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たぬきの森事件

最判平成21年12月17日

安全認定が取り消されていなくても、建築確認の取消訴訟で安全認定の違法を主張できるとした(違法性の承継の肯定例)

行政法行政行為(効力・瑕疵)取消訴訟の審理・判決取消訴訟の訴訟要件本試験で 15 問(短答 13・論文 2)

出題:司法H23・司法H24・司法H25・司法H28・司法R6・予備H24・予備H27

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
平成21(行ヒ)145 建築確認処分取消等請求,追加的併合申立て事件
裁判
判決・その他
判例集
民集 第63巻10号2631頁
参照法条
建築基準法(平成18年法律第46号による改正前のもの)6条1項,建築基準法43条,東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条1項,東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項に基づく安全認定が行われた上で建築確認がされている場合に,建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することの可否

裁判要旨

東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条1項所定の接道要件を満たしていない建築物について,同条3項に基づく安全認定(建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める処分。これがあれば同条1項は適用しないとされている。)が行われた上で建築確認がされている場合,安全認定が取り消されていなくても,建築確認の取消訴訟において,安全認定が違法であるために同条1項違反があると主張することは許される。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

東京都建築安全条例(本件条例)4条1項は、建築基準法43条2項に基づいて同条1項の接道要件を加重した規定である。延べ面積1000㎡を超える建築物の敷地は、延べ面積に応じた長さ(最低6m)以上、道路に接しなければならない。ただし同条3項は、知事が安全上支障がないと認める場合(安全認定)には1項を適用しないと定める。特別区では、この安全認定の事務を区長が行う。

本件建築物は延べ面積約2820㎡で、敷地は8m以上道路に接する必要があった。建築主側は、平成16年12月22日に新宿区長から安全認定(本件安全認定)を受け、平成18年7月31日に新宿区建築主事から建築確認(本件建築確認)を受けた。

敷地周辺に建物を所有し、または居住する住民らが、新宿区を被告として本件建築確認の取消しを求めた。住民らは、本件安全認定が違法だから本件建築確認も違法だと主張した。原審は、本件安全認定は裁量権の逸脱・濫用で違法であり、敷地は4条1項の接道義務に違反するとして、建築確認を取り消した。新宿区は上告受理を申し立てた。その理由は、先行処分の違法は、それが取り消されていない限り後続処分に承継されないのが原則だ、というものである。

争点

  • 先行処分である安全認定が取り消されていない場合に、後続処分である建築確認の取消訴訟で安全認定の違法を主張できるか(違法性の承継)
  • 取消訴訟の原告が原判決言渡し前に死亡した場合、訴訟は承継されるか

判旨

結論:安全認定がされた上で建築確認がされている場合、安全認定が取り消されていなくても、建築確認の取消訴訟で「安全認定が違法なので本件条例4条1項の接道義務に違反している」と主張することは許される。上告は棄却された(原審の判断を是認)。

判断の枠組み(答案で使う形):判決は一般論としての基準を立てていない。本件条例の仕組みに即して次の事情を考慮し、「以上の事情を考慮すると」として結論を導いた。これらは一般に、実体法的観点と手続法的観点の二つに整理される。

  • 実体法的観点:両処分が同一の目的を達成するために行われるものか。先行処分が後行処分と結合して初めて効果を発揮するものか。
  • 手続法的観点:先行処分の適否を争うための手続的保障が、これを争おうとする者に十分に与えられているか。先行処分の段階では争訟を提起しないという判断が不合理といえないか。

職権判断:原判決言渡し前に死亡した住民(X1)に関する部分は、承継の余地がなく当然に終了する。そのため原判決を破棄し、訴訟の終了を宣言した。

判決文から

「もともとは一体的に行われていたものであり,避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものである。」

実体法的観点①:両処分の目的が同一であること

「安全認定は,建築主に対し建築確認申請手続における一定の地位を与えるものであり,建築確認と結合して初めてその効果を発揮するのである。」

実体法的観点②:効果が結合していること

「安全認定について,その適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難である。」

手続法的観点:先行処分を争う手続的保障が不十分

「その者において,安全認定によって直ちに不利益を受けることはなく,建築確認があった段階で初めて不利益が現実化すると考えて,その段階までは争訟の提起という手段は執らないという判断をすることがあながち不合理であるともいえない。」

先行処分を争わない判断の合理性

「安全認定が取り消されていなくても,建築確認の取消訴訟において,安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許されると解するのが相当である。」

結論部分(違法性の承継の肯定)

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。