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一級建築士免許取消処分事件

最判平成23年6月7日

公にされた複雑な処分基準の適用関係を示さない免許取消処分は、行手法14条1項本文の理由提示を欠き違法とした

行政法行政手続法情報公開・個人情報行政裁量本試験で 14 問(短答 14・論文 0)

出題:司法H23・司法H25・司法H26・予備H27・予備H28・予備H29・予備H30・予備R3・予備R5・予備R6

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
平成21(行ヒ)91 一級建築士免許取消処分等取消請求事件
裁判
判決・破棄自判
判例集
民集 第65巻4号2081頁
参照法条
行政手続法12条,行政手続法14条,建築士法(平成18年法律第92号による改正前のもの)10条1項,建築士の処分等について(平成11年12月28日建設省住指発第784号都道府県知事宛て建設省住宅局長通知。平成19年6月20日廃止前のもの)記(附則を除く。),建築士の処分等について(平成11年12月28日建設省住指発第784号都道府県知事宛て建設省住宅局長通知。平成19年6月20日廃止前のもの)別表第1(表1を除く。)

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

公にされている処分基準の適用関係を示さずにされた建築士法(平成18年法律第92号による改正前のもの)10条1項2号及び3号に基づく一級建築士免許取消処分が,行政手続法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠き,違法であるとされた事例

裁判要旨

建築士法(平成18年法律第92号による改正前のもの)10条1項2号及び3号に基づいてされた一級建築士免許取消処分の通知書において,処分の理由として,名宛人が,複数の建築物の設計者として,建築基準法令に定める構造基準に適合しない設計を行い,それにより耐震性等の不足する構造上危険な建築物を現出させ,又は構造計算書に偽装が見られる不適切な設計を行ったという処分の原因となる事実と,同項2号及び3号という処分の根拠法条とが示されているのみで,同項所定の複数の懲戒処分の中から処分内容を選択するための基準として多様な事例に対応すべくかなり複雑な内容を定めて公にされていた当時の建設省住宅局長通知による処分基準の適用関係が全く示されていないなど判示の事情の下では,名宛人において,いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることができず,上記取消処分は,行政手続法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠き,違法である。 (補足意見及び反対意見がある。)

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

Xは一級建築士で、X社が開設する建築士事務所の管理建築士だった。国土交通大臣は、旧建築士法10条1項2号・3号に基づき、Xの一級建築士免許を取り消した。通知書の理由欄には、次の2点と、同項2号・3号に該当するという根拠法条だけが書かれていた。

  • 札幌市内の複数の建築物について、構造基準に適合しない設計をして耐震性等の不足する危険な建築物を現出させたこと
  • 別の複数の建築物について、構造計算書に偽装が見られる不適切な設計をしたこと

これを受けて北海道知事は、同法26条2項4号に基づきX社の事務所登録を取り消した。

建築士法10条1項は、戒告・1年以内の業務停止・免許取消しから処分を選ぶ仕組みである。当時は、意見公募手続を経た建設省住宅局長通知による処分基準が公にされていた。その内容は、懲戒事由ごとの処分ランク、情状による加減、ランクに応じた処分内容、結果が重大な場合のただし書、複数行為の加重などを定めるかなり複雑なものだった。

Xらは本文が適用されたと理解していたが、国は訴訟で、主位的にただし書、予備的に本文と主張した。原審は、根拠法条と事実を示せば理由提示として十分だとして請求を棄却した。

争点

  • 行政手続法14条1項本文に基づき、どの程度の理由を提示すべきか
  • 公にされている処分基準がある場合、その適用関係まで示す必要があるか
  • 理由提示の不備がある免許取消処分と、それを前提とする事務所登録取消処分の効力

判旨

原判決を破棄し、第1審判決を取り消して、免許取消処分と事務所登録取消処分をいずれも取り消した(破棄自判)。

規範

  • 行手法14条1項本文の趣旨は、次の2点にある。
  • 行政庁の判断の慎重と合理性を担保して恣意を抑制すること
  • 処分理由を名宛人に知らせて不服申立てに便宜を与えること
  • 提示すべき理由の程度は、この趣旨に照らし、次の事情を総合考慮して決める。
  • 根拠法令の規定内容
  • 処分基準の存否・内容・公表の有無
  • 処分の性質・内容
  • 処分の原因となる事実関係の内容

あてはめ

  • 処分要件は抽象的で、どの処分を選ぶかは裁量に委ねられている。
  • 処分基準は手厚い手続を経て公にされ、かなり複雑である。
  • そのため、原因事実と根拠法条に加えて処分基準の適用関係が示されなければ、名宛人は「いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのか」を知ることが通例困難である。
  • 本件は資格を直接剥奪する重大な不利益処分であるのに、適用関係が全く示されていない。よって理由提示の要件を欠き違法であり、取消しを免れない。
  • これを前提とする登録取消処分も違法として取り消される。

判決文から

「名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。」

理由提示の二つの趣旨(恣意抑制・不服申立便宜)

「当該処分の根拠法令の規定内容,当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無,当該処分の性質及び内容,当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。」

理由提示の程度を決める総合考慮の規範

「同項2号及び3号の定める処分要件はいずれも抽象的である上,これらに該当する場合に同項所定の戒告,1年以内の業務停止又は免許取消しのいずれの処分を選択するかも処分行政庁の裁量に委ねられている。」

要件の抽象性と効果裁量がある点を指摘

「いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって免許取消処分が選択されたのかを知ることはできないものといわざるを得ない。」

要件該当性と処分選択の理由を区別した核心

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。