最決平成22年12月2日
集合動産譲渡担保の効力は目的動産滅失による損害保険金請求権に及ぶ。ただし設定者が通常の営業を継続中は原則として物上代位できない。
出題:司法H27・司法R2・司法R7・予備R2
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成22(許)14 債権差押命令に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 民集 第64巻8号1990頁
- 参照法条
- 民法304条,民法369条(譲渡担保)
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の効力は,譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶか
裁判要旨
構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の効力は,譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶ。
解説
事案
魚の養殖業者Y(抗告人)は、貸金債権者X(相手方)との間で、養殖施設と施設内の養殖魚を目的とする譲渡担保権設定契約を結んだ。契約では、Yが養殖魚を通常の営業方法に従って販売できること、販売した場合は同価値以上の養殖魚を補充することが定められていた。
その後、赤潮で養殖魚2510匹が死滅した。Yは、Z共済組合との漁業共済契約に基づき、滅失による損害をてん補する共済金請求権を取得した。Yは新たな貸付けを受けられず、養殖業を廃止した。Xは譲渡担保権を実行し、施設と残存魚を売却して売却代金を貸金債権に充当した。
さらにXは、残債権を被担保債権として、譲渡担保権に基づく物上代位権の行使により共済金請求権を差し押さえ、債権差押命令が発付された。Yは、共済金請求権に譲渡担保権の効力は及ばないとして執行抗告した。原審は抗告を棄却し、Yが許可抗告した。
争点
- 構成部分の変動する集合動産譲渡担保権の効力は、目的動産の滅失により設定者に支払われる損害保険金(共済金)請求権に及ぶか
- 及ぶとして、譲渡担保権者はいつ物上代位権を行使できるか(設定者が通常の営業を継続している場合の制限)
判旨
抗告棄却(物上代位による差押えを肯定)。
- 効力の範囲:集合物譲渡担保権は、集合動産を構成するに至った動産(目的動産)の価値を担保として把握するものである。したがって、その効力は、目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するため設定者に支払われる損害保険金請求権に及ぶ。
- 行使の制限:集合物譲渡担保契約は、設定者が目的動産を販売して営業を継続することを前提とする。そのため、設定者が通常の営業を継続している場合には、直ちに物上代位権を行使できる旨の合意があるなどの特段の事情がない限り、物上代位権の行使は許されない。
- あてはめ:差押え申立ての時点で、Yは営業を廃止し、譲渡担保権も実行済みであった。営業を継続する余地はなかったから、Xは共済金請求権に物上代位権を行使できる。
判決文から
「譲渡担保権者において譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産(以下「目的動産」という。)の価値を担保として把握するものであるから」
効力が保険金に及ぶ根拠=価値把握
「その効力は,目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶと解するのが相当である。」
第1の規範:効力の及ぶ範囲
「構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保契約は,譲渡担保権設定者が目的動産を販売して営業を継続することを前提とするものであるから」
行使制限の根拠=営業継続の前提
「直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない限り,譲渡担保権者が当該請求権に対して物上代位権を行使することは許されないというべきである。」
第2の規範:特段の事情なき限り行使不可
「抗告人において本件譲渡担保権の目的動産を用いた営業を継続する余地はなかったというべきであるから」
行使を認めたあてはめの決め手
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
