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長期譲渡所得の損益通算廃止事件

最判平成23年9月22日

暦年途中の租税法規の改正を暦年当初から適用することの憲法84条適合性を総合勘案で判断し、合憲とした判例

憲法財政・地方自治本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法R5・予備R5

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
平成21(行ツ)73 通知処分取消請求事件
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第65巻6号2756頁
参照法条
憲法84条,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)31条1項,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)31条2項,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)31条4項,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)31条5項2号,租税特別措置法31条1項,租税特別措置法31条3項2号,所得税法69条1項,平成16年法律第14号附則27条1項,国税通則法15条2項1号

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

長期譲渡所得に係る損益通算を認めないこととした平成16年法律第14号による改正後の租税特別措置法31条の規定をその施行日より前に個人が行う土地等又は建物等の譲渡について適用するものとしている平成16年法律第14号附則27条1項と憲法84条

裁判要旨

所得税に係る長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額につき他の各種所得の金額から控除する損益通算を認めないこととした平成16年4月1日施行に係る平成16年法律第14号による改正後の租税特別措置法31条の規定を,同年1月1日以後に個人が行う同条1項所定の土地等又は建物等の譲渡について適用するものとしている平成16年法律第14号附則27条1項の規定は,憲法84条の趣旨に反しない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

平成16年法律第14号(改正法)による租税特別措置法31条の改正で、土地等・建物等の長期譲渡所得の計算上生じた損失を他の各種所得から控除する損益通算が廃止された(あわせて税率は20%から15%に軽減、特別控除は廃止)。改正法は平成16年4月1日に施行されたが、附則27条1項により同年1月1日以後の譲渡に適用するとされた。

この方針は、平成15年12月の与党税制改正大綱で決まり、翌日新聞で報道された。報道直後から、不動産会社等が値下がり不動産の同年中の売却を勧めていた。

X(上告人)は、平成5年から所有していた土地を平成16年1月30日に売却して長期譲渡損失を生じ、損益通算に基づく更正の請求をした。所轄税務署長は更正をすべき理由がない旨の通知処分をした。Xは、施行日前の譲渡に損益通算廃止を及ぼすのは納税者に不利益な遡及立法で憲法84条に違反するなどと主張し、通知処分の取消しを求めた。

争点

  • 暦年途中に施行された租税法規の改正を暦年当初からの譲渡に適用することは、憲法84条(租税法律主義)に反するか
  • その憲法適合性をどのような基準で判断するか
  • 憲法30条との関係

判旨

上告棄却(合憲)。

  • 前提:憲法84条は課税要件・賦課徴収手続の法律による明確な定めを求めるだけでなく、課税関係における法的安定が保たれるべき趣旨を含む。
  • 規範:暦年途中の租税法規の変更とその暦年当初からの適用によって、納税者の租税法規上の地位が変更され、法的安定に影響が及び得る場合がある。その場合は、財産権の事後的変更(最大判昭和53年7月12日)と同様に、当該地位の性質、変更の程度、変更によって保護される公益の性質などの諸事情を総合的に勘案する。そのうえで、その変更が納税者の租税法規上の地位に対する合理的な制約として容認されるべきものかどうかという観点から判断する。
  • あてはめ:本件改正附則は合理的な制約として容認される。したがって憲法84条の趣旨に反しない。憲法30条の趣旨にも反しない。

判決文から

「憲法84条は,課税要件及び租税の賦課徴収の手続が法律で明確に定められるべきことを規定するものであるが,これにより課税関係における法的安定が保たれるべき趣旨を含むものと解するのが相当である」

84条に法的安定の趣旨を読み込む前提部分

「当該財産権の性質,その内容を変更する程度及びこれを変更することによって保護される公益の性質などの諸事情を総合的に勘案し,その変更が当該財産権に対する合理的な制約として容認されるべきものであるかどうかによって判断すべきもの」

昭和53年大法廷の総合勘案枠組みを援用

「納税者の納税義務それ自体ではなく,特定の譲渡に係る損失により暦年終了時に損益通算をして租税負担の軽減を図ることを納税者が期待し得る地位にとどまるものである」

変更対象の地位の性質を限定した核心部分

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。