最決平成20年8月27日
私人作成の燃焼実験報告書には刑訴法321条3項を準用できないが、同条4項の書面に準じて証拠能力を認めた決定
出題:予備R5・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成19(あ)2207 非現住建造物等放火,詐欺未遂被告事件
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第62巻7号2702頁
- 参照法条
- 刑訴法321条3項,刑訴法321条4項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
火災原因の調査,判定に関し特別の学識経験を有する私人が燃焼実験を行ってその考察結果を報告した書面について,刑訴法321条3項は準用できないが,同条4項の書面に準じて同項により証拠能力が認められるとされた事例
裁判要旨
火災原因の調査,判定に関し特別の学識経験を有する私人が燃焼実験を行ってその考察結果を報告した本件書面(判文参照)については,刑訴法321条3項所定の書面の作成主体が「検察官,検察事務官又は司法警察職員」と規定されていること及びその趣旨に照らし同項の準用はできないが,同条4項の書面に準ずるものとして同項により証拠能力を有する。
解説
事案
非現住建造物等放火・詐欺未遂被告事件である。第1審公判では、放火に係る火災の原因に関する「燃焼実験報告書」の抄本が、作成者の証人尋問の後に刑訴法321条3項により採用された。作成者は私人であった。
この報告書は、火災原因の調査を多数行ってきた会社が、福岡県消防学校の依頼を受けて燃焼実験を行い、その考察結果を報告したものである。実験を担当した作成者は、消防士として15年間勤務し、通算約20年にわたり火災原因の調査・判定に携わってきた者であった。
原判決(福岡高裁)は、本件報告書抄本には捜査機関の実況見分に準ずるだけの客観性・業務性が認められるとして、同条3項を準用して証拠能力を認めた。被告人が上告し、最高裁は上告を棄却したうえで、職権でこの点を判断した。
争点
- 私人が作成した燃焼実験報告書に刑訴法321条3項を準用できるか
- 同書面が刑訴法321条4項の書面に準ずるものとして証拠能力を有するか
判旨
結論:上告棄却。3項準用は誤りだが、4項準用により証拠能力は認められるので、判決に影響しない。
- 3項について:321条3項の書面の作成主体は「検察官、検察事務官又は司法警察職員」と規定されている。この文言と趣旨に照らし、私人作成の書面に同項を準用することはできない。原判決の3項準用は法令の解釈適用の誤りである。
- 4項について:次の要件を満たす私人作成の書面は、321条4項の書面に準ずるものとして同項により証拠能力を有する。
- 作成者が、火災原因の調査・判定に関して特別の学識経験を有すること
- その学識経験に基づいて燃焼実験を行い、考察結果を報告したものであること
- 作成の真正が立証されていること
- 答案用の規範:特別の学識経験を有する私人が、その学識経験に基づいて実験・考察を行い、結果を報告した書面は、321条4項に準じ、作成者が公判で真正に作成されたことを供述すれば証拠能力が認められる。
判決文から
「同項所定の書面の作成主体は「検察官,検察事務官又は司法警察職員」とされているのであり,かかる規定の文言及びその趣旨に照らすならば,本件報告書抄本のような私人作成の書面に同項を準用することはできないと解するのが相当である。」
3項は作成主体の文言・趣旨から私人に準用不可
「本件報告書抄本は,同人が,かかる学識経験に基づいて燃焼実験を行い,その考察結果を報告したものであって,かつ,その作成の真正についても立証されていると認められるから」
4項準用の要件となる事情
「本件報告書抄本は,同法321条4項の書面に準ずるものとして同項により証拠能力を有するというべきであり,前記法令違反は,判決に影響を及ぼすものではない。」
結論:4項準用で証拠能力肯定
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
