板橋高校卒業式事件
卒業式の開式直前に大声で呼び掛け、怒号して式の遂行を妨げた行為を威力業務妨害罪に問うことは憲法21条1項に違反しない
出題:司法R6・予備R6
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成20(あ)1132 威力業務妨害被告事件
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 刑集 第65巻5号619頁
- 参照法条
- 憲法21条1項,刑法234条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
卒業式の開式直前に保護者らに対して大声で呼び掛けを行い,これを制止した教頭らに対して怒号するなどし,卒業式の円滑な遂行を妨げた行為をもって刑法234条の罪に問うことが,憲法21条1項に違反しないとされた事例
裁判要旨
卒業式の開式直前に,式典会場である体育館において,主催者に無断で,保護者らに対して,国歌斉唱のときには着席してほしいなどと大声で呼び掛けを行い,これを制止した教頭らに対して怒号するなどし,その場を喧噪状態に陥れるなどして,卒業式の円滑な遂行に支障を生じさせた行為をもって,刑法234条の罪に問うことは,憲法21条1項に違反しない。 (補足意見がある。)
解説
事案
都立高校の校長は、都教育長の通達を受けて、卒業式の国歌斉唱の際に来賓や保護者にも起立を求める実施要綱を作成した。同校の元教諭である被告人は、来賓として出席することになり、開式前に保護者席を回ってビラを配った。教頭から配布をやめるよう求められたが従わずに配り終えた。そのうえで、開式約18分前の午前9時42分頃、保護者席最前列中央で保護者らの方を向き、校長らに無断で大声で呼び掛けた。内容は、異常な卒業式であり、国歌斉唱時に起立しなければ教職員が処分される、国歌斉唱のときにはできたら着席してほしい、というものである。制止した教頭には怒号し、退場を求めた校長らにも怒鳴り声を上げて抵抗したが、午前9時45分頃に体育館から退場した。その後も廊下で抗議を続け、校外へ向かった。卒業生の入場は遅れ、式は予定より約2分遅れて開式した。第1審は罰金20万円とし、原審もこれを維持した。被告人は、表現行為を処罰するのは憲法21条1項違反であるとして上告した。
争点
- 卒業式直前の大声での呼び掛け・怒号が、刑法234条の「威力を用いて」「業務を妨害」に当たるか
- 表現行為としてされた本件行為を威力業務妨害罪に問うことが憲法21条1項に違反するか(違法性阻却の可否を含む)
判旨
上告棄却。
- 構成要件該当性:被告人は大声や怒号を発するなどして、学校が主催する卒業式の円滑な遂行を妨げた。これは威力を用いて他人の業務を妨害したものであり、威力業務妨害罪(刑法234条)の構成要件に該当する。
- 規範:憲法21条1項は表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認する。意見を外部に発表するための手段であっても、その手段が他人の権利を不当に害するようなものは許されない。
- あてはめ・結論:本件行為は、その場の状況にそぐわない不相当な態様で行われた。そして、静穏な雰囲気の中で執り行われるべき卒業式の円滑な遂行に看過し得ない支障を生じさせた。このような行為は社会通念上許されず、違法性を欠くものではない。したがって、刑法234条の罪に問うことは憲法21条1項に違反しない。
判決文から
「被告人が大声や怒号を発するなどして,同校が主催する卒業式の円滑な遂行を妨げたことは明らかであるから,被告人の本件行為は,威力を用いて他人の業務を妨害したものというべきであり,威力業務妨害罪の構成要件に該当する。」
卒業式の遂行を業務とし、威力該当性を認めた部分
「憲法21条1項も,表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく,公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであって,たとえ意見を外部に発表するための手段であっても,その手段が他人の権利を不当に害するようなものは許されない。」
表現の手段の規制を是認する一般論(規範)
「その場の状況にそぐわない不相当な態様で行われ,静穏な雰囲気の中で執り行われるべき卒業式の円滑な遂行に看過し得ない支障を生じさせたものであって,こうした行為が社会通念上許されず,違法性を欠くものでないことは明らかである。」
態様の不相当性から違法性阻却を否定
「本件は,場所,時を選ばずなされた行為の態様が問題なのであるから,正当行為及び正当防衛の主張に理由がないことは明らかである。」
補足意見:内容でなく態様が問題とされた点
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
