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最判平成24年4月24日

非公開会社で総会特別決議を欠く第三者割当ての株式発行は無効原因となる。重要な行使条件に反する新株予約権行使による発行も同様である。

商法募集株式・新株予約権組織再編(合併・会社分割等)株式の譲渡・自己株式本試験で 6 問(短答 4・論文 2)

出題:司法H27・司法R2・予備H23・予備R7・予備R8

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
平成22(受)1212 新株発行無効請求事件
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第66巻6号2908頁
参照法条
(1につき)商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ20第2項6号,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ21第1項 (2,3につき)会社法828条1項2号 (2につき)会社法199条,会社法201条1項 (3につき)会社法238条,会社法240条1項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

1 商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ21第1項に基づく株主総会決議による委任を受けた取締役会が定めた新株予約権の行使条件をその発行後に変更する取締役会決議の効力 2 非公開会社において株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法によってされた募集株式発行の効力 3 非公開会社が株主割当て以外の方法により発行した新株予約権の行使条件に反した当該新株予約権の行使による株式発行に無効原因がある場合

裁判要旨

1 取締役会が商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ21第1項に基づく株主総会決議による委任を受けて新株予約権の行使条件を定めた場合において,新株予約権の発行後に上記行使条件を変更することができる旨の明示の委任がないときは,当該新株予約権の発行後に上記行使条件を変更する取締役会決議は,上記行使条件の細目的な変更をするにとどまるものであるときを除き,無効である。 2 非公開会社において株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法による募集株式の発行がされた場合,当該特別決議を欠く瑕疵は上記株式発行の無効原因になる。 3 非公開会社が株主割当て以外の方法により発行した新株予約権に株主総会によって行使条件が付された場合に,この行使条件が当該新株予約権を発行した趣旨に照らして当該新株予約権の重要な内容を構成しているときは,上記行使条件に反した新株予約権の行使による株式の発行には,無効原因がある。 (1〜3につき補足意見がある。)

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

Y社は、全株式に譲渡制限の定めがある非公開会社である。Y社は、経営陣の意欲・士気の高揚を目的とするストックオプションとして、平成15年に旧商法280条ノ21等に基づく株主総会特別決議を経て、取締役に無償で新株予約権を発行した。総会決議は行使条件として「行使時に取締役であること」を定め、その他の行使条件は取締役会決議に基づく割当契約で定めると委任した。取締役会はこの委任を受け、株式の店頭登録または上場後6か月を経過するまで行使できないとの条件(上場条件)を定めた。

その後、税務調査のため株式公開が困難になった。すると取締役会は、平成18年6月(会社法施行直後)に上場条件を撤廃する決議をし、割当契約もこれに沿って変更した。取締役らは新株予約権を行使し、計2万6000株が発行された。Y社の株式は上場も店頭登録もされていない。

Y社の監査役Xが、主位的に会社法828条1項2号に基づき株式発行の無効を、予備的に当然無効の確認を求めた。原審は主位的請求を認容した。

争点

  • 総会決議の委任を受けて取締役会が定めた新株予約権の行使条件を、発行後に取締役会決議で変更できるか
  • 非公開会社で総会特別決議を経ずに株主割当て以外の方法でされた募集株式発行に無効原因があるか
  • 非公開会社が発行した新株予約権の行使条件に反する行使による株式発行に無効原因があるか

判旨

上告棄却(株式発行を無効とした原審を結論において是認)。

  • 行使条件の変更(旧商法下):取締役会が旧商法280条ノ21第1項の総会決議による委任を受けて行使条件を定めた場合、発行後に行使条件を変更できる旨の明示の委任がない限り、発行後の取締役会決議による変更は原則として許されない。その決議は、行使条件の細目的な変更にとどまる場合を除き無効である。上場条件の撤廃は細目的変更に当たる余地がなく、無効である。
  • 募集株式発行の無効原因:非公開会社において、株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法で募集株式が発行された場合、発行手続に重大な法令違反があり、その瑕疵は無効原因となる。
  • 行使条件違反の行使による発行:非公開会社が株主割当て以外の方法で発行した新株予約権に株主総会が行使条件を付した場合、その条件が発行の趣旨に照らして新株予約権の重要な内容を構成しているときは、これに反した行使による株式発行には無効原因がある。

判決文から

「別途明示の委任がない限り,株主総会当時の諸事情の下における適切な行使条件を定めることを委任する趣旨のものであり,一旦定められた行使条件を新株予約権の発行後に適宜実質的に変更することまで委任する趣旨のものであるとは解されない。」

行使条件の委任の範囲を限定する理由

「新たに新株予約権を発行したものというに等しく」

発行後の実質的変更を新規発行と同視する視点

「非公開会社については,その性質上,会社の支配権に関わる持株比率の維持に係る既存株主の利益の保護を重視し,その意思に反する株式の発行は株式発行無効の訴えにより救済するというのが会社法の趣旨と解される」

無効原因を肯定する実質的根拠

「非公開会社において,株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法による募集株式の発行がされた場合,その発行手続には重大な法令違反があり,この瑕疵は上記株式発行の無効原因になると解するのが相当である。」

答案にそのまま書ける規範

「上記行使条件に反した新株予約権の行使による株式の発行は,これにより既存株主の持株比率がその意思に反して影響を受けることになる点において,株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法による募集株式の発行がされた場合と異なるところはない」

行使条件違反を総会決議欠缺と同視する論理

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。