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失念株事件

最判平成19年3月8日

法律上の原因なく得た代替物を売却した受益者は、原則として売却代金相当額を返還する(失念株の分割株式売却)

商法株式の譲渡・自己株式株式・株主の権利事務管理・不当利得本試験で 3 問(短答 2・論文 1)

出題:司法H22・司法H24・司法R7

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
平成17(受)1996 不当利得返還請求事件
裁判
判決・その他
判例集
民集 第61巻2号479頁
参照法条
民法703条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

法律上の原因なく代替性のある物を利得した受益者が利得した物を第三者に売却処分した場合に負う不当利得返還義務の内容

裁判要旨

法律上の原因なく代替性のある物を利得した受益者は,利得した物を第三者に売却処分した場合には,損失者に対し,原則として,売却代金相当額の金員の不当利得返還義務を負う。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

上告人らは、Aを通じてB社株式を転換対象とする他社株転換特約付社債を購入した。その償還としてB株式各29株(本件親株式)を取得し、Aから株券の交付も受けた。しかし名義書換をしなかったため、株主名簿上の株主は旧株主である被上告人のままであった。

その後、Bは1株を5株とする株式分割を実施した。被上告人は名簿上の株主として、分割で増加した新株式の株券232枚と配当金1万4235円を受領した。さらに被上告人は、新株式を第三者に売却し、経費控除後の代金5350万2409円を取得した。

上告人らが名義書換を求め、新株券と配当金の引渡しを請求したところ、被上告人は日本証券業協会の統一慣習規則第2号を理由に、各6105円しか支払わなかった。そこで上告人らは、売却代金と配当金の各2分の1を不当利得として請求した。

  • 第1審:口頭弁論終結時の株価を基準に請求を認容した。
  • 原審:特段の事情がない限り、事実審口頭弁論終結時の株価(1株16万1000円)を基準とし、各1867万7012円の限度で認容した。

争点

  • 法律上の原因なく代替性のある物(上場株式)を利得した受益者が、それを第三者に売却した場合に返還すべき利益の内容
  • 返還額の基準は売却代金か、それとも事実審口頭弁論終結時における同種・同等・同量の物の価格か

判旨

原判決を変更し、売却代金と配当金の合計の2分の1から既払額を控除した各2675万2216円(および遅延損害金)の支払を命じた。

規範:受益者は、法律上の原因なく利得した代替性のある物を第三者に売却処分した場合、損失者に対し、原則として売却代金相当額の金員の不当利得返還義務を負う(民法703条)。

  • 事実審口頭弁論終結時の同種・同等・同量の物の価格を基準とする原審の判断は誤りである。
  • これと抵触する限度で大判昭和18年12月22日を変更した。
  • 本件には、上記原則と異なる解釈をすべき事情はうかがわれない。

判決文から

「受益者は,法律上の原因なく利得した代替性のある物を第三者に売却処分した場合には,損失者に対し,原則として,売却代金相当額の金員の不当利得返還義務を負うと解するのが相当である。」

本判決の規範。「原則として」に注意

「その物の価格が売却後に下落したり,無価値になったときには,受益者は取得した売却代金の全部又は一部の返還を免れることになるが,これは公平の見地に照らして相当ではないというべきである。」

時価基準を否定する理由その1(価格下落時)

「受益者は現に保持する利益を超える返還義務を負担することになるが,これも公平の見地に照らして相当ではなく,受けた利益を返還するという不当利得制度の本質に適合しない。」

時価基準を否定する理由その2(価格高騰時)

「不当利得の制度は,ある人の財産的利得が法律上の原因ないし正当な理由を欠く場合に,法律が,公平の観念に基づいて,受益者にその利得の返還義務を負担させるものである」

不当利得制度の趣旨(公平説)を確認した部分

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。