八鹿町土地改良事業事件
土地改良事業の工事・換地処分が完了し原状回復が社会通念上不可能でも、施行認可の取消しを求める訴えの利益は消滅しない
出題:予備R3・予備R6
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成2(行ツ)153 土地改良事業施行認可処分取消
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 民集 第46巻1号54頁
- 参照法条
- 行政事件訴訟法9条31条,土地改良法96条の2第1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
土地改良事業の工事等が完了して原状回復が社会通念上不可能となった場合と右事業の施行の認可の取消しを求める訴えの利益の帰すう
裁判要旨
町営の土地改良事業の工事等が完了して原状回復が社会通念上不可能となった場合であっても、右事業の施行の認可の取消しを求める訴えの利益は消滅しない。
解説
事案
D町営土地改良事業の施行認可処分について、上告人が取消訴訟を提起した。上告人の主張は次のとおりである。本件事業は、農業生産と直接結びつかない国道9号線バイパス新設のために土地改良法を利用・流用するものであり、同法2条2項各号の事業に当たらない。また、農業から商業への産業構造の転換を促すものにすぎず、同法施行令2条1号の必要性・同条6号の総合性を欠き違法である。
訴訟係属中に、事業計画に係る工事と換地処分はすべて完了した。投じられた費用は約2億7056万円、区画形質の変更は約42ヘクタールに及び、関係権利者100人の換地登記も完了し、上告人自身も2筆の換地を得ていた。
第一審は、原状回復は物理的に全く不可能とはいえないものの、社会的・経済的損失を考えると社会通念上法的に不可能であると判断した。そのため、認可を取り消しても違法状態を除去できず、訴えの利益はないとして訴えを却下し、原審もこれを支持した。
争点
- 土地改良事業の工事・換地処分が完了し、原状回復が社会通念上不可能となった場合に、施行認可処分の取消しを求める訴えの利益(行訴法9条1項)は消滅するか
- 原状回復の社会通念上の不可能性は、訴訟要件と本案(行訴法31条の事情判決)のいずれの段階で考慮されるべきか
判旨
結論:訴えの利益は消滅しない。原判決を破棄し、第一審判決を取り消し、神戸地裁に差し戻した。
規範
- 施行認可処分は、施行者に土地改良事業施行権を付与するものである。
- 認可後に行われる換地処分等の一連の手続・処分は、認可処分が有効に存在することを前提とする。
- したがって、認可処分が取り消されれば、換地処分等の法的効力が影響を受けることは明らかである。
- 訴訟係属中に工事・換地処分がすべて完了し、社会的・経済的損失の観点から原状回復が社会通念上不可能であるとしても、その事情は行訴法31条(事情判決)の適用に関して考慮されるべき事柄にすぎない。
- それは、取消しを求める法律上の利益を消滅させるものではない。
判決文から
「本件認可処分は、本件事業の施行者であるD町に対し、本件事業施行地域内の土地につき土地改良事業を施行することを認可するもの、すなわち、土地改良事業施行権を付与するものであり」
認可処分の法的性質(施行権の付与)の把握
「本件認可処分が取り消されるとすれば、これにより右換地処分等の法的効力が影響を受けることは明らかである」
後続処分への影響を根拠に訴えの利益を肯定
「右のような事情は、行政事件訴訟法三一条の適用に関して考慮されるべき事柄であって、本件認可処分の取消しを求める上告人の法律上の利益を消滅させるものではないと解するのが相当である」
原状回復不能は事情判決の問題と位置付けた核心
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
