再婚禁止期間違憲判決
女性の再婚禁止期間のうち100日を超える部分を憲法14条1項・24条2項違反としつつ、立法不作為の国賠違法は否定した。
出題:司法H29・司法H30・司法R1・司法R3・司法R4・司法R5・司法R7・予備R3・予備R7
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 平成25(オ)1079 損害賠償請求事件
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第69巻8号2427頁
- 参照法条
- (1~4につき)憲法14条1項,憲法24条,民法733条,民法772条 (3,4につき)国家賠償法1条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
1 民法733条1項の規定のうち100日の再婚禁止期間を設ける部分と憲法14条1項,24条2項 2 民法733条1項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分と憲法14条1項,24条2項 3 立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける場合 4 国会が民法733条1項の規定を改廃する立法措置をとらなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないとされた事例
裁判要旨
1 民法733条1項の規定のうち100日の再婚禁止期間を設ける部分は,憲法14条1項,24条2項に違反しない。 2 民法733条1項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は,平成20年当時において,憲法14条1項,24条2項に違反するに至っていた。 3 法律の規定が憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠る場合などにおいては,国会議員の立法過程における行動が個々の国民に対して負う職務上の法的義務に違反したものとして,例外的に,その立法不作為は,国家賠償法1条1項の規定の適用上違法の評価を受けることがある。 4 平成20年当時において国会が民法733条1項の規定を改廃する立法措置をとらなかったことは,(1)同項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分が合理性を欠くに至ったのが昭和22年民法改正後の医療や科学技術の発達及び社会状況の変化等によるものであり,(2)平成7年には国会が同条を改廃しなかったことにつき直ちにその立法不作為が違法となる例外的な場合に当たると解する余地のないことは明らかであるとの最高裁判所第三小法廷の判断が示され,(3)その後も上記部分について違憲の問題が生ずるとの司法判断がされてこなかったなど判示の事情の下では,上記部分が違憲であることが国会にとって明白であったということは困難であり,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではない。 (1につき補足意見,1,2につき補足意見及び意見,1~4につき補足意見及び反対意見がある。)
解説
事案
上告人(女性)は平成20年3月に前夫と離婚し、同年10月に後夫と再婚した。しかし、女性について6箇月の再婚禁止期間を定める民法733条1項(本件規定)があったため、再婚は望んだ時期より遅れた。上告人は、本件規定が憲法14条1項・24条2項に違反すると主張した。そして、本件規定を改廃しなかった国会の立法不作為が違法であるとして、国に対し、国家賠償法1条1項に基づき165万円等の支払を求めた。
上告人の主張の骨子は次のとおりである。
- 本件規定は寡婦に服喪を強制する不当な趣旨を含む。
- DNA検査等の発達によれば、民法773条の父を定める訴えで足りる。
- 父性推定の重複回避には100日で足りるから、少なくとも100日超過部分は過剰な制約である。
原審は、立法目的は合理的であり、期間の長さは国会が決めるべき問題であるとして、6箇月が直ちに過剰とはいえないとし、請求を棄却した。上告人が上告した。
争点
- 民法733条1項の再婚禁止期間(6箇月)のうち100日部分は憲法14条1項・24条2項に違反するか
- 同項のうち100日を超える部分は憲法14条1項・24条2項に違反するか
- 立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法となるのはどのような場合か
- 本件で国会が本件規定を改廃しなかったことは国賠法上違法か
判旨
上告棄却(請求棄却の結論を維持)。
審査の枠組み
- 憲法14条1項は、事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づかない限り、法的な差別的取扱いを禁止する。
- 本件規定は、再婚の要件について男女を区別している。
- 婚姻に対する直接的な制約である点を十分考慮したうえで、次の2点を審査する。
- 区別の立法目的に合理的な根拠があるか
- 区別の具体的内容が立法目的との関連で合理性を有するか
本件規定の合憲性
- 立法目的は、父性の推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあり、合理的である。
- 民法772条2項から計算すると100日で重複は回避できる。したがって、100日部分は合憲である。
- 100日超過部分は、遅くとも上告人の前婚解消から100日経過時点までに、立法目的との関連で合理性を欠く過剰な制約となっていた。よって憲法14条1項・24条2項に違反する。
立法不作為の国賠法上の違法
- 立法不作為が違法となるのは、法律の規定が権利利益を合理的理由なく制約し違憲であることが明白なのに、国会が正当な理由なく長期にわたり改廃等を怠る場合などに限られる。
- 本件では、違憲であることが国会にとって明白であったとはいえない。よって違法ではない。
判決文から
「具体的な制度の構築を第一次的には国会の合理的な立法裁量に委ねるとともに,その立法に当たっては,個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする要請,指針を示すことによって,その裁量の限界を画したものといえる。」
24条2項が立法裁量とその限界を定めるとした部分
「婚姻をするかどうか,いつ誰と婚姻をするかについては,当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものと解される。」
24条1項の趣旨=婚姻をするについての自由
「そのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠があり,かつ,その区別の具体的内容が上記の立法目的との関連において合理性を有するものであるかどうかという観点から憲法適合性の審査を行うのが相当である。」
本判決の審査基準(目的・手段の合理性)
「本件規定の立法目的は,女性の再婚後に生まれた子につき父性の推定の重複を回避し,もって父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあると解するのが相当であり」
立法目的の認定(血統混乱防止ではない)
「本件規定のうち100日超過部分は合理性を欠いた過剰な制約を課すものとなっているというべきである。」
100日超過部分の違憲判断の結論
「国会議員の立法行為又は立法不作為が同項の適用上違法となるかどうかは,国会議員の立法過程における行動が個々の国民に対して負う職務上の法的義務に違反したかどうかの問題であり,立法の内容の違憲性の問題とは区別されるべきものである。」
違憲性と国賠違法性の区別
「法律の規定が憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠る場合などにおいては」
立法不作為が国賠違法となる例外の規範
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
