最判平成27年3月3日
公にされた処分基準に先行処分を理由とする加重規定があれば、停止期間経過後も加重期間内は取消しの訴えの利益があるとした判例
出題:司法H26・予備H23・予備H28・予備H29・予備R3
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成26(行ヒ)225 営業停止処分取消請求事件
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 民集 第69巻2号143頁
- 参照法条
- 行政事件訴訟法9条1項,行政手続法12条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
行政手続法12条1項により定められ公にされている処分基準に先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の定めがある場合における先行の処分の取消しを求める訴えの利益
裁判要旨
行政手続法12条1項により定められ公にされている処分基準において,先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の不利益な取扱いの定めがある場合には,上記先行の処分を受けた者は,将来において上記後行の処分の対象となり得るときは,上記先行の処分の効果が期間の経過によりなくなった後においても,当該処分基準の定めにより上記の不利益な取扱いを受けるべき期間内はなお当該処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する。
解説
事案
ぱちんこ屋営業(風営法2条1項7号)を営む株式会社Xは、北海道函館方面公安委員会から、風営法26条1項に基づき40日間の営業停止処分(本件処分)を受け、その取消しを求めて出訴した。同委員会は、行政手続法12条1項に基づく処分基準として量定基準の規程(本件規程)を定めて公にしていた。本件規程は、処分事由ごとに停止期間の上限・下限・標準を定めたうえで、過去3年以内に営業停止命令を受けた者にさらに営業停止命令をする場合には、上限・下限に過去の処分回数の2倍の数を乗じた期間とし、標準も2倍とする加重規定を置いていた。原審は、停止期間の経過後について、法令には処分歴による加重を定めた規定がなく、本件規程は法令の性質を有しないから、将来の加重は本件処分の法的効果によるものではないとして、行訴法9条1項括弧書の「回復すべき法律上の利益」を否定し、訴えを却下すべきものとした。
争点
- 停止期間が経過して処分の効果がなくなった後も、行訴法9条1項括弧書の「処分の取消しによって回復すべき法律上の利益」が認められるか
- 行政手続法12条1項に基づき定められ公にされた処分基準は、行政庁の裁量権行使をどの程度拘束するか
判旨
原判決を破棄し、第1審判決を取り消して、札幌地裁に差し戻した。
- 処分基準の拘束力(規範):行手法12条1項により定められ公にされている処分基準に、先行処分を理由として後行処分の量定を加重する定めがある場合、行政庁が後行処分でその基準と異なる取扱いをすることは、基準と異なる取扱いを相当と認めるべき特段の事情がない限り、裁量権の範囲の逸脱・濫用に当たる。この意味で、後行処分における裁量権は処分基準に従って行使すべく羈束されている。
- 訴えの利益(規範):上記の場合、先行処分を受けた者は、将来後行処分の対象となり得るときは、先行処分の効果が期間の経過によりなくなった後も、処分基準の定めにより不利益な取扱いを受けるべき期間内は、なお先行処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する。
- あてはめ:Xは、本件処分後3年の期間内は本件処分の取消しを求める訴えの利益を有する。
判決文から
「単に行政庁の行政運営上の便宜のためにとどまらず,不利益処分に係る判断過程の公正と透明性を確保し,その相手方の権利利益の保護に資するために定められ公にされるものというべきである。」
処分基準の趣旨を相手方の権利保護に結び付けた点
「裁量権の行使における公正かつ平等な取扱いの要請や基準の内容に係る相手方の信頼の保護等の観点から」
自己拘束の根拠=平等取扱いと信頼保護
「当該処分基準の定めと異なる取扱いをすることを相当と認めるべき特段の事情がない限り,そのような取扱いは裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たることとなるものと解され」
基準逸脱を原則として裁量濫用とする規範
「当該処分基準の定めにより上記の不利益な取扱いを受けるべき期間内はなお当該処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するものと解するのが相当である。」
訴えの利益が認められる範囲=加重期間内
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
