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ATM占拠事件

最決平成19年7月2日

暗証番号盗撮目的での営業中の銀行出張所への立入りに建造物侵入罪を、ATMの長時間占拠に偽計業務妨害罪を認めた

刑法自由・名誉・信用に対する罪違法性阻却(正当防衛・緊急避難)本試験で 8 問(短答 8・論文 0)

出題:司法H28・司法R4・司法R6・予備H28・予備R6

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
平成18(あ)2664 建造物侵入,業務妨害被告事件
裁判
決定・棄却
判例集
刑集 第61巻5号379頁
参照法条
(1につき)刑法130条前段 (2につき)刑法233条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

1 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的でした営業中の銀行支店出張所への立入りと建造物侵入罪の成否 2 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣にある現金自動預払機を,一般の利用客を装い相当時間にわたって占拠し続けた行為が,偽計業務妨害罪に当たるとされた事例

裁判要旨

1 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入った場合,その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客と異なるものでなくても,建造物侵入罪が成立する。 2 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣にある現金自動預払機を,あたかも入出金や振込等を行う一般の利用客のように装い,適当な操作を繰り返しながら,1時間30分間以上にわたって占拠し続けた行為は,偽計業務妨害罪に当たる。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人は共犯者らと共謀し、銀行のATM利用客のカードの暗証番号・名義人氏名・口座番号等を盗撮しようとした。目的地は、ATMが複数台設置され、行員が常駐しない銀行支店出張所(看守者は支店長)である。

  • 手口:営業中に立ち入り、1台のATMの広告用カードホルダーに、広告用カードの束に似せた盗撮用ビデオカメラを設置した。隣のATMの前の床には、受信機・受像機入りの紙袋を置いた。
  • 占拠:隣のATMの前に交替で立ち続けて占拠し、一般の利用客を装って適当な操作を繰り返した。目的は、紙袋を不審に思われないようにすることと、カメラを設置したATMへ客を誘導することであった。
  • 時間:1日目(ATM6台の出張所)は1時間30分以上、2日目(ATM2台の別の出張所)は約1時間50分にわたり同様の行為をした。その間、被告人ら以外に客がいない時もあった。

建造物侵入罪・業務妨害罪で起訴され、原審は有罪とした。被告人が上告した。

争点

  • 盗撮目的を秘し、外観上は一般のATM利用客と異ならない態様で営業中の銀行出張所に立ち入った行為が、建造物侵入罪(刑法130条前段)の「侵入」に当たるか
  • 一般利用客を装ってATMを長時間占拠し続けた行為が、偽計業務妨害罪(刑法233条)に当たるか

判旨

上告棄却(職権判断で原判断を是認)。

  • 建造物侵入罪:ATM利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で、ATMが設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入った場合、その立入りは管理権者(銀行支店長)の意思に反することが明らかである。したがって、立入りの外観が一般のATM利用客と特に異ならなくても、建造物侵入罪が成立する。
  • 偽計業務妨害罪:受信機入りの紙袋を不審に思われないようにし、盗撮用カメラを設置したATMに客を誘導する意図を秘していた。そのうえで、あたかも一般の利用客のように装い、適当な操作を繰り返しながら1時間30分以上(約1時間50分)隣のATMを占拠し、他の客が利用できないようにした。この行為は、偽計を用いて、銀行がATMを客の利用に供し入出金や振込等をさせる業務を妨害するものであり、偽計業務妨害罪に当たる。

答案用の規範:「侵入」とは管理権者の意思に反する立入りをいい、立入りの目的からそれが管理権者の意思に反することが明らかであれば、外観が平穏・通常であっても「侵入」に当たる。

判決文から

「そのような立入りが同所の管理権者である銀行支店長の意思に反するものであることは明らかであるから,その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客のそれと特に異なるものでなくても,建造物侵入罪が成立するものというべきである。」

意思侵害を基準に外観の平穏さを問わない核心部分

「その情を秘し,あたかも入出金や振込等を行う一般の利用客のように装い,適当な操作を繰り返しながら」

偽計の内容(意図の秘匿と利用客の装い)

「偽計を用いて銀行が同現金自動預払機を客の利用に供して入出金や振込等をさせる業務を妨害するものとして,偽計業務妨害罪に当たるというべきである。」

妨害された「業務」の特定と偽計業務妨害の結論

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。