最決平成19年3月20日
建造物に取り付けられた物の建造物損壊罪の客体性は、接合の程度と機能上の重要性を総合考慮して決すると示した決定
出題:司法H25・司法R3・予備H27・予備R2・予備R3・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成18(あ)2197 建造物損壊,公務執行妨害被告事件
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第61巻2号66頁
- 参照法条
- (1,2につき)刑法260条前段
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
1 建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪の客体に当たるか否かの判断基準 2 住居の玄関ドアが建造物損壊罪の客体に当たるとされた事例
裁判要旨
1 建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪の客体に当たるか否かは,当該物と建造物との接合の程度のほか,当該物の建造物における機能上の重要性をも総合考慮して決すべきである。 2 住居の玄関ドアとして,外壁と接続し,外界とのしゃ断,防犯,防風,防音等の重要な役割を果たしている物(判文参照)は,適切な工具を使用すれば損壊せずに取り外しが可能であるとしても,建造物損壊罪の客体に当たる。
解説
事案
被告人は、5階建て市営住宅1階の居室の出入口に設置された玄関ドアを、持っていた金属バットで叩いて凹ませるなどした。ドアの塗装修繕工事費用の見積額は2万5000円であった。
- 本件ドアは、厚さ約3.5cm、高さ約200cm、幅約87cmの金属製開き戸である。
- 建物に固着された外枠の内側に、3個のちょうつがいで接合されていた。
- 外枠とドアは構造上家屋の外壁と接続し、一体的な外観を呈していた。
原判決は建造物損壊罪(刑法260条前段)の成立を認めた。弁護人は上告し、次のように主張した。本件ドアは適切な工具を使えば容易に取り外せ、損壊しなければ取り外せない状態にはなかった。したがって器物損壊罪(刑法261条)が成立するにとどまる。
争点
- 建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪(刑法260条前段)の客体に当たるか否かの判断基準
- 適切な工具で損壊せずに取り外せる住居の玄関ドアが、建造物損壊罪の客体に当たるか
判旨
上告棄却。建造物損壊罪の成立を認めた原判断は結論において正当とした。
規範:建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪の客体に当たるか否かは、次の2つを総合考慮して決すべきである。
- 当該物と建造物との接合の程度
- 当該物の建造物における機能上の重要性
あてはめ:本件ドアは住居の玄関ドアとして外壁と接続し、外界とのしゃ断、防犯、防風、防音等の重要な役割を果たしている。したがって建造物損壊罪の客体に当たる。適切な工具を使用すれば損壊せずに取り外せるとしても、この結論は左右されない。
判決文から
「建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪の客体に当たるか否かは,当該物と建造物との接合の程度のほか,当該物の建造物における機能上の重要性をも総合考慮して決すべきものである」
客体性の判断基準。答案にそのまま書ける規範
「本件ドアは,住居の玄関ドアとして外壁と接続し,外界とのしゃ断,防犯,防風,防音等の重要な役割を果たしているから,建造物損壊罪の客体に当たるものと認められ」
機能上の重要性を具体的に認定したあてはめ部分
「適切な工具を使用すれば損壊せずに同ドアの取り外しが可能であるとしても,この結論は左右されない」
取り外し可能性だけでは結論が決まらないことを明示
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
