明石歩道橋事件
過失犯の共同正犯には「共同の業務上の注意義務に共同して違反したこと」が必要とし、副署長と地域官の共同正犯を否定した
出題:司法H25・司法H29・司法R1・司法R2・司法R3・司法R6・司法R8・予備H29・予備R3・予備R6
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成26(あ)747 業務上過失致死傷被告事件
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第70巻6号411頁
- 参照法条
- 刑法60条,刑法(平成13年法律第138号による改正前のもの)211条前段,刑訴法254条2項,刑訴法337条4号,刑訴法(平成16年法律第156号による改正前のもの)250条4号
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
花火大会が実施された公園と最寄り駅とを結ぶ歩道橋で多数の参集者が折り重なって転倒して死傷者が発生した事故について,警察署副署長に同署地域官との業務上過失致死傷罪の共同正犯は成立しないとされた事例
裁判要旨
花火大会が実施された公園と最寄り駅とを結ぶ歩道橋で多数の参集者が折り重なって転倒して死傷者が発生した事故について,警備計画策定の第一次的責任者ないし現地警備本部の指揮官という立場にあった警察署地域官と,同署副署長ないし署警備本部の警備副本部長として同署署長を補佐する立場にあった被告人とでは,分担する役割や事故発生の防止のために要求され得る行為が基本的に異なっていたなどの本件事実関係(判文参照)の下では,事故を回避するために両者が負うべき具体的注意義務が共同のものであったということはできず,被告人に同署地域官との業務上過失致死傷罪の共同正犯は成立しない。
解説
事案
平成13年7月21日、明石市の花火大会の際、会場の公園と最寄り駅を結ぶ歩道橋に参集者が集中して過密な滞留状態となった。そこへ逆方向の参集者同士が押し合うなどして強い群衆圧力が生じ、多数が折り重なって転倒した。その結果、11名が死亡し、183名が負傷した。
事故の責任者とされた者の立場は次のとおりである。
- B地域官:警察署長Cから警備計画策定の責任者に指示され、当日は現地警備本部の指揮官として配下警察官を指揮した。現場で直接情報を収集し、機動隊の出動も要請できる立場にあった。
- 被告人(副署長):署警備本部の警備副本部長として、C署長を補佐し、情報収集や進言をする立場にあった。
Bは平成14年に起訴され、有罪が確定した。被告人は平成22年に起訴されたが、最終の死傷結果が生じた平成13年7月28日から5年が経過しており、公訴時効停止事由がない限り、公訴時効が完成していることになる。指定弁護士は、被告人とBは刑訴法254条2項の「共犯」に当たり、Bの起訴によって時効が停止していると主張した。第1審・原審とも被告人を免訴とした。
争点
- 刑訴法254条2項の「共犯」に当たるために、業務上過失致死傷罪の共同正犯の成立が必要か
- 業務上過失致死傷罪(過失犯)の共同正犯の成立要件
- 副署長と地域官との間に業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立するか
判旨
上告棄却(免訴の維持)。
- 前提:被告人とB地域官が刑訴法254条2項の「共犯」に当たるには、両者に業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立する必要がある。
- 規範:業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立するためには、共同の業務上の注意義務に共同して違反したことが必要である。
- あてはめ:B地域官と被告人とでは、分担する役割が基本的に異なっていた。事故防止のために要求され得る行為も異なっていた。そのため、両者が負うべき具体的注意義務が共同のものであったとはいえず、共同正犯が成立する余地はない。
- 結論:Bに対する公訴提起によって被告人の公訴時効は停止しない。
判決文から
「業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立するためには,共同の業務上の注意義務に共同して違反したことが必要であると解される」
過失犯の共同正犯の成立要件を示した規範部分
「被告人とB地域官が刑訴法254条2項にいう「共犯」に該当するというためには,被告人とB地域官に業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立する必要がある。」
公訴時効停止の問題を共同正犯の成否に結びつけた点
「B地域官及び被告人がそれぞれ分担する役割は基本的に異なっていた。」
共同の注意義務を否定した第一の根拠(役割の違い)
「本件事故を回避するために両者が負うべき具体的注意義務が共同のものであったということはできない。」
結論部分。義務の共同性を否定した
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
