地方公務員災害補償基金事件(地公災基金事件)
地公災法の遺族補償年金で夫にだけ年齢要件を課す規定は、妻の社会的状況に照らし合理的理由を欠かず憲法14条1項に違反しない
出題:司法R5・司法R8
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成27(行ツ)375 遺族補償年金等不支給決定処分取消請求事件
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 集民 第255号55頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,地方公務員災害補償法32条1項,地方公務員災害補償法附則7条の2第2項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
地方公務員災害補償法32条1項ただし書及び附則7条の2第2項のうち死亡した職員の夫について一定の年齢に達していることを遺族補償年金の受給の要件としている部分と憲法14条1項
裁判要旨
地方公務員災害補償法32条1項ただし書及び附則7条の2第2項のうち,死亡した職員の夫について,当該職員の死亡の当時一定の年齢に達していることを遺族補償年金の受給の要件としている部分は,憲法14条1項に違反しない。
解説
事案
地方公務員災害補償法の遺族補償年金の受給要件は、配偶者のうち妻と夫とで扱いが異なる。妻は一定の年齢に達していなくても受給できる。これに対し夫は、職員の死亡当時に一定の年齢に達していることが要件とされている(同法32条1項ただし書、附則7条の2第2項)。
上告人は死亡した職員の夫であり、遺族補償年金等の不支給処分を受けたため、その取消しを求めて出訴した。上告人は、夫にだけ年齢要件を課す上記各規定は性別による差別であり、憲法14条1項に違反すると主張した。原審(大阪高裁)はこの主張を退け、上告人が上告した。
争点
- 遺族補償年金の受給要件として、死亡職員の夫にのみ一定の年齢に達していることを要求し、妻には年齢要件を課さない地公災法32条1項ただし書・附則7条の2第2項は、憲法14条1項に違反するか
判旨
結論:合憲(上告棄却)。 夫にだけ死亡当時の年齢要件を課す部分は、憲法14条1項に違反しない。
- 制度の性格:遺族補償年金制度は、憲法25条の趣旨を実現するために設けられた社会保障の性格を有する制度である。
- 区別の合理性:妻について年齢要件を課さないことが合理的理由を欠くかを問題とした。男女間の次の違いからうかがえる妻の置かれている社会的状況に鑑みると、上告人への不支給処分の当時においても、合理的な理由を欠くとはいえない。
- 生産年齢人口に占める労働力人口の割合の違い
- 平均的な賃金額の格差
- 一般的な雇用形態の違い
- 先例:以上は、最大判昭和39年5月27日および最大判昭和57年7月7日(堀木訴訟)の趣旨に照らして明らかであるとした。
判決文から
「地方公務員災害補償法の定める遺族補償年金制度は,憲法25条の趣旨を実現するために設けられた社会保障の性格を有する制度というべき」
社会保障と性格づけ、広い立法裁量の前提とした点
「男女間における生産年齢人口に占める労働力人口の割合の違い,平均的な賃金額の格差及び一般的な雇用形態の違い等からうかがえる妻の置かれている社会的状況に鑑み」
区別を正当化した具体的な社会的事実
「妻について一定の年齢に達していることを受給の要件としないことは,上告人に対する不支給処分が行われた当時においても合理的な理由を欠くものということはできない。」
処分当時を基準に合理性を肯定した結論部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
