TBS事件(TBSビデオテープ差押事件)
報道機関の取材ビデオテープに対する捜査機関の差押えも比較衡量で判断し、本件では憲法21条に違反しないとした決定
出題:司法H24・司法R6・予備R6
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成2(し)74 Aに対する暴力行為処罰に関する法律違反、傷害被疑事件について地方裁判所がした準抗告棄却決定に対する特別抗告
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第44巻5号421頁
- 参照法条
- 憲法21条,憲法35条,刑訴法218条1項,刑訴法218条3項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
報道機関の取材ビデオテープに対する捜査機関の差押処分が憲法二一条に違反しないとされた事例
裁判要旨
報道機関の取材ビデオテープが軽視できない悪質な被疑事件の全容を解明する上で重要な証拠価値を持ち、他方、右テープが被疑者らの協力によりその犯行場面等を撮影収録したものであり、右テープを編集したものが放映済みであって、被疑者らにおいてその放映を了承していたなど判示の事実関係の下においては、右テープに対する捜査機関の差押処分は、憲法二一条に違反しない。
解説
事案
司法警察員は、暴力団組長を被疑者とする傷害・暴力行為等処罰に関する法律違反被疑事件の捜査として、報道機関(申立人)からビデオテープ29巻を差し押さえた。被疑事実は、組長が組員らと共謀して債権回収を図り、暴力団事務所で被害者に加療約1か月の傷害を負わせたというものである。あわせて、被害者方前と暴力団事務所で団体の威力を示して脅迫したという事実も含まれていた。
テープは、組長や組員の協力を得て犯行状況等を撮影したマザーテープである。申立人は差押え当時、すでに放映用の編集を終え、編集版を放映済みであった。取材協力者も放映を了承していた。
捜査上は、被疑者・共犯者の供述が不十分で、関係者の供述も一致せず、傷害事件の重要部分を確定しにくい状況にあった。申立人は差押処分の取消しを求めて準抗告したが、東京地裁は棄却した。申立人は、差押えが憲法21条に違反するとして特別抗告した。なお、29巻のうち25巻はすでに還付されていた。
争点
- 報道機関の取材結果(ビデオテープ)に対する捜査機関の差押えは憲法21条に違反しないか
- 捜査機関による差押えの可否を判断する基準(博多駅事件の比較衡量の枠組みが及ぶか)
- 還付済み物件について差押えの取消しを求める準抗告に申立ての利益があるか
判旨
抗告棄却。差押えは憲法21条に違反しない。
規範
- 報道の自由は憲法21条の保障の下にあり、取材の自由も同条の趣旨に照らし十分尊重される。
- ただし、公正な刑事裁判の実現に不可欠な「適正迅速な捜査の遂行」という要請がある場合にも、取材の自由はある程度の制約を受ける。
- 報道機関の取材結果を差し押さえる可否は、次の両者を比較衡量して決する。
- 一方:捜査対象である犯罪の性質・内容・軽重等、取材結果の証拠としての価値、ひいては適正迅速な捜査を遂げるための必要性
- 他方:押収により報道の自由が妨げられる程度、将来の取材の自由が受ける影響、その他諸般の事情
あてはめ
本件差押えは適正迅速な捜査の遂行のためやむを得ないものであり、申立人の不利益は受忍すべきものとされた。
また、還付済みの物件について取消しを求める部分は、申立ての利益を欠く。
判決文から
「公正な刑事裁判を実現するために不可欠である適正迅速な捜査の遂行という要請がある場合にも、同様に、取材の自由がある程度の制約を受ける場合がある」
博多駅事件の趣旨を捜査段階に及ぼした部分(日本テレビ事件決定を踏襲)
「差押の可否を決するに当たっては、捜査の対象である犯罪の性質、内容、軽重等及び差し押さえるべき取材結果の証拠としての価値、ひいては適正迅速な捜査を遂げるための必要性と」
比較衡量の一方の要素(捜査の必要性)
「取材結果を証拠として押収されることによって報道機関の報道の自由が妨げられる程度及び将来の取材の自由が受ける影響その他諸般の事情を比較衡量すべきである」
比較衡量の他方の要素(報道・取材の自由への影響)
「そのような取材を報道のための取材の自由の一態様として保護しなければならない必要性は疑わしいといわざるを得ない」
犯行現場を撮影し続けた取材態様への評価
「本件差押は、適正迅速な捜査の遂行のためやむを得ないものであり、申立人の受ける不利益は、受忍すべきものというべきである。」
あてはめの結論
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
