名古屋市冷凍倉庫事件
固定資産の価格を過大に決定された納税者は、審査の申出や取消訴訟を経なくても、国家賠償請求をすることができる。
出題:司法H24・予備H30
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成21(受)1338 損害賠償請求事件
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 民集 第64巻4号1010頁
- 参照法条
- 国家賠償法1条1項,地方税法(平成11年法律第15号による改正前のもの)432条1項,地方税法(平成11年法律第160号による改正前のもの)403条1項,地方税法(平成11年法律第160号による改正前のもの)432条1項,地方税法(平成14年法律第17号による改正前のもの)432条1項,地方税法403条1項,地方税法432条1項,地方税法434条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
固定資産の価格を過大に決定されたことによって損害を被った納税者が地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経ていない場合における国家賠償請求の許否
裁判要旨
公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して固定資産の価格を過大に決定したときは,これによって損害を被った当該納税者は,地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく,国家賠償請求を行い得る。 (補足意見がある。)
解説
事案
上告人Xは倉庫(本件倉庫)を所有し、固定資産税・都市計画税を納付してきた。昭和62年度から平成13年度まで、本件倉庫は一般用の倉庫に当たるとして評価され、価格と税額が決定された(本件各決定)。評価基準上、一般用の倉庫は冷凍倉庫等よりも高く評価される。
平成18年、名古屋市長から権限の委任を受けた港区長は、本件倉庫が冷凍倉庫等に当たるとして、平成14年度から18年度までの登録価格を修正し、減額更正をした。Xは、平成14年度から17年度までの差額を還付された。
Xは、登録価格について固定資産評価審査委員会への審査の申出をしたことがなかった。そのうえで、昭和62年度から平成13年度までの評価誤りは違法で過失もあると主張し、名古屋市を相手に、国家賠償法1条1項に基づいて過納金相当額と弁護士費用相当額の賠償を求めた。
原審は、次の理由で請求を棄却した。
- 無効事由がある場合を除き、過納金相当額の国家賠償を認めることは、地方税法の不服申立制度の趣旨を潜脱し、課税処分の公定力を実質的に否定する。
- 本件各決定に無効事由はなく、過失もない。
争点
- 地方税法432条1項本文の審査の申出と434条1項の取消訴訟等を経ずに、過大な価格決定を理由として国家賠償請求ができるか
- 金銭の納付を直接の目的とする課税処分について、取消しを経ない国家賠償請求を認めることが、公定力や地方税法434条2項に反しないか
- 本件で、本件倉庫を一般用倉庫として評価したことについて名古屋市長に過失が否定されるか
判旨
原判決を破棄し、名古屋高裁に差し戻した。
規範
- 国賠法1条1項により、公務員が個別の国民に対して負う職務上の法的義務に違背して損害を加えたときは、地方公共団体が賠償責任を負う。
- 行政処分の違法を理由に国家賠償請求をするために、あらかじめ取消し・無効確認の判決を得る必要はない。
- このことは、処分が金銭を納付させることを直接の目的とし、国賠を認容すれば取り消したのと同様の経済的効果が生じる場合でも異ならない。
結論
- 価格決定と賦課決定に無効事由がない場合でも、公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して価格・税額を過大に決定したときは、損害を被った納税者は審査の申出・取消訴訟等を経ずに国家賠償請求ができる。
- 過失についても、設計図の「冷蔵室(−30℃)」の記載や、外観から容易に確認できるクーリングタワー等の存在に照らすと、原判決の理由だけでは過失を否定できない。
判決文から
「同規定は,固定資産課税台帳に登録された価格自体の修正を求める手続に関するものであって(435条1項参照),当該価格の決定が公務員の職務上の法的義務に違背してされた場合における国家賠償責任を否定する根拠となるものではない。」
地方税法434条2項の「のみ」の射程を限定した部分
「行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするについては,あらかじめ当該行政処分について取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではない」
昭和36年判決を引き継ぐ一般論
「このことは,当該行政処分が金銭を納付させることを直接の目的としており,その違法を理由とする国家賠償請求を認容したとすれば,結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られるという場合であっても異ならないというべきである。」
本判決の核心。金銭納付目的の処分でも同じとした
「たとい固定資産の価格の決定及びこれに基づく固定資産税等の賦課決定に無効事由が認められない場合であっても,公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して当該固定資産の価格ないし固定資産税等の税額を過大に決定したときは」
無効事由がなくても国賠が可能とした結論部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
