三菱重工業事件
直接の雇用契約がない元請企業も、下請企業の労働者に対し信義則上の安全配慮義務を負うとした事例判決
出題:司法H22・司法R2
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成1(オ)516 損害賠償
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 集民 第162号295頁
- 参照法条
- 民法1条2項,民法415条,民法623条,民法632条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
元請企業につき下請企業の労働者に対する安全配慮義務が認められた事例
裁判要旨
下請企業の労働者が元請企業の作業場で労務の提供をするに当たり、元請企業の管理する設備工具等を用い、事実上元請企業の指揮監督を受けて稼働し、その作業内容も元請企業の従業員とほとんど同じであったなど原判示の事実関係の下においては、元請企業は、信義則上、右労働者に対し安全配慮義務を負う。
解説
事案
上告人は元請企業で、D造船所を経営していた。上告人の下請企業の労働者は、いわゆる社外工としてD造船所で労務を提供していた。その際、上告人の管理する設備・工具等を用い、事実上上告人の指揮・監督を受けて働いていた。作業内容も、上告人の従業員であるいわゆる本工とほとんど同じであった。
被上告人Bら(原判示の者ら)は、D造船所での騒音の被曝によって騒音性難聴にかかった。そこで上告人に損害賠償を請求した。
原審(大阪高裁)は次のように判断した。
- 上告人は下請企業の労働者との間に特別な社会的接触の関係に入っており、信義則上、安全配慮義務を負う。
- 上告人が主張する免責事由は認められない。
そのうえで原審は慰謝料を認めた。上告人は、罹患の事実認定、安全配慮義務の存否、慰謝料額などを争って上告した。
争点
- 下請企業の労働者と直接の雇用契約関係にない元請企業が、その労働者に対して安全配慮義務を負うか
- 負うとすれば、どのような事実関係の下で負うか
判旨
上告棄却。元請企業の安全配慮義務を認めた原審の判断が正当として是認された。
規範:次のような事実関係の下では、元請企業は下請企業の労働者との間に「特別な社会的接触の関係」に入ったといえる。この場合、元請企業は信義則上(民法1条2項)、その労働者に対し安全配慮義務を負う。
- 下請企業の労働者が元請企業の作業場で労務を提供している
- 元請企業の管理する設備・工具等を用いている
- 事実上、元請企業の指揮・監督を受けて稼働している
- 作業内容が元請企業の従業員(本工)とほとんど同じである
あわせて、元請企業の免責事由は認められないとした原審の判断も是認した。慰謝料額の算定は原審の裁量に属するとした。
判決文から
「いわゆる社外工として、上告人の管理する設備、工具等を用い、事実上上告人の指揮、監督を受けて稼働し、その作業内容も上告人の従業員であるいわゆる本工とほとんど同じであった」
安全配慮義務を基礎づける具体的な考慮要素
「上告人は、下請企業の労働者との間に特別な社会的接触の関係に入ったもので、信義則上、右労働者に対し安全配慮義務を負うものである」
契約関係がなくても信義則上の義務が生じる根拠
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
