」
行政手続における令状の要否の判断要素
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
