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精神科医秘密漏示事件

最決平成24年2月13日

医師が命じられた医学的判断を内容とする鑑定は医師の業務であり、本人以外の者の秘密の漏示も秘密漏示罪となるとした決定

刑法上訴・再審自由・名誉・信用に対する罪裁判員裁判本試験で 6 問(短答 6・論文 0)

出題:司法H25・司法R6・予備H25・予備H27・予備R6・予備R7

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
平成22(あ)126 秘密漏示被告事件
裁判
決定・棄却
判例集
刑集 第66巻4号405頁
参照法条
(1〜3につき)刑法134条1項,(3につき)刑法135条,刑訴法230条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

1 医師としての知識,経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた医師がその過程で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らす行為と秘密漏示罪の成否 2 医師が医師としての知識,経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた場合の刑法134条1項の「人の秘密」の範囲 3 刑法134条1項の罪の告訴権者

裁判要旨

1 医師としての知識,経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた医師が,当該鑑定を行う過程で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らす行為は,医師がその業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏示するものとして刑法134条1項の秘密漏示罪に該当する。 2 医師が医師としての知識,経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた場合の刑法134条1項の「人の秘密」には,鑑定対象者本人の秘密のほか,同鑑定を行う過程で知り得た鑑定対象者本人以外の者の秘密も含まれる。 3 医師が医師としての知識,経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定の過程で知り得た鑑定対象者本人以外の者の秘密を漏示した場合には,その秘密を漏示された者は,刑訴法230条にいう「犯罪により害を被った者」として,告訴権を有する。 (1,2につき補足意見がある。)

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

精神科医である被告人は、少年事件について家庭裁判所から鑑定を命じられた。鑑定事項は「1 少年が本件非行に及んだ精神医学的背景、2 少年の本件非行時及び現在の精神状態、3 その他少年の処遇上参考になる事項」であり、精神科医としての知識・経験に基づく、診断を含む精神医学的判断を内容とするものであった。被告人はこの鑑定を実施し、鑑定資料として少年らの供述調書等の写しの貸出しを受けていた。ところが、正当な理由がないのに、鑑定資料や鑑定結果を記載した書面を第三者に閲覧させ、少年とその実父の秘密を漏らした。

弁護人は次のように主張した。

  • 鑑定は「鑑定人の業務」であって「医師の業務」ではないから、秘密漏示罪に当たらない。
  • 少年や実父は被告人に業務を委託した者ではないから、告訴権者に当たらない。

第1審・原審は、同罪の成立と少年・実父の告訴権を認めた。

争点

  • 医師が命じられた医学的判断を内容とする鑑定の過程で知り得た秘密の漏示は、刑法134条1項の「業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密」の漏示に当たるか
  • 刑法134条1項の「人の秘密」に、鑑定対象者本人以外の者の秘密も含まれるか
  • 鑑定対象者本人以外の者で秘密を漏示された者は、刑訴法230条の告訴権者(「犯罪により害を被った者」)に当たるか

判旨

上告棄却(職権判断)。判断は次の3点である。

  • 業務性:医師が、医師としての知識・経験に基づく、診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた場合、その鑑定の実施は医師がその業務として行うものといえる。したがって、鑑定の過程で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らす行為は、医師がその業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密の漏示として、刑法134条1項の秘密漏示罪に該当する。
  • 「人の秘密」の範囲:この場合の「人の秘密」には、鑑定対象者本人の秘密のほか、鑑定の過程で知り得た本人以外の者の秘密も含まれる。
  • 告訴権:これらの秘密を漏示された者は、刑訴法230条の「犯罪により害を被った者」に当たり、告訴権を有する(秘密漏示罪は刑法135条により親告罪である)。

以上から、少年と実父の秘密を漏らした行為に同罪の成立を認め、両名の告訴権を肯定した第1審判決を是認した原判断は正当とされた。

判決文から

「医師が当該鑑定を行う過程で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らす行為は,医師がその業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏示するものとして刑法134条1項の秘密漏示罪に該当すると解するのが相当である。」

鑑定も医師の業務として秘密漏示罪の対象となる

「「人の秘密」には,鑑定対象者本人の秘密のほか,同鑑定を行う過程で知り得た鑑定対象者本人以外の者の秘密も含まれるというべきである。」

秘密の主体は本人に限られない

「これらの秘密を漏示された者は刑訴法230条にいう「犯罪により害を被った者」に当たり,告訴権を有すると解される。」

本人以外の秘密主体にも告訴権がある

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。