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最決平成28年3月24日

刑法207条の適用には暴行の危険性と同一機会性の証明が必要であり、いずれかの暴行と死亡との因果関係が肯定されても同条を適用できるとした決定

刑法生命・身体に対する罪共同正犯教唆・幇助・共犯の諸問題本試験で 8 問(短答 8・論文 0)

出題:司法H25・司法H28・司法H29・司法R1・司法R3・司法R6・予備H26・予備R3

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
平成27(あ)703 傷害,傷害致死被告事件
裁判
決定・棄却
判例集
刑集 第70巻3号1頁
参照法条
(1,2につき)刑法207条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

1 同時傷害の特例を定めた刑法207条の法意 2 共犯関係にない二人以上の暴行による傷害致死の事案においていずれかの暴行と死亡との間の因果関係が肯定された場合と刑法207条の適用の可否

裁判要旨

1 同時傷害の特例を定めた刑法207条は,共犯関係にない二人以上が暴行を加えた事案において,検察官が,各暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有するものであること及び各暴行が外形的には共同実行に等しいと評価できるような状況において行われたこと,すなわち同一の機会に行われたものであることの証明をした場合,各行為者において,自己の関与した暴行が傷害を生じさせていないことを立証しない限り,傷害についての責任を免れないとしたものである。 2 共犯関係にない二人以上の暴行による傷害致死の事案において,刑法207条適用の前提となる事実関係が証明された場合には,いずれかの暴行と死亡との間の因果関係が肯定されるときであっても,各行為者について同条の適用は妨げられない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

バー従業員の被告人A・Bは、飲食代金の残額を決済できないまま店外に出た被害者を追い、午前6時50分頃から7時10分頃まで、意思を通じて共同で暴行を加えた(第1暴行)。具体的には、背部を蹴って階段踊り場付近に転落させる、頭部を灰皿に打ち付ける、顔面を殴るなどである。客の被告人Cも、午前7時4分頃に被害者の背部付近を1回踏み付け、午前7時15分頃に背中を1回蹴った。

その後、被害者は店内に連れ戻された。被害者は午前7時49分頃に突然店外へ逃げ出し、従業員Dが階段で取り押さえた。Cはこれを知って現場に行き、7時54分頃までに単独で暴行を加えた(第2暴行)。頭部・顔面を踏み付ける、引きずり下ろす、頭部を蹴るなどである。

被害者は急性硬膜下血腫に基づく急性脳腫脹で死亡した。第1暴行・第2暴行のいずれもこの傷害を発生させ得るものだったが、どちらによって生じたかは不明であった。

第1審は、第2暴行が傷害を悪化させたと推認できるからCの暴行と死亡との因果関係が認められるとした。そのうえで、207条を適用する前提が欠けるとして同条の適用を否定した。原審はこれを破棄し、機会の同一性について審理を尽くさせるため差し戻した。最高裁は上告を棄却した。

争点

  • 刑法207条の法意と、同条適用の前提として検察官が証明すべき事実
  • 共犯関係にない二人以上の暴行による傷害致死事案で、いずれかの暴行と死亡との因果関係が肯定される場合にも207条を適用できるか

判旨

結論:上告棄却。207条の適用を否定した第1審を破棄・差し戻した原判決を相当とした。

規範(207条の法意)

  • 207条は、二人以上が暴行を加えた事案では傷害の原因となった暴行の特定が困難な場合が多いことなどから、共犯関係が立証されなくても例外的に共犯の例によるとした規定である。
  • 同条適用の前提として、検察官は次の2点を証明しなければならない。
  • ①各暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有するものであること
  • ②各暴行が外形的には共同実行に等しいと評価できるような状況において行われたこと、すなわち同一の機会に行われたこと
  • この証明がされれば、各行為者は、自己の関与した暴行がその傷害を生じさせていないことを立証しない限り、傷害の責任を免れない。

傷害致死への適用

  • 前提事実が証明されれば、各行為者は、死因となった傷害について責任を負い、さらにその傷害から生じた死亡の結果についても責任を負う。
  • いずれかの暴行と死亡との因果関係が肯定されるときでも、別異に解すべき理由はなく、207条の適用は妨げられない。

判決文から

「各暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有するものであること及び各暴行が外形的には共同実行に等しいと評価できるような状況において行われたこと,すなわち,同一の機会に行われたものであることの証明を要する」

検察官が証明すべき207条適用の2要件

「各行為者は,自己の関与した暴行がその傷害を生じさせていないことを立証しない限り,傷害についての責任を免れないというべきである。」

被告人側の反証の内容(立証責任の所在)

「本件のようにいずれかの暴行と死亡との間の因果関係が肯定されるときであっても,別異に解すべき理由はなく,同条の適用は妨げられないというべきである。」

第1審の「責任者不在回避」論を否定した核心

「生じた傷害の原因となった暴行を特定することが困難な場合が多いことなどに鑑み,共犯関係が立証されない場合であっても,例外的に共犯の例によることとしている。」

207条の趣旨(例外規定としての位置づけ)

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。