婚外子相続分差別事件(非嫡出子相続分規定違憲決定)
嫡出でない子の相続分を嫡出子の2分の1とする民法900条4号ただし書前段を違憲とし、違憲判断の遡及効を限定した大法廷決定
出題:司法H22・司法H26・司法H27・司法H28・司法H30・司法R1・司法R4・司法R6・予備H28・予備H30・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 平成24(ク)984 遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
- 裁判
- 決定・破棄差戻
- 判例集
- 民集 第67巻6号1320頁
- 参照法条
- (1,2につき)憲法14条1項,民法900条 (2につき)憲法81条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
1 民法900条4号ただし書前段の規定と憲法14条1項 2 民法900条4号ただし書前段の規定を違憲とする最高裁判所の判断が他の相続における上記規定を前提とした法律関係に及ぼす影響
裁判要旨
1 民法900条4号ただし書前段の規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していた。 2 民法900条4号ただし書前段の規定が遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたとする最高裁判所の判断は,上記当時から同判断時までの間に開始された他の相続につき,同号ただし書前段の規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない。 (1,2につき補足意見がある。)
解説
事案
平成13年7月に死亡したAの遺産について、Aの嫡出子(その代襲相続人を含む)である相手方らが、Aの嫡出でない子である抗告人らを相手に遺産分割の審判を申し立てた。
原審(東京高裁)は、民法900条4号ただし書のうち、嫡出でない子の相続分を嫡出子の2分の1とする部分(本件規定)は憲法14条1項に違反しないと判断した。そのうえで、本件規定を適用して算出した法定相続分を前提に遺産を分割すべきものとした。
抗告人らは、本件規定が憲法14条1項に違反し無効であるとして特別抗告をした。
なお、最高裁は平成7年大法廷決定以来、本件規定を合憲としてきた。ただし、その後の小法廷判決・決定でも、合理性が失われつつあるとする個別意見が繰り返し述べられていた。
争点
- 本件規定(民法900条4号ただし書前段)は憲法14条1項に違反するか
- 本件規定を違憲とする最高裁の判断は、他の相続について本件規定を前提に形成された法律関係にどのような影響を及ぼすか(違憲判断の遡及効・先例としての事実上の拘束性)
判旨
結論:原決定を破棄し、原審に差し戻した(裁判官全員一致)。
判断基準
- 憲法14条1項は、事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づくものでない限り、法的な差別的取扱いを禁止する趣旨である。
- 相続制度をどう定めるかは、立法府の合理的な裁量判断に委ねられている。
- もっとも、その裁量権を考慮しても区別に合理的な根拠が認められない場合には、当該区別は同項に違反する。
本件へのあてはめ
- 遅くともAの相続が開始した平成13年7月当時には、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていた。
- したがって、本件規定は同時点において憲法14条1項に違反していた。
違憲判断の効力
- 本決定の違憲判断は、平成13年7月から本決定までに開始された他の相続について、本件規定を前提とした遺産分割の審判その他の裁判、遺産分割の協議その他の合意等により確定的となった法律関係には影響を及ぼさない。
- 確定的となっていない事案では、本件規定の適用を排除して法律関係を確定させる。
判決文から
「立法府に与えられた上記のような裁量権を考慮しても,そのような区別をすることに合理的な根拠が認められない場合には,当該区別は,憲法14条1項に違反するものと解するのが相当である。」
立法裁量を前提とした14条1項の判断基準
「父母が婚姻関係になかったという,子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず,子を個人として尊重し,その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきているものということができる。」
違憲判断の核心となる理由
「遅くともAの相続が開始した平成13年7月当時においては,立法府の裁量権を考慮しても,嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたというべきである。」
違憲となった時点の特定(時の経過による違憲)
「本件規定が上記のように補充的に機能する規定であることは,その合理性判断において重要性を有しないというべきである。」
平成7年決定の考慮事情(補充性)を退けた部分
「既に関係者間において裁判,合意等により確定的なものとなったといえる法律関係までをも現時点で覆すことは相当ではない」
遡及効を限定する基準
「相続の開始により直ちに本件規定の定める相続分割合による分割がされたものとして法律関係が確定的なものとなったとみることは相当ではなく」
可分債権・可分債務は相続開始だけでは確定しない
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
