国籍法違憲判決
準正を届出による国籍取得の要件とする国籍法3条1項の区別を憲法14条1項違反とし、準正要件を除いて国籍取得を認めた
出題:司法H22・司法H24・司法H26・司法H28・司法H29・司法R1・司法R3・司法R5・司法R6・予備H28・予備H29・予備R3・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 平成19(行ツ)164 国籍確認請求事件
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 集民 第228号101頁
- 参照法条
- (1,2につき)憲法10条,憲法14条1項,国籍法3条1項 (1につき)国籍法2条1号 (2につき)憲法81条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
1 国籍法3条1項が,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子につき,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り日本国籍の取得を認めていることによって国籍の取得に関する区別を生じさせていることと憲法14条1項 2 日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子は,日本国籍の取得に関して憲法14条1項に違反する区別を生じさせている,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分(準正要件)を除いた国籍法3条1項所定の国籍取得の要件が満たされるときは,日本国籍を取得するか
裁判要旨
1 国籍法3条1項が,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り届出による日本国籍の取得を認めていることによって,認知されたにとどまる子と準正のあった子との間に日本国籍の取得に関する区別を生じさせていることは,遅くとも上告人らが国籍取得届を提出した平成17年当時において,憲法14条1項に違反していたものである。 2 日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子は,国籍法3条1項所定の国籍取得の要件のうち,日本国籍の取得に関して憲法14条1項に違反する区別を生じさせている部分,すなわち父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分(準正要件)を除いた要件が満たされるときは,国籍法3条1項に基づいて日本国籍を取得する。 (1,2につき補足意見,意見及び反対意見がある。)
解説
事案
法律上の婚姻関係にない日本国民である父とフィリピン国籍の母との間に、日本で出生した子ら(上告人ら)がいた。上告人らは出生後に父から認知を受けたことを理由に、平成17年、法務大臣あてに国籍取得届を提出した。しかし、国籍取得の条件を備えていないとして、日本国籍を取得していないものとされた。そこで、国(被上告人)に対し、日本国籍を有することの確認を求めた。
当時の国籍法3条1項は、父母の婚姻とその認知によって嫡出子たる身分を取得した子(準正子)に限り、届出による国籍取得を認めていた。日本国民である母の非嫡出子や、日本国民である父から胎児認知された子は、同法2条1号により生来的に国籍を取得する。そのため3条1項は、実際上、日本国民である父と外国人母との間の子で、胎児認知を受けていないものにだけ適用される。
第1審は請求を認容した。原審は、準正要件部分が違憲でも、認知と届出だけで国籍取得を認めるのは裁判所による要件の創設であって違憲審査権の限界を逸脱するなどとして、請求を棄却した。
争点
- 国籍法3条1項が、準正子と生後認知されたにとどまる子(非準正子)との間に国籍取得の区別(本件区別)を生じさせていることは、憲法14条1項に違反するか
- 憲法10条の立法裁量と、憲法14条1項の審査の関係(審査の枠組み・密度)
- 違憲の場合、準正要件を除いた国籍法3条1項の要件を満たす子は、同項に基づき日本国籍を取得するか(救済方法と司法権の限界・憲法81条)
判旨
結論:本件区別は、遅くとも上告人らが国籍取得届を提出した平成17年当時には、憲法14条1項に違反していた。上告人らは国籍法3条1項により日本国籍を取得した(原判決破棄・控訴棄却)。
規範
- 憲法14条1項は、事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づかない限り、法的な差別的取扱いを禁止する。
- 憲法10条は、国籍の得喪要件を立法府の裁量判断に委ねている。それでも、その裁量権を考慮してなお次のいずれかに当たれば、区別は合理的理由のない差別として違憲となる。
- 区別の立法目的に合理的な根拠が認められない場合
- 具体的な区別と立法目的との間に合理的関連性が認められない場合
- 国籍は重要な法的地位であり、準正は子が自らの意思や努力で変えられない父母の身分行為に係る事柄である。そのため、区別の合理性は慎重に検討する必要がある。
救済:同項を全部無効とするのではなく、過剰な準正要件の部分だけを除いて合理的に解釈する。その結果、生後認知された子は、準正要件を除く同項所定の要件を満たせば、届出によって国籍を取得する。
判決文から
「立法府に与えられた上記のような裁量権を考慮しても,なおそのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠が認められない場合,又はその具体的な区別と上記の立法目的との間に合理的関連性が認められない場合には」
目的・手段の二段階で審査する規範
「日本国籍は,我が国の構成員としての資格であるとともに,我が国において基本的人権の保障,公的資格の付与,公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもある。」
区別される利益の重要性(審査を慎重にする要素①)
「父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得するか否かということは,子にとっては自らの意思や努力によっては変えることのできない父母の身分行為に係る事柄である。」
区別事由の性質(審査を慎重にする要素②)
「立法目的との間における合理的関連性は,我が国の内外における社会的環境の変化等によって失われており,今日において,国籍法3条1項の規定は,日本国籍の取得につき合理性を欠いた過剰な要件を課するものとなっているというべきである。」
立法事実の変化による事後的な違憲化
「同項の規定自体を全部無効として,準正のあった子(以下「準正子」という。)の届出による日本国籍の取得をもすべて否定することは,血統主義を補完するために出生後の国籍取得の制度を設けた同法の趣旨を没却するものであり」
全部無効という解釈を退けた理由
「父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分を除いた国籍法3条1項所定の要件が満たされるときは,同項に基づいて日本国籍を取得することが認められるというべきである。」
救済の方法(準正要件部分を除いて適用)
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
