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立川反戦ビラ事件

最判平成20年4月11日

公務員宿舎の共用部分・敷地へのビラ投かん目的の立入りは邸宅侵入罪に当たり、これを処罰しても憲法21条1項に違反しない

憲法表現の自由自由・名誉・信用に対する罪本試験で 14 問(短答 14・論文 0)

出題:司法H24・司法H26・司法H29・司法R3・司法R4・予備H29・予備R2・予備R4・予備R7

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
平成17(あ)2652 住居侵入被告事件
裁判
判決・棄却
判例集
刑集 第62巻5号1217頁
参照法条
(1,2につき)刑法130条前段 (2につき)憲法21条1項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

1 管理者が管理する,公務員宿舎である集合住宅の1階出入口から各室玄関前までの部分及び門塀等の囲障を設置したその敷地が,刑法130条の邸宅侵入罪の客体に当たるとされた事例 2 各室玄関ドアの新聞受けに政治的意見を記載したビラを投かんする目的で公務員宿舎である集合住宅の敷地等に管理権者の意思に反して立ち入った行為をもって刑法130条前段の罪に問うことが,憲法21条1項に違反しないとされた事例

裁判要旨

1 管理者が管理する,職員及びその家族が居住する公務員宿舎である集合住宅の1階出入口から各室玄関前までの部分及び同宿舎の各号棟の建物に接してその周辺に存在し,かつ,管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより,これが各号棟の建物の付属地として建物利用のために供されるものであることを明示しているその敷地(判文参照)は,刑法130条にいう「人の看守する邸宅」及びその囲にょう地として,邸宅侵入罪の客体になる。 2 各室玄関ドアの新聞受けに政治的意見を記載したビラを投かんする目的で,職員及びその家族が居住する公務員宿舎である集合住宅の共用部分及び敷地に,同宿舎の管理権者の意思に反して立ち入った行為(判文参照)をもって刑法130条前段の罪に問うことは,憲法21条1項に違反しない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

反戦団体「立川自衛隊監視テント村」の構成員である被告人3名は、自衛隊のイラク派遣に反対するビラを、防衛庁立川宿舎の各室玄関ドアの新聞受けに投かんする目的で、宿舎の敷地に立ち入った。さらに各号棟の1階出入口から4階の各室玄関前まで立ち入り、ビラを投かんした(平成16年1月17日は被告人3名、同年2月22日は被告人A・Bの2名)。

  • 宿舎は防衛庁職員とその家族が住む国の集合住宅で、敷地はフェンス等で囲まれていた。ただし道路側の出入口部分は開口しており、門扉はなかった。
  • テント村は、本件以前にも平成15年10月中ごろ・11月終わりころ・12月13日に、同様のビラを宿舎に投かんしていた。これを受けて管理者側は、「関係者以外,地域内に立ち入ること」「ビラ貼り・配り等の宣伝活動」を禁止する表示板を敷地の各出入口に設置し、各号棟の1階出入口にも禁止事項の表示物を掲示していた。
  • 管理者側は、投かんのたびに警察へ住居侵入の被害届を提出していた。
  • 被告人らは刑法130条前段の罪で起訴された。上告審では、本件行為を処罰することは憲法21条1項に違反すると主張した。

争点

  • 集合住宅(公務員宿舎)の1階出入口から各室玄関前までの共用部分、及び囲障のある敷地が、刑法130条の客体(「人の看守する邸宅」及びその囲にょう地)に当たるか
  • 刑法130条前段の「侵入し」の意義
  • 政治的意見を記載したビラの投かん目的での立入りを刑法130条前段で処罰することが、憲法21条1項に違反するか

判旨

上告棄却(有罪維持)。

  • 客体:各号棟の1階出入口から各室玄関前までの部分は、居住用建物の一部で宿舎管理者の管理に係るから「人の看守する邸宅」に当たる。敷地のうち建物が建っていない部分は、建物に接してその周辺にあり、かつ管理者が門塀等の囲障を設置して建物の付属地として建物利用に供されることを明示しているから、邸宅の囲にょう地として邸宅侵入罪の客体になる。
  • 侵入:「侵入し」とは、他人の看守する邸宅等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいう。本件立入りは管理権者の意思に反しており、130条前段に該当する。法益侵害が極めて軽微ともいえない。
  • 憲法21条1項:表現の自由も公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を受ける。思想を外部に発表する手段であっても、他人の権利を不当に害する手段は許されない。本件は表現そのものではなく、表現の手段である立入りを処罰するものである。私的生活の場所である集合住宅の共用部分・敷地に管理権者の意思に反して立ち入ることは、管理権と私生活の平穏を侵害するから、これを処罰しても憲法21条1項に違反しない。

判決文から

「各号棟の1階出入口から各室玄関前までの部分は,居住用の建物である宿舎の各号棟の建物の一部であり,宿舎管理者の管理に係るものであるから,居住用の建物の一部として刑法130条にいう「人の看守する邸宅」に当たるものと解され」

共用部分を「住居」でなく「邸宅」とした

「刑法130条前段にいう「侵入し」とは,他人の看守する邸宅等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいうものである」

侵入=管理権者の意思に反する立入り

「たとえ思想を外部に発表するための手段であっても,その手段が他人の権利を不当に害するようなものは許されないというべきである」

表現手段の規制に関する一般論

「本件では,表現そのものを処罰することの憲法適合性が問われているのではなく,表現の手段すなわちビラの配布のために「人の看守する邸宅」に管理権者の承諾なく立ち入ったことを処罰することの憲法適合性が問われている」

問題を表現の手段の処罰と位置づけた

「たとえ表現の自由の行使のためとはいっても,このような場所に管理権者の意思に反して立ち入ることは,管理権者の管理権を侵害するのみならず,そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない。」

管理権と私生活の平穏の二つを侵害とした

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。