最判平成30年12月14日
詐害行為取消しによる受益者の受領金支払債務は、判決確定時ではなく履行の請求を受けた時に遅滞に陥る
出題:司法R5・司法R6
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成30(受)44 旧取締役に対する損害賠償,詐害行為取消請求事件
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第72巻6号1101頁
- 参照法条
- 民法412条3項,民法424条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
詐害行為取消しによる受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務が履行遅滞となる時期
裁判要旨
詐害行為取消しによる受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務は,履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。
解説
事案
被上告人Xは、Aに対して約37億6000万円の損害賠償債権を有していた。Xは詐害行為取消権に基づき、次の請求をした。
- 受益者Y1に対しては、AがY1から株式を代金1億6250万円で購入する契約の取消しと、受領済み代金相当額の支払
- 受益者Y2に対しては、AがY2に1億2000万円を贈与する契約の取消しと、受領済み贈与金相当額の支払
いずれも、あわせて訴状送達の日の翌日からの遅延損害金の支払を求めた。原審は、訴状送達の日の翌日からの遅延損害金を認めた。Yらは、受領金支払債務は詐害行為取消判決の確定によって生ずるのだから、確定前に履行遅滞に陥ることはないとして上告受理を申し立てた。
争点
- 詐害行為取消しによる受益者の取消債権者に対する受領金支払債務は、いつ発生するか(判決確定時か、受領時に遡るか)
- 同債務はいつ履行遅滞に陥るか。判決確定前の履行の請求(訴状送達)は民法412条3項の「履行の請求」に当たるか
判旨
上告棄却。
- 規範:詐害行為取消しによる受益者の取消債権者に対する受領済み金員相当額の支払債務(受領金支払債務)は、履行の請求を受けた時に遅滞に陥る(民法412条3項)。
- 債務の発生時期:詐害行為取消しの効果は判決確定により生ずるが、その効果は過去に遡る。したがって受領金支払債務は、判決確定により受領時に遡って生ずる。
- 履行の請求:同債務は期限の定めのない債務であり、発生と同時に遅滞に陥るわけではない。また、判決確定前にされた履行の請求も民法412条3項の「履行の請求」に当たる。
- あてはめ:Xは訴状で取消しとともに受領金相当額の支払を請求している。よって遅延損害金の起算日は、各訴状送達の日の翌日となる。
判決文から
「そうすると,詐害行為取消しの効果は過去に遡って生ずるものと解するのが上記の趣旨に沿うものといえる。」
取消しの効果の遡及を制度趣旨から導く
「受益者は,受領済みの金員に係るそれまでの運用利益の全部を得ることができることとなり,相当ではない。」
遡及を否定した場合の不当な帰結を指摘
「上記受領金支払債務は,詐害行為取消判決の確定により受領時に遡って生ずるものと解すべきである。」
債務の発生時期は受領時に遡る
「上記受領金支払債務は期限の定めのない債務であるところ,これが発生と同時に遅滞に陥ると解すべき理由はなく,また,詐害行為取消判決の確定より前にされたその履行の請求も民法412条3項の「履行の請求」に当たるということができる。」
確定前の請求も412条3項の請求になる
「上記受領金支払債務は,履行の請求を受けた時に遅滞に陥るものと解するのが相当である。」
本判決の結論(規範)
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
