住基ネット訴訟
住基ネットによる本人確認情報の管理・利用等は、本人の同意がなくても憲法13条の「みだりに開示・公表されない自由」を侵害しないとした判例
出題:司法H24・司法H25・司法R1・司法R3・予備R4・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成19(オ)403 損害賠償請求事件
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 民集 第62巻3号665頁
- 参照法条
- 憲法13条,住民基本台帳法6条1項,住民基本台帳法7条1号,住民基本台帳法7条2号,住民基本台帳法7条3号,住民基本台帳法7条7号,住民基本台帳法7条13号,住民基本台帳法30条の2第1項,住民基本台帳法30条の2第2項,住民基本台帳法30条の5第1項,住民基本台帳法30条の6,住民基本台帳法30条の7,住民基本台帳法30条の8,住民基本台帳法30条の10,住民基本台帳法30条の11,住民基本台帳法30条の44,住民基本台帳法施行令30条の5,住民基本台帳法施行規則1条,住民基本台帳法施行規則14条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
住民基本台帳ネットワークシステムにより行政機関が住民の本人確認情報を収集,管理又は利用する行為と憲法13条
裁判要旨
住民基本台帳ネットワークシステムにより行政機関が住民の本人確認情報を収集,管理又は利用する行為は,当該住民がこれに同意していないとしても,憲法13条の保障する個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を侵害するものではない。
解説
事案
平成11年の住民基本台帳法(住基法)改正で、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が導入された。住基ネットは、住民票に11桁の住民票コードを記載させる。そのうえで、本人確認情報(氏名・生年月日・性別・住所の4情報、住民票コード、異動事由等の変更情報)を、市町村・都道府県・国の機関等で共有する仕組みである。
被上告人ら(住民)は、行政機関が住基ネットで自己の個人情報を収集・管理・利用することは、憲法13条が保障するプライバシー権その他の人格権を侵害すると主張した。そして、住民基本台帳を保管する上告人(市町村)に対し、人格権に基づく妨害排除請求として、住民票コードの削除を求めた。
第1審は請求を棄却した。原審(大阪高裁)は、次の理由で削除請求を認容した。
- 自己情報コントロール権が憲法13条で保障されている。
- 行政個人情報保護法による目的変更・目的外提供の余地があり、住基カード利用記録の名寄せも可能である。
- そのため、データマッチングの具体的危険がある。
これに対し上告人が上告した。
争点
- 住基ネットによる本人確認情報の管理・利用等が、憲法13条の保障する「個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由」を侵害するか
- 本人の同意なく住基ネットを運用することが、自己のプライバシー情報の取扱いについて自己決定する権利・利益を違法に侵害するか
- 住基ネットにシステム技術上・法制度上の不備があり、データマッチング等の具体的危険が生じているか
判旨
原判決中、上告人敗訴部分を破棄し、被上告人らの控訴を棄却した(住民票コード削除請求は棄却で確定)。
規範:
- 憲法13条は、国民の私生活上の自由が公権力の行使に対しても保護されるべきことを規定している。
- 個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を有する(京都府学連事件を参照)。
当てはめ:
- 本人確認情報は、秘匿性の高い情報とはいえない。
- 管理・利用等は、法令等の根拠に基づき、正当な行政目的の範囲内で行われている。
- システム技術上・法制度上の不備により、法令等の根拠に基づかずに、又は正当な行政目的の範囲を逸脱して開示・公表される具体的な危険も生じていない。
結論: 住基ネットによる管理・利用等は、個人情報を「みだりに」開示・公表するものではない。本人が同意していなくても上記自由を侵害しない。自己情報の取扱いに関する自己決定権が違法に侵害されたとの主張にも理由がない。
判決文から
「憲法13条は,国民の私生活上の自由が公権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているものであり,個人の私生活上の自由の一つとして,何人も,個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を有するものと解される」
保護される自由の定式。答案で規範として書く部分
「このうち4情報は,人が社会生活を営む上で一定の範囲の他者には当然開示されることが予定されている個人識別情報であり,」
情報の性質(秘匿性の低さ)の評価
「これらはいずれも,個人の内面に関わるような秘匿性の高い情報とはいえない。」
秘匿性の程度を判断要素とする点
「住基ネットにシステム技術上又は法制度上の不備があり,そのために本人確認情報が法令等の根拠に基づかずに又は正当な行政目的の範囲を逸脱して第三者に開示又は公表される具体的な危険が生じているということもできない。」
「具体的な危険」の有無という判断枠組み
「当該個人がこれに同意していないとしても,憲法13条により保障された上記の自由を侵害するものではないと解するのが相当である。」
結論。本人の同意は不要とした
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
