参議院議員定数不均衡訴訟(平成22年選挙)
参院選挙区の最大較差1対5.00を違憲状態としつつ、是正しなかったことは裁量の限界内として違憲とはしなかった
出題:司法H27・司法H30・司法R2・司法R8・予備H30・予備R2
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 平成23(行ツ)64 選挙無効請求事件
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 集民 第241号91頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,憲法15条1項,憲法3項,憲法43条1項,憲法44条,公職選挙法14条,公職選挙法別表第3
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性
裁判要旨
公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下で,平成22年7月11日施行の参議院議員通常選挙当時,選挙区間における投票価値の不均衡は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたが,上記選挙までの間に上記規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,上記規定が憲法14条1項等に違反するに至っていたということはできない。 (補足意見,意見及び反対意見がある。)
解説
事案
平成22年7月11日施行の参議院議員通常選挙について、東京都選挙区の選挙人が、公職選挙法14条・別表第3の参議院(選挙区選出)議員定数配分規定は憲法14条1項等に違反して無効だと主張し、選挙無効訴訟を提起した。
- 参議院の選挙区は、制度発足以来、都道府県を単位とし、半数改選のため各選挙区に偶数(最小2人)の定数を配分する仕組みである。最大較差は発足時の1対2.62から次第に拡大した。
- 平成8年判決は較差6.59倍を違憲状態とした。その後の改正は定数の小幅な振替にとどまり、較差5倍前後が続いた。
- 平成21年判決(較差4.86倍)は、較差縮小には選挙制度の仕組み自体の見直しが必要だと指摘した。しかし本件選挙までに法改正はなく、本件選挙時の最大較差は1対5.00に拡大していた。
- 原審(東京高裁)は、定数配分規定を違憲としたうえで事情判決の法理により請求を棄却し、選挙の違法を宣言した。被告側が上告した。
争点
- 参議院(選挙区選出)議員の定数配分規定の下で、本件選挙当時の最大較差1対5.00が違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたか
- 参議院の特殊性(二院制、半数改選、都道府県単位の選挙区)を理由に投票価値の平等の要請が後退するか
- 本件選挙までに定数配分規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超え、規定が違憲となるか
判旨
原判決を変更して請求を棄却した。違憲状態ではあるが、違憲とはしていない。
- 規範:憲法は投票価値の平等を要求する。ただし、それは選挙制度の仕組みを決める唯一・絶対の基準ではなく、国会が正当に考慮できる他の政策目的との関連で調和的に実現されるべきものである。人口変動の結果、投票価値の著しい不平等状態が生じ、それが相当期間継続しているのに是正措置を講じないことが国会の裁量権の限界を超えると判断される場合には、定数配分規定は違憲となる。昭和58年判決以来のこの枠組みは変更しない。
- あてはめ(1段階目):参議院議員の選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退するとはいえない。本件選挙当時の較差5.00倍は、これを正当化すべき特別の理由も見いだせず、違憲状態に至っていた。
- あてはめ(2段階目):仕組みの見直しを指摘した平成21年判決から本件選挙まで約9か月しかない。見直しには相応の時間を要し、参議院で検討も進められていた。そのため、改正しなかったことが裁量権の限界を超えるとはいえない。
- 付言:都道府県単位の方式を改めるなど、仕組み自体を見直す立法措置により、できるだけ速やかに不平等状態を解消する必要がある。
判決文から
「参議院議員の選挙であること自体から,直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難い。」
参議院の特殊性による緩和論を修正した核心部分
「投票価値の著しい不平等状態が生じ,かつ,それが相当期間継続しているにもかかわらずこれを是正する措置を講じないことが,国会の裁量権の限界を超えると判断される場合には,当該議員定数配分規定が憲法に違反するに至るものと解するのが相当である。」
違憲状態+相当期間という2段階の判断枠組み
「都道府県を選挙区の単位として固定する結果,その間の人口較差に起因して投票価値の大きな不平等状態が長期にわたって継続していると認められる状況の下では,上記の仕組み自体を見直すことが必要になるものといわなければならない。」
都道府県単位の仕組み自体の見直しを要求
「投票価値の不均衡は,投票価値の平等の重要性に照らしてもはや看過し得ない程度に達しており,これを正当化すべき特別の理由も見いだせない以上,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたというほかはない。」
較差5.00倍を違憲状態と認定した部分
「単に一部の選挙区の定数を増減するにとどまらず,都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなど,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講じ」
小幅な定数振替では足りないとの立法府への要請
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
