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最決平成22年3月15日

ネットの個人利用者の表現でも、真実と誤信した相当の理由は他の表現手段と同じく確実な資料・根拠を要するとした

憲法表現の自由自由・名誉・信用に対する罪本試験で 9 問(短答 9・論文 0)

出題:司法H24・司法H30・予備H30

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
平成21(あ)360 名誉毀損被告事件
裁判
決定・棄却
判例集
刑集 第64巻2号1頁
参照法条
(1,2につき) 刑法230条1項,刑法230条の2第1項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

1 インターネットの個人利用者による名誉毀損と摘示事実を真実と誤信したことについての相当の理由 2 インターネットの個人利用者による名誉毀損行為につき,摘示事実を真実と誤信したことについて相当の理由がないとされた事例

裁判要旨

1 インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても,他の表現手段を利用した場合と同様に,行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り,名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であって,より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきではない。 2 インターネットの個人利用者が,摘示した事実を真実であると誤信してした名誉毀損行為について,その根拠とした資料の中には一方的立場から作成されたにすぎないものもあることなどの本件事実関係(判文参照)の下においては,上記誤信について,確実な資料,根拠に照らして相当の理由があるとはいえない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人は、自ら開設したホームページに、ラーメン店のフランチャイズ加盟店の募集・経営指導を業とする乙株式会社について、「貴方が『甲』で食事をすると、飲食代の4〜5%がカルト集団の収入になります。」などと、同社がカルト集団である旨の虚偽の文章を掲載した。また、同社の会社説明会の広告を引用したページに、同社が虚偽の広告をしているかのような文章も掲載し、これらを不特定多数が閲覧できる状態に置いた。

原判決は、公共の利害に関する事実について、主として公益を図る目的で行った表現だと認めた。しかし、摘示事実の重要部分(乙社と右翼系団体「丙」との一体性、加盟店から乙社、乙社から丙への資金の流れ)について真実性の証明がなく、真実と信じたことに相当の理由もないとして、名誉毀損罪(刑法230条1項)で有罪とした。

弁護人は、インターネットの個人利用者に要求される水準の調査はしており、ネットによる表現環境の変化を考慮すれば相当の理由があると主張して上告した。

争点

  • インターネットの個人利用者による表現行為について、摘示事実を真実と誤信したことの相当の理由を、他の表現手段より緩やかな要件で認めるべきか
  • 本件で、被告人が摘示事実を真実と誤信したことに相当の理由があるか

判旨

上告棄却(有罪維持)。職権で判断した。

  • 規範:インターネットの個人利用者による表現行為の場合でも、他の場合と同様に、行為者が摘示事実を真実であると誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り、名誉毀損罪は成立しない。より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきではない(最大判昭和44年6月25日を参照)。
  • あてはめ:被告人の根拠資料は、商業登記簿謄本、市販の雑誌記事、ネット上の書き込み、元加盟店長からのメール等である。しかし、資料の中には一方的立場から作成されたにすぎないものがあった。フランチャイズシステムに関する資料の理解も不正確であった。乙社の関係者に事実関係を確認することも一切なかった。したがって、確実な資料、根拠に照らした相当の理由はない。

判決文から

「個人利用者がインターネット上に掲載したものであるからといって,おしなべて,閲覧者において信頼性の低い情報として受け取るとは限らないのであって」

ネット情報は信頼性が低いとの前提を否定

「インターネット上に載せた情報は,不特定多数のインターネット利用者が瞬時に閲覧可能であり,これによる名誉毀損の被害は時として深刻なものとなり得ること」

伝播力の大きさ・被害の深刻さを根拠とする

「一度損なわれた名誉の回復は容易ではなく,インターネット上での反論によって十分にその回復が図られる保証があるわけでもない」

反論可能性(対抗言論)論を退ける部分

「行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り,名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であって」

答案に書く規範そのもの

「このような資料の中には一方的立場から作成されたにすぎないものもあること」

相当性否定のあてはめの中心事情

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。