最判平成2年1月22日
土地の一番抵当権設定時に土地と建物の所有者が別人なら、その後同一人所有となり後順位抵当権が設定されても法定地上権は成立しない
出題:司法H26・司法H30・司法R4・予備H30
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和62(オ)452 建物収去土地明渡
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 民集 第44巻1号314頁
- 参照法条
- 民法388条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
土地を目的とする一番抵当権設定当時土地と地上建物の所有者が異なつていたが後順位抵当権設定当時同一人の所有に帰していた場合と法定地上権の成否
裁判要旨
土地を目的とする一番抵当権設定当時土地と地上建物の所有者が異なり、法定地上権成立の要件が充足されていなかつた場合には、土地と建物が同一人の所有に帰した後に後順位抵当権が設定されたとしても、抵当権の実行により一番抵当権が消滅するときは、法定地上権は成立しない。
解説
事案
本件土地はDの所有で、その地上にはDの子Eが旧建物を所有していた。昭和45年、DとEは、F社のG銀行に対する債務を担保するため、本件土地と旧建物を共同担保とする順位一番の根抵当権を設定し、登記した。同年Dが死亡し、相続によりEが土地を取得した。これにより土地と建物が同一人所有となった。その後Eは、一番根抵当権の極度額を2度増額した。さらに旧建物を取り壊し、別に建てていた建物を増築して事務所兼倉庫とした。そのうえで、本件土地に二番・三番根抵当権と四番抵当権を設定した。
本件土地は競売され、上告人が競落した。競売手続中に事務所兼倉庫は一部焼失し、Eは残部を取り壊した。Eは土地を被上告人B1に賃貸し、B1は本件建物を建築した。B2社はB1から建物の一部の利用権を得て、敷地を占有している。上告人は土地所有権に基づき、建物収去(退去)土地明渡しと損害金の支払を請求した。
原審の判断は次のとおりである。
- 極度額の増額では法定地上権は成立しない。
- しかし、二番抵当権設定時を基準とすれば要件が充足されるから、法定地上権が成立する。
原審はこのように判断して、請求を棄却した。
争点
- 土地の一番抵当権設定当時は土地と地上建物の所有者が異なっていたが、後順位抵当権設定当時は同一人所有となっていた場合に、抵当権の実行により一番抵当権が消滅するとき、民法388条の法定地上権は成立するか
- 同一人所有となった後に一番根抵当権の極度額が増額された場合に、法定地上権が成立するか
判旨
破棄自判(一部差戻し)。法定地上権は成立しない。
規範:土地について一番抵当権が設定された当時、土地と地上建物の所有者が異なり、法定地上権成立の要件が充足されていなかった場合には、次のとおりとなる。
- 土地と地上建物を同一人が所有するに至った後に後順位抵当権が設定されたとしても、その後に抵当権が実行され、土地が競落されたことにより一番抵当権が消滅するときには、地上建物のための法定地上権は成立しない。
- つまり、土地抵当の場合、民法388条の要件は一番抵当権設定時を基準に判断する。
原審の判断のうち、同一人所有となった後に一番根抵当権の極度額が増額されても法定地上権は成立しない、とした部分は「正当」とされた。
結論として、建物収去土地明渡請求と建物退去土地明渡請求を認容した一審判決が正当とされた。損害金請求部分は原審に差し戻された。
判決文から
「土地について一番抵当権が設定された当時土地と地上建物の所有者が異なり、法定地上権成立の要件が充足されていなかった場合には、土地と地上建物を同一人が所有するに至った後に後順位抵当権が設定されたとしても」
基準時を一番抵当権設定時とする規範部分
「一番抵当権者は、法定地上権の負担のないものとして、土地の担保価値を把握するのであるから」
一番抵当権者の担保価値保護という理由づけの核心
「建物についてはこのように解したとしても一番抵当権者が把握した担保価値を損なわせることにはならないから、土地の場合をこれと同視することはできない。」
建物抵当の先例との区別
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
