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ラリアット事件

最決平成20年5月20日

不正な先行暴行で自ら侵害を招いた者の反撃は、反撃が正当とされる状況になく、正当防衛は成立しないとした決定

刑法違法性阻却(正当防衛・緊急避難)共同正犯本試験で 9 問(短答 9・論文 0)

出題:司法H22・司法H24・司法R3・司法R7・予備H24・予備H25・予備R3・予備R7

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
平成18(あ)2618 傷害被告事件
裁判
決定・棄却
判例集
刑集 第62巻6号1786頁
参照法条
刑法36条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

被告人が,自らの暴行により相手方の攻撃を招き,これに対する反撃としてした傷害行為について,正当防衛が否定された事例

裁判要旨

相手方から攻撃された被告人がその反撃として傷害行為に及んだが,被告人は,相手方の攻撃に先立ち,相手方に対して暴行を加えているのであって,相手方の攻撃は,被告人の暴行に触発された,その直後における近接した場所での一連,一体の事態ということができ,被告人は不正の行為により自ら侵害を招いたものといえるから,相手方の攻撃が被告人の上記暴行の程度を大きく超えるものでないなどの本件の事実関係の下においては,被告人の上記傷害行為は,被告人において何らかの反撃行為に出ることが正当とされる状況における行為とはいえない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

午後7時30分頃、A(51歳)が自転車にまたがったまま歩道上のごみ集積所にごみを捨てていた。通り掛かった被告人(41歳)がその姿を不審に思って声を掛け、両名は言い争いになった。被告人はいきなりAの左ほおを手拳で1回殴打し、すぐに走って立ち去った。

Aは「待て。」などと言いながら自転車で追い掛けた。殴打現場から約26.5m先を左折して約60m進んだ歩道上で追い付き、自転車に乗ったまま、水平に伸ばした右腕で後方から被告人の背中の上部または首付近を強く殴打した(いわゆるラリアット)。

被告人は前方に倒れたが起き上がり、護身用に携帯していた特殊警棒でAの顔面や防御しようとした左手を数回殴打した。Aは加療約3週間の顔面挫創・左手小指中節骨骨折を負った。

被告人は傷害罪で起訴された。原審はAの攻撃に侵害の急迫性がないとして正当防衛を否定した。弁護人は急迫性を否定した原判断は誤りだとして上告した。

争点

  • 自らの不正な暴行によって相手方の攻撃を招いた者が、その攻撃に対して反撃した場合に正当防衛(刑法36条)が成立するか(自招侵害)
  • 自招侵害の場合に正当防衛を否定する判断枠組み(急迫性の問題として扱うか)

判旨

上告棄却。正当防衛の成立を否定した原判断は結論において正当である。

規範(答案用)

  • 被告人が相手方の攻撃に先立って相手方に暴行を加えている。
  • 相手方の攻撃が、被告人の暴行に触発された、その直後における近接した場所での一連、一体の事態といえる。
  • 以上から、被告人は不正の行為により自ら侵害を招いたものといえる。
  • このとき、相手方の攻撃が被告人の暴行の程度を大きく超えるものでないなどの事実関係の下では、被告人の反撃行為は「何らかの反撃行為に出ることが正当とされる状況における行為とはいえない」。

本件では、被告人の特殊警棒による傷害行為について正当防衛は成立しない。

判決文から

「Aの攻撃は,被告人の暴行に触発された,その直後における近接した場所での一連,一体の事態ということができ,被告人は不正の行為により自ら侵害を招いたものといえるから」

自招侵害を認める判断要素(触発・時間的場所的近接・一連一体)

「Aの攻撃が被告人の前記暴行の程度を大きく超えるものでないなどの本件の事実関係の下においては,被告人の本件傷害行為は,被告人において何らかの反撃行為に出ることが正当とされる状況における行為とはいえないというべきである。」

侵害の程度という限定と、急迫性ではない独自の否定構成

「正当防衛の成立を否定した原判断は,結論において正当である。」

急迫性で否定した原審の理由づけを採らず結論のみ是認

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。