預貯金債権の遺産分割対象性大法廷決定
共同相続された普通預金・通常貯金・定期貯金債権は当然分割されず、遺産分割の対象となるとして判例を変更した
出題:司法H30・司法R1・司法R6・予備H28
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 平成27(許)11 遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
- 裁判
- 決定・破棄差戻
- 判例集
- 民集 第70巻8号2121頁
- 参照法条
- 民法264条,民法427条,民法898条,民法907条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は遺産分割の対象となるか
裁判要旨
共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となる。 (補足意見及び意見がある。)
解説
事案
Aが平成24年に死亡し、法定相続人は抗告人(Aの弟の子で、Aの養子)と相手方(Aの妹でAの養子となったB〔平成14年死亡〕の子)の2名である。遺産は、不動産(価額合計約258万円)と、普通預金・通常貯金・定期貯金・外貨普通預金からなる預貯金債権であった。両者の間に、預貯金を遺産分割の対象に含める合意はない。BはAから約5500万円の贈与を受けており、これは相手方の特別受益に当たる。
原審は、預貯金は相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割取得され、相続人全員の合意がない限り遺産分割の対象とならないとした。そのうえで、抗告人が不動産を取得すべきものとした。これに対し抗告人が許可抗告を申し立てた。
争点
- 共同相続された普通預金債権・通常貯金債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるか、遺産分割の対象となるか
- 共同相続された定期貯金債権は、当然分割されるか、遺産分割の対象となるか
- 相続人全員の合意がなくても預貯金債権を遺産分割の対象とできるか
判旨
原決定を破棄し、原審に差し戻した。
規範:共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる。相続人全員の合意の有無を問わない。
- 普通預金・通常貯金債権:預貯金契約上の地位を準共有する共同相続人が全員で契約を解約しない限り、同一性を保持しながら残高が変動し得るものとして存在する。各共同相続人に確定額の債権として分割されることはない。
- 定期貯金債権:契約上の分割払戻しの制限は、単なる特約ではなく契約の要素である。そのため当然分割されない。
これと異なる最判平成16年4月20日その他の判例は変更された。
判決文から
「共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となるものと解するのが相当である。」
結論の規範そのもの。答案にそのまま使える
「遺産分割の仕組みは,被相続人の権利義務の承継に当たり共同相続人間の実質的公平を図ることを旨とするものであることから,一般的には,遺産分割においては被相続人の財産をできる限り幅広く対象とすることが望ましく」
遺産分割制度の趣旨からの出発点
「預貯金は,預金者においても,確実かつ簡易に換価することができるという点で現金との差をそれほど意識させない財産であると受け止められているといえる。」
預貯金を現金に近い財産と捉える根拠
「預貯金契約上の地位を準共有する共同相続人が全員で預貯金契約を解約しない限り,同一性を保持しながら常にその残高が変動し得るものとして存在し,各共同相続人に確定額の債権として分割されることはないと解される。」
普通預金債権が当然分割されない理由の核心
「上記の制限は,預入期間内には払戻しをしないという条件と共に定期貯金の利率が高いことの前提となっており,単なる特約ではなく定期貯金契約の要素というべきである。」
定期貯金が当然分割されない理由
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
