最判平成19年7月6日
先順位抵当権が競売前に消滅した場合、同一所有者要件は競売で消滅する最先順位の抵当権の設定時を基準に判断する
出題:司法H24・司法H30・予備H30
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成18(受)1398 建物収去土地明渡請求事件
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 民集 第61巻5号1940頁
- 参照法条
- 民法388条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
土地を目的とする先順位の甲抵当権が消滅した後に後順位の乙抵当権が実行された場合において,土地と地上建物が甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったが乙抵当権の設定時には同一の所有者に属していたときの法定地上権の成否
裁判要旨
土地を目的とする先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後,甲抵当権が設定契約の解除により消滅し,その後,乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至った場合において,当該土地と建物が,甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても,乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは,法定地上権が成立する。
解説
事案
本件土地はY1が、地上の本件建物はY1の夫Aが所有していた。昭和44年、土地と建物に、Aを債務者、Bを根抵当権者とする共同根抵当権(1番抵当権)が設定・登記された。
昭和53年にAが死亡し、Y1とその子ら(上告人ら)が建物を相続して共有者となった。この時点で、土地所有者Y1は建物共有者の一人でもある。
平成4年10月、土地に、Cを債務者、Dを根抵当権者とする根抵当権(2番抵当権)が設定・登記された。同月30日、1番抵当権の設定契約が解除され、11月に抹消登記がされた。
その後2番抵当権が実行され、平成16年、Xが土地を競売で買い受けた。XはYらに建物収去土地明渡しを求め、法定地上権の成否が争われた。
原審は最判平成2年1月22日を引き、先順位抵当権が解除で消滅した場合も同様であるとして、法定地上権を否定し請求を認容した。
争点
- 先順位抵当権の設定時には土地と建物が別人所有で、後順位抵当権の設定時には同一所有者に属していた場合、先順位抵当権が競売前に解除で消滅した後に後順位抵当権が実行されたとき、民法388条の法定地上権が成立するか
- 民法388条の同一所有者要件は、どの抵当権の設定時を基準に判断するか
判旨
結論:破棄自判。法定地上権の成立を認め、Xの請求を棄却した。
規範
- 先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後、甲抵当権が設定契約の解除により消滅し、その後乙抵当権の実行で土地と建物の所有者が異なるに至った場合、土地と建物が甲抵当権設定時に同一所有者に属していなくても、乙抵当権設定時に同一所有者に属していれば、法定地上権が成立する。
- 民法388条の同一所有者要件は、競売前に消滅していた抵当権ではなく、競売により消滅する最先順位の抵当権の設定時を基準に判断する。
本件へのあてはめ
- 基準時は2番抵当権の設定時である。
- その時点で、建物共有者の一人であるY1が土地を単独所有していたから、要件を満たす(最判昭和46年12月21日参照)。
判決文から
「抵当権は,被担保債権の担保という目的の存する限度でのみ存続が予定されているものであって,甲抵当権が被担保債権の弁済,設定契約の解除等により消滅することもあることは抵当権の性質上当然のことである」
先順位抵当権の消滅は予測可能という根拠
「乙抵当権者としては,そのことを予測した上,その場合における順位上昇の利益と法定地上権成立の不利益とを考慮して担保余力を把握すべきものであったというべきである。」
後順位抵当権者に不測の損害がない理由
「競売前に消滅していた甲抵当権ではなく,競売により消滅する最先順位の抵当権である乙抵当権の設定時において同一所有者要件が充足していることを法定地上権の成立要件としているものと理解することができる。」
基準時に関する規範そのもの
「競売により消滅する抵当権が複数存在する場合に,その中の最先順位の抵当権の設定時を基準として同一所有者要件の充足性を判断すべきことをいうものであり,競売前に消滅した抵当権をこれと同列に考えることはできない。」
平成2年判決との区別
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
