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東京予防接種禍訴訟控訴審判決

東京高判平成4年12月18日

予防接種禍に憲法29条3項に基づく損失補償請求権は生じないとし、厚生大臣の過失を認めて国家賠償で救済した

行政法損失補償経済的自由(職業選択・財産権)本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法H22・予備H29

裁判所
東京高等裁判所第一〇民事部
事件番号
昭和59(ネ)1517 損害賠償請求、同附帯控訴事件
判例集
第45巻3号212頁

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 予防接種による死亡又は健康被害に対する憲法二九条三項を根拠とする損失補償請求権の有無 二 厚生大臣に予防接種の禁忌者に予防接種を実施させないための充分な措置をとることを怠った過失があるとされた事例

裁判要旨

一 予防接種による死亡又は健康被害に対しては憲法二九条三項を根拠とする損失補償請求権は生じない。 二 国が予防接種を強制ないし勧奨するに当たり、厚生大臣は接種率を上げることに施策の重点を置き、副反応の問題にそれほど注意を払わず、禁忌に該当する者を識別除外するため適切な予診を行うにはほど遠い体制で予防接種を実施することを許容し、また接種を担当する医師や接種を受ける国民に対し予防接種の副反応や禁忌について周知を図らなかった等判示の事実関係の下においては、厚生大臣には予防接種の禁忌者に予防接種を実施させないための充分な措置をとることを怠った過失がある。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

種痘、腸チフス・パラチフスワクチン、百日せきワクチン(二種・三種混合を含む)、インフルエンザワクチン、ポリオ生ワクチンなどの予防接種を受けた乳幼児らが、死亡したり重篤な後遺障害を負ったりした。そこで、被害児62名とその両親らが国を相手に訴えを起こした。請求は、国家賠償法に基づく損害賠償と、憲法29条3項を根拠とする損失補償である。予防接種は、予防接種法による強制接種のほか、勧奨による接種も含んでいた。

原審(東京地判昭和59年5月18日)は損失補償請求を認容し、国家賠償請求の一部を棄却した。国が控訴し、被害者側も附帯控訴した。当審では、主に次の点が争われた。

  • ポリオ生ワクチンと脳炎・脳症との因果関係
  • 損失補償請求の可否
  • 厚生大臣の過失(強制接種の継続、若年接種、規定量の誤り、禁忌の設定、禁忌該当者の識別体制など)
  • 消滅時効・除斥期間
  • 損益相殺

争点

  • 予防接種による死亡・健康被害について、憲法29条3項を根拠に(類推適用を含む)損失補償請求ができるか
  • 厚生大臣に、禁忌該当者に予防接種を実施させないための充分な措置をとることを怠った過失(国家賠償法1条1項)があるか
  • 被接種者が禁忌該当者であったと推定できるか

判旨

結論

  • 予防接種による死亡・健康被害について、憲法29条3項を根拠とする損失補償請求権は生じないとした。原判決のうち損失補償に基づき支払を命じた部分は取り消した(損失補償請求と損害賠償請求は選択的併合の関係にあるため、損害賠償の認容額の範囲で当然失効するが、確認的に取り消すとされた)。
  • 国家賠償法1条に基づく損害賠償を認容した(被害児1名とその両親を除く)。

規範1(損失補償)
予防接種による死亡または健康被害については、憲法29条3項を根拠とする損失補償請求権は生じない。生命・身体は、補償を伴えば公共のために用いることが許されるという性質のものではないからである。したがって、29条3項の類推適用もできない。

規範2(厚生大臣の過失)
国は予防接種を強制または勧奨して実施していた。それにもかかわらず、厚生大臣には次の事情があった。

  • 接種率を上げることに施策の重点を置き、副反応の問題にそれほど注意を払わなかった。
  • 禁忌該当者を識別・除外するための適切な予診を行うにはほど遠い体制で、接種の実施を許容した。
  • 接種担当医師や国民に対し、副反応や禁忌について周知を図らなかった。

こうした事実関係の下では、厚生大臣には、禁忌者に予防接種を実施させないための充分な措置をとることを怠った過失がある。

判決文から

「損失補償請求と損害賠償請求とは選択的併合の関係にあるから」

両請求の訴訟上の関係を示す部分

「国家賠償法一条に基づく損害賠償として」

救済の根拠を国賠1条に置いたこと

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。