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堀越事件

最判平成24年12月7日

国公法102条1項の「政治的行為」を、政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められる行為に限ると解釈し、構成要件不該当で無罪とした。

憲法表現の自由人権総論・享有主体違憲審査制・憲法訴訟本試験で 6 問(短答 6・論文 0)

出題:司法H24・司法H25・司法H30・司法R2・予備H29・予備H30

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
平成22(あ)762 国家公務員法違反被告事件
裁判
判決・棄却
判例集
刑集 第66巻12号1337頁
参照法条
(1,3,4につき) 国家公務員法102条1項 (2〜4につき) 人事院規則14−7第5項3号,人事院規則14−7第6項7号,人事院規則14−7第6項13号 (3,4につき) 国家公務員法(平成19年法律第108号による改正前のもの)110条1項19号 (3につき) 憲法21条1項,憲法31条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

1 国家公務員法102条1項にいう「政治的行為」の意義 2 人事院規則14−7第6項7号,13号に掲げる政治的行為の意義 3 国家公務員法(平成19年法律第108号による改正前のもの)110条1項19号,国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号,13号による政党の機関紙の配布及び政治的目的を有する文書の配布の禁止と憲法21条1項,31条 4 国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号,13号により禁止された政党の機関紙の配布及び政治的目的を有する文書の配布に当たらないとされた事例

裁判要旨

1 国家公務員法102条1項の「政治的行為」とは,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが,観念的なものにとどまらず,現実的に起こり得るものとして実質的に認められる政治的行為をいう。 2 人事院規則14−7第6項7号,13号に掲げる政治的行為は,それぞれが定める行為類型に文言上該当する行為であって,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められるものをいう。 3 国家公務員法(平成19年法律第108号による改正前のもの)110条1項19号,国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号,13号による政党の機関紙の配布及び政治的目的を有する文書の配布の禁止は,憲法21条1項,31条に違反しない。 4 管理職的地位になく,その職務の内容や権限に裁量の余地のない一般職国家公務員が,職務と全く無関係に,公務員により組織される団体の活動としての性格を有さず,公務員による行為と認識し得る態様によることなく行った本件の政党の機関紙及び政治的目的を有する文書の配布は,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められるものとはいえず,国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号,13号により禁止された行為に当たらない。 (1〜4につき補足意見,1,2,4につき意見がある。)

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人は、社会保険事務所に年金審査官として勤務する厚生労働事務官である。平成15年の衆議院議員総選挙に際し、日本共産党を支持する目的で、3回にわたり、居住地周辺の居宅・事務所等の郵便受けに、同党の機関紙「しんぶん赤旗」号外や、同党を支持する政治的目的を有する無署名文書を配布した。この行為が国家公務員法110条1項19号(平成19年改正前)、102条1項、人事院規則14-7第6項7号・13号(5項3号)(本件罰則規定)に当たるとして起訴された。

  • 被告人は相談室付係長で、年金相談に対しコンピューター上の記録に基づいて回答するだけの業務を担当していた。業務は全く裁量の余地がなく、年金支給の決定権限や人事・監督の権限もなかった。
  • 配布は休日に行われ、勤務先やその職務とは無関係であった。公務員であることを明らかにせず、無言で郵便受けに入れるというものであった。
  • 第1審は本件罰則規定を合憲としたうえで有罪(罰金10万円、執行猶予2年)とした。
  • 原審は、本件配布行為に本件罰則規定を適用することは憲法21条1項・31条に違反するとして(適用違憲)、第1審判決を破棄し無罪とした。
  • 検察官が上告した。

争点

  • 国家公務員法102条1項にいう「政治的行為」の意義(人事院規則14-7第6項7号・13号の解釈)
  • 本件罰則規定による機関紙・政治的文書の配布禁止が憲法21条1項・31条に違反するか
  • 本件配布行為が本件罰則規定の構成要件に該当するか
  • 猿払事件大法廷判決(最大判昭和49年11月6日)との関係(判例違反の有無)

判旨

上告棄却(無罪の結論を維持)。

  • 「政治的行為」の意義:国家公務員法102条1項の「政治的行為」とは、公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが、観念的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして実質的に認められるものをいう。同項は、その行為類型の具体的な定めを人事院規則に委任したものである。規則6項7号・13号の対象も、文言上該当する行為のうち上記のおそれが実質的に認められるものに限られる。
  • 判断方法:おそれの有無は、当該公務員の地位、職務の内容・権限等と、行為の性質・態様・目的・内容等の諸般の事情を総合して判断する。
  • 合憲性:この解釈の下で、本件罰則規定は憲法21条1項・31条に違反しない。不明確とも過度に広汎ともいえない。
  • あてはめ:本件配布行為は、管理職的地位になく裁量のない公務員が、職務と全く無関係に行ったものである。公務員の団体活動としての性格もなく、公務員による行為と認識し得る態様でもない。よって上記のおそれは実質的に認められず、構成要件に該当しない。

判決文から

「同項にいう「政治的行為」とは,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが,観念的なものにとどまらず,現実的に起こり得るものとして実質的に認められるものを指し」

「政治的行為」を限定する中心的規範

「当該公務員の地位,その職務の内容や権限等,当該公務員がした行為の性質,態様,目的,内容等の諸般の事情を総合して判断するのが相当である。」

おそれの有無を判断する総合考慮の枠組み

「本件罰則規定の目的のために規制が必要とされる程度と,規制される自由の内容及び性質,具体的な規制の態様及び程度等を較量して決せられるべきものである」

合憲性審査の利益較量の枠組み(よど号判決を引用)

「そもそも本件配布行為は本件罰則規定の解釈上その構成要件に該当しないためその適用がないと解すべきであって,上記憲法の各規定によってその適用が制限されるものではないと解される」

原審の適用違憲の手法を退けた部分

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。