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最判平成25年6月6日

明示的一部請求の訴えの提起は、残部について裁判上の請求としての中断効はないが、裁判上の催告としての効力は生じるとした判例

民法時効訴えの利益処分権主義本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法H30・予備R7

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
平成24(受)349 未収金請求事件
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第67巻5号1208頁
参照法条
(1〜3につき)民法147条1号 (1につき)民法149条,民訴法147条 (2,3につき)民法153条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

1 いわゆる明示的一部請求の訴えに係る訴訟において,債権の一部消滅の抗弁に理由があると判断されたため判決において上記債権の総額の認定がされた場合における,残部についての消滅時効の中断 2 いわゆる明示的一部請求の訴えの提起と残部についての裁判上の催告としての消滅時効の中断 3 消滅時効期間の経過後,その経過前にした催告から6箇月以内にした催告と消滅時効の中断

裁判要旨

1 数量的に可分な債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示した訴えに係る訴訟において,債権の一部が消滅している旨の抗弁に理由があると判断されたため,判決において上記債権の総額の認定がされたとしても,当該訴えの提起は,残部について,裁判上の請求に準ずるものとして消滅時効の中断の効力を生ずるものではない。 2 数量的に可分な債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合,債権者が将来にわたって残部をおよそ請求しない旨の意思を明らかにしているなど,残部につき権利行使の意思が継続的に表示されているとはいえない特段の事情のない限り,当該訴えの提起は,残部について,裁判上の催告として消滅時効の中断の効力を生じ,債権者は,当該訴えに係る訴訟の終了後6箇月以内に民法153条所定の措置を講ずることにより,残部について消滅時効を確定的に中断することができる。 3 消滅時効期間が経過した後,その経過前にした催告から6箇月以内に再び催告をしても,第1の催告から6箇月以内に民法153条所定の措置を講じなかった以上は,第1の催告から6箇月を経過することにより,消滅時効が完成し,この理は,第2の催告が数量的に可分な債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起されたことによる裁判上の催告であっても異ならない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

Xは亡Aの遺言執行者で、Aの相続財産であるYに対する未収金債権の支払を求めた。この債権は商行為によって生じたもので、消滅時効期間は5年である。

  • Yは平成12年6月24日に残高証明書を発行し、債務を承認した。
  • Xは平成17年4月16日到達の内容証明郵便で支払を催告した(第1の催告)。
  • Xは同年10月14日、債権総額約3億9761万円のうち5293万円余を請求する旨を明示して、一部請求の訴え(別件訴え)を提起した。
  • 別件訴訟でYは、相殺処理による一部消滅を抗弁として主張した。控訴審はこの抗弁に理由があると判断し、現存額を7528万円余と認定したうえで、請求を全部認容した。この判決は平成21年9月に確定した。
  • Xは別件訴訟の係属中である平成21年6月30日、残部2235万円を請求する本件訴えを提起した。
  • Yは、催告から6か月以内に民法153条所定の措置がとられていないとして、残部の消滅時効を援用した。

原審は時効完成を認めてXの請求を棄却し、Xが上告受理を申し立てた。

争点

  • 明示的一部請求訴訟で一部消滅の抗弁が認められ、判決で債権総額が認定された場合、残部について裁判上の請求に準ずる時効中断効が生じるか
  • 明示的一部請求の訴えの提起は、残部について裁判上の催告として時効中断効を生じるか
  • 時効期間経過後に、その経過前にした催告から6か月以内に再度催告(裁判上の催告を含む)をした場合、時効の完成が阻止されるか

判旨

上告棄却。判旨は次の3点である。

  • 残部への裁判上の請求としての中断効(否定):明示的一部請求の訴えによる裁判上の請求としての中断効は、請求した一部についてのみ生じる。一部消滅の抗弁に理由があるとされ、判決で債権総額が認定されたとしても同じである。
  • 残部への裁判上の催告としての効力(肯定):明示的一部請求の訴えの提起は、残部について裁判上の催告として時効中断の効力を生じる。ただし、債権者が将来にわたって残部をおよそ請求しない旨の意思を明らかにしているなど、残部につき権利行使の意思が継続的に表示されているとはいえない特段の事情がある場合は除かれる。債権者は、訴訟終了後6か月以内に民法153条所定の措置を講じれば、残部の時効を確定的に中断できる。
  • 催告の繰り返し(効力否定):時効期間経過後に、経過前の催告から6か月以内に再び催告しても、第1の催告から6か月以内に153条所定の措置を講じなければ、第1の催告から6か月の経過で時効は完成する。第2の催告が明示的一部請求の訴えによる裁判上の催告であっても同じである。

本件では第1の催告から6か月以内に一部請求の訴えを提起したにとどまるため、残部の時効は完成している。

判決文から

「当該認定は判決理由中の判断にすぎないのであって,残部のうち消滅していないと判断された部分については,その存在が確定していないのはもちろん,確定したのと同視することができるともいえないからである。」

総額認定があっても残部に請求としての中断効がない理由

「明示的一部請求の訴えに係る訴訟の係属中は,原則として,残部についても権利行使の意思が継続的に表示されているものとみることができる。」

裁判上の催告を認める根拠

「債権者が将来にわたって残部をおよそ請求しない旨の意思を明らかにしているなど,残部につき権利行使の意思が継続的に表示されているとはいえない特段の事情のない限り」

裁判上の催告が否定される例外の定式

「催告が繰り返された場合にはいつまでも時効が完成しないことになりかねず,時効期間が定められた趣旨に反し,相当ではない。」

再度の催告に効力を認めない理由

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。