監獄法施行規則事件
14歳未満の者と被勾留者との接見を禁じた監獄法施行規則を委任の範囲外で無効としつつ、国賠法上の過失は否定した判例
出題:司法H27・予備H29・予備H30
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和63(行ツ)41 面会不許可処分取消等
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 民集 第45巻6号1049頁
- 参照法条
- 監獄法45条,監獄法50条,監獄法施行規則(平成3年法務省令第22号による改正前のもの)120条,監獄法施行規則(平成3年法務省令第22号による改正前のもの)124条,国家賠償法1条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 監獄法施行規則(平成三年法務省令第二二号による改正前のもの)一二〇条及び一二四条の各規定の法適合性 二 拘置所長が未決勾留により拘禁された者と一四歳未満の者との接見を許さなかったことにつき国家賠償法一条一項にいう過失がないとされた事例
裁判要旨
一 監獄法施行規則(平成三年法務省令第二二号による改正前のもの)一二〇条及び一二四条の各規定は、未決勾留により拘禁された者と一四歳未満の者との接見を許さないとする限度において、監獄法五〇条の委任の範囲を超え、無効である。 二 拘置所長が監獄法四五条に違反して未決勾留により拘禁された者と一四歳未満の者との接見を許さない旨の処分をした場合において、右処分は監獄法施行規則(平成三年法務省令第二二号による改正前のもの)一二〇条に従ってされたものであり、かつ、右規則一二〇条及びその例外を定める一二四条は明治四一年に公布されて以来長きにわたって施行され、その間これらの規定の有効性に実務上特に疑いを差し挟む解釈がされなかったなど判示の事情があるときは、拘置所長が右処分をしたことにつき国家賠償法一条一項にいう過失があったということはできない。
解説
事案
Xは爆発物取締罰則違反等で起訴され、昭和50年から東京拘置所に勾留されていた。第一審で死刑判決、控訴審で控訴棄却判決を受け、未決勾留の状態が続いていた。
Xは死刑廃止運動に賛同したDと養子縁組をした。その後、Dの長女Eの子F(昭和48年生)との面会許可を何度も申請したが、毎回不許可とされた。
拘置所は、昭和53年に子どもを同伴した支援者が所内でシュプレヒコールをした件を契機に、幼年者との面会を全面禁止した。その後は、実子であることなどの厳格な条件を満たす場合にのみ許可する運用をとっていた。
昭和59年4月27日のXの申請に対し、所長は監獄法施行規則120条によって不許可とした(本件処分)。F側からの面会申請も許されなかった。
Xは国家賠償を請求した。原審は、本件処分に裁量権の逸脱・濫用の違法があり過失もあるとして、慰謝料5万円と弁護士費用1万円を認容した。国が上告した。
争点
- 被勾留者と14歳未満の者(幼年者)との接見を原則禁止する監獄法施行規則120条・124条は、監獄法50条の委任の範囲内か
- 同規則に従ってされた接見不許可処分は監獄法45条に違反し違法か
- 違法な規則に従って処分をした拘置所長に国家賠償法1条1項の「過失」があるか
判旨
結論:破棄自判で、国賠請求は棄却された。
- 規範1(被勾留者の自由):被勾留者は、次の範囲でのみ自由の制限を受け、その範囲外では原則として一般市民としての自由が保障される。
- 逃亡・罪証隠滅の防止という未決勾留の目的のために必要かつ合理的な範囲
- 監獄内の規律・秩序の維持上、放置できない程度の障害が生ずる相当の蓋然性がある場合に、その防止に必要な限度
- 規範2(監獄法45条):監獄法45条は、被勾留者の接見を原則として許し、上記2つの場合に限って制限を認めるにすぎない。このことは、接見を求める者が幼年者でも同じである。
- 規範3(委任の範囲):監獄法50条が命令に委ねたのは、立会・場所・時間・回数等の接見の「態様」に関する制限のみである。命令で許可基準そのものを変更することは許されない。
- あてはめ(規則):規則120条・124条は、被勾留者と幼年者との接見を許さないとする限度で、法50条の委任の範囲を超え無効である。したがって本件処分は法45条に反し違法である。
- 規範4(過失):規則は明治41年以来長く施行され、実務上も裁判上も有効性が疑われず、本件の第一審・第二審も有効と判断していた。委任の範囲を超えることが執行者にとって容易に理解可能だったとはいえず、所長に予見可能性はない。よって過失は否定される。
判決文から
「もとより命令によって右の許可基準そのものを変更することは許されないのである。」
委任命令が法律の許可基準を変更できないとする核心
「それ自体、法律によらないで、被勾留者の接見の自由を著しく制限するものであって、法五〇条の委任の範囲を超えるものといわなければならない。」
規則120条・124条を委任の範囲外とした結論部分
「幼年者の心情の保護は元来その監護に当たる親権者等が配慮すべき事柄であることからすれば、法が一律に幼年者と被勾留者との接見を禁止することを予定し、容認しているものと解することは、困難である。」
幼年者保護の目的を理由とする限定解釈を排斥した理由
「規則一二〇条(及び一二四条)が右の限度において法五〇条の委任の範囲を超えることが当該法令の執行者にとって容易に理解可能であったということはできない」
違法でも過失を否定した判断の中核
「当該拘禁関係に伴う制約の範囲外においては、原則として一般市民としての自由を保障される」
被勾留者の自由制限の限界を示す前提規範
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
