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最大判平成23年3月23日

衆院小選挙区の1人別枠方式は合理性を失い違憲状態に至ったが、合理的期間を徒過していないとして違憲とはしなかった判決

憲法参政権・国務請求権法の下の平等国会本試験で 4 問(短答 4・論文 0)

出題:司法H27・司法H30・予備H30・予備R7

裁判所
最高裁判所大法廷
事件番号
平成22(行ツ)129 選挙無効請求事件
裁判
判決・破棄自判
判例集
集民 第236号249頁
参照法条
憲法14条1項,憲法15条1項,憲法15条3項,憲法43条1項,憲法44条,公職選挙法13条1項,公職選挙法別表第1,衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

衆議院小選挙区選出議員の選挙についてのいわゆる1人別枠方式を含む区割基準を定める衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条及び同基準に従って選挙区割りを定める公職選挙法13条1項,別表第1の各規定の合憲性

裁判要旨

平成21年8月30日施行の総選挙当時において,衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りの基準のうち,同条2項のいわゆる1人別枠方式に係る部分は,憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っており,同基準に従って平成14年に改定された公職選挙法13条1項,別表第1の定める選挙区割りも,憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたが,いずれも憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,上記各規定が憲法14条1項等に違反するものということはできない。 (補足意見,意見及び反対意見がある。)

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

平成21年8月30日施行の衆議院議員総選挙について、大阪府第9区の選挙人が選挙無効訴訟を提起した。小選挙区の区割りに関する公職選挙法13条1項・別表第1と、区割基準を定める区画審設置法3条が憲法に違反し、選挙も無効だと主張した。

  • 区画審設置法3条1項は、選挙区間の人口の最大較差を2倍未満とすることを基本とする。
  • 同条2項は、各都道府県にまず1を配当し、残りを人口比例で配分する(1人別枠方式)。
  • 平成12年国勢調査に基づき、平成14年改正で5増5減の区割り(本件選挙区割り)が定められ、本件選挙はこれにより施行された。
  • 本件選挙当日の選挙区間の選挙人数の最大較差は1対2.304(高知3区と千葉4区)で、較差2倍以上の選挙区は45あった。都道府県単位でも最大1対1.978の較差があった。

原審(大阪高裁)は、区割規定を違憲としたうえで、事情判決の法理により請求を棄却し、選挙の違法を主文で宣言した。

争点

  • 衆議院小選挙区選挙の区割基準のうち1人別枠方式(区画審設置法3条2項)は、投票価値の平等の要求に反するか
  • 同基準に従って定められた本件区割規定(公選法13条1項・別表第1)は違憲か
  • 違憲状態に至っていた場合に、憲法上要求される合理的期間内の是正がされなかったといえるか

判旨

原判決を変更し、請求を棄却した。

規範

  • 憲法は投票価値の平等を要求している。ただし、それは選挙制度の仕組みを決める絶対の基準ではなく、国会が正当に考慮できる他の政策目的と調和的に実現されるべきものである。
  • 衆議院の選挙区選挙では、議員1人当たりの選挙人数または人口ができる限り平等に保たれることが「最も重要かつ基本的な基準」である。それ以外の要素も、合理性を有する限り考慮が許される。
  • 合憲性は、諸事情を総合考慮したうえで、なお国会の裁量権の行使として合理性を有するか否かで判断する。

あてはめ・結論

  • 1人別枠方式は、新制度導入時の激変緩和という合理性に時間的限界がある。遅くとも本件選挙時には合理性が失われ、それ自体が憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていた。これに基づく本件選挙区割りも同様である。
  • しかし、平成19年判決が平成17年選挙時点で違憲状態に至っていないと判断していたことなどから、合理的期間内に是正されなかったとはいえない。
  • よって、区割基準規定・区割規定は憲法14条1項等に違反しない。

判決文から

「議員1人当たりの選挙人数又は人口ができる限り平等に保たれることを最も重要かつ基本的な基準とすることを求めているというべきであるが,それ以外の要素も合理性を有する限り国会において考慮することを許容しているものといえる。」

衆院選挙区割りの基本的判断基準

「地域性に係る問題のために,殊更にある地域(都道府県)の選挙人と他の地域(都道府県)の選挙人との間に投票価値の不平等を生じさせるだけの合理性があるとはいい難い。」

過疎地域への配慮という立法目的を否定

「1人別枠方式は,おのずからその合理性に時間的な限界があるものというべきであり,新しい選挙制度が定着し,安定した運用がされるようになった段階においては,その合理性は失われるものというほかはない。」

激変緩和措置としての合理性の時間的限界

「本件選挙までの間に本件区割基準中の1人別枠方式の廃止及びこれを前提とする本件区割規定の是正がされなかったことをもって,憲法上要求される合理的期間内に是正がされなかったものということはできない。」

違憲状態だが違憲とはしない結論部分

「衆議院は,その権能,議員の任期及び解散制度の存在等に鑑み,常に的確に国民の意思を反映するものであることが求められており,選挙における投票価値の平等についてもより厳格な要請があるものといわなければならない。」

衆議院で投票価値平等の要請が厳格な理由

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。