最決平成29年2月21日
非公開の取締役会設置会社で、取締役会のほか株主総会でも代表取締役を定められるとする定款の定めを有効とした
出題:予備H30・予備R3・予備R4・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成28(許)24 職務執行停止,代行者選任仮処分命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 民集 第71巻2号195頁
- 参照法条
- 会社法295条2項,会社法362条2項3号
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めの効力
裁判要旨
取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有効である。
解説
事案
Y1社は取締役会設置会社であり、会社法2条5号の公開会社ではない(非公開会社)。Y1社の定款には「代表取締役は取締役会の決議によって定めるものとするが、必要に応じ株主総会の決議によって定めることができる」旨の定め(本件定め)があった。平成27年9月30日のY1社の株主総会で、Y2を取締役に選任する決議と、Y2を代表取締役に定める決議がされた。Y1社の代表取締役であったXは、これらの決議は無効であるなどと主張し、Y1社とY2に対し、Y2の取締役兼代表取締役としての職務執行停止と職務代行者選任の仮処分命令を申し立てた。申立ては却下され、抗告も棄却されたため、Xが許可抗告をした。Xは、定款で株主総会でも代表取締役を定められるとすると、代表取締役の職務執行に対する取締役会の監督権限が弱まるから、本件定めは無効であると主張した。
争点
- 取締役会設置会社である非公開会社で、取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有効か
- 会社法295条2項にいう「定款で定めた事項」の内容に制限はあるか。取締役会の代表取締役選定・解職権限(362条2項3号)や監督権限との関係はどうか
判旨
抗告棄却。
- 規範:取締役会設置会社である非公開会社において、取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有効である。
- 判断の枠組み:取締役会設置会社の株主総会は、法に規定する事項と定款で定めた事項に限って決議できる(会社法295条2項)。定款で定める事項の内容を制限する明文の規定はない。もっとも、法は取締役会を代表取締役の職務執行を監督する機関と位置付けていると解されるため、本件定めが取締役会の監督権限の実効性を失わせるかが問題となる。
- あてはめ:総会でも代表取締役を定められるとしても、取締役会の選定・解職権限は否定されず、監督権限の実効性は失われない。よって本件定めは有効であり、これと同旨の原審の判断は是認できる。
判決文から
「法において,この定款で定める事項の内容を制限する明文の規定はない。」
295条2項の定款自治に明文の制限がないとした出発点
「代表取締役の選定及び解職に関する取締役会の権限(法362条2項3号)が否定されるものではなく,取締役会の監督権限の実効性を失わせるとはいえない。」
有効とした実質的理由。答案の核となる部分
「取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有効であると解するのが相当である。」
結論。「ほか」(併存)である点と非公開会社に限る点が重要
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