最判平成3年12月17日
係属中の別訴で訴訟物となっている債権を自働債権とする相殺の抗弁は、重複起訴禁止の趣旨から許されない(併合審理中でも同じ)
出題:司法H27・予備H28・予備R2・予備R4・予備R7
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和62(オ)1385 契約金等
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第45巻9号1435頁
- 参照法条
- 民法505条,民訴法199条2項,民訴法231条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
別訴において訴訟物となっている債権を自働債権とする相殺の抗弁の許否
裁判要旨
別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として、相殺の抗弁を主張することは、許されない。
解説
事案
被上告人Xは、上告人Yに対し、両者間の継続的取引契約に基づくバトミントン用品の輸入原材料残代金等207万円余と遅延損害金の支払を求めて本訴を提起した。
Yは別に、Xを被告とする売買代金等請求訴訟(第一審原告Y)を起こしており、その控訴事件は、本件原審と同じ東京高裁第一民事部で併合審理中であった。
Yは、本件の控訴審(原審)第11回口頭弁論期日において初めて、その別訴で請求している売買代金1284万円余と遅延損害金の債権を自働債権とし、Xの本訴請求債権と対当額で相殺する旨の抗弁を提出した。原審はこの相殺の抗弁を許されないとし、Yが上告した。
争点
- 係属中の別訴で訴訟物となっている債権を自働債権として、他の訴訟で相殺の抗弁を主張できるか(旧民訴法231条=現行142条の趣旨の及ぶ範囲)
- 相殺の抗弁が控訴審で初めて主張され、両事件が併合審理されている場合でも同様か
判旨
結論:上告棄却。Yの相殺の抗弁は許されない。
規範:係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として、他の訴訟で相殺の抗弁を主張することは許されない。
- 根拠は、重複起訴禁止(旧民訴法231条、現行142条)の趣旨が、相殺の抗弁の場面にも同様に妥当することにある。
- この結論は、抗弁が控訴審の段階で初めて主張され、両事件が併合審理されている場合でも変わらない。
答案での書き方:「142条の趣旨は、係属中の別訴の訴訟物である債権を自働債権として相殺の抗弁を提出する場合にも妥当するから、かかる抗弁は許されない」。
判決文から
「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは許されないと解するのが相当である」
判旨の結論となる規範部分
「民訴法二三一条が重複起訴を禁止する理由は、審理の重複による無駄を避けるためと複数の判決において互いに矛盾した既判力ある判断がされるのを防止するためであるが」
重複起訴禁止の趣旨を二点で示した部分
「相殺の抗弁の場合にも自働債権の存否について矛盾する判決が生じ法的安定性を害しないようにする必要があるけれども理論上も実際上もこれを防止することが困難であること」
抗弁にも142条の趣旨を及ぼす実質的理由
「このことは右抗弁が控訴審の段階で初めて主張され、両事件が併合審理された場合についても同様である。」
併合審理中でも結論が変わらないことを明示
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
