最判平成18年4月14日
本訴・反訴の係属中に、反訴請求債権を自働債権として本訴で相殺の抗弁を出すことは、反訴が予備的反訴に変わるので許される
出題:司法H27・予備H28・予備R2・予備R4
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成16(受)519 損害賠償等請求本訴,請負代金等請求反訴事件
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 民集 第60巻4号1497頁
- 参照法条
- 民法505条,民訴法114条2項,民訴法142条,民訴法143条,民訴法146条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
反訴請求債権を自働債権とし本訴請求債権を受働債権とする相殺の抗弁の許否
裁判要旨
本訴及び反訴が係属中に,反訴原告が,反訴請求債権を自働債権とし,本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは,異なる意思表示をしない限り,反訴を,反訴請求債権につき本訴において相殺の自働債権として既判力ある判断が示された場合にはその部分を反訴請求としない趣旨の予備的反訴に変更するものとして,許される。
解説
事案
注文者X(被上告人)は、建築業者Aとの請負契約で建てた賃貸用マンションに瑕疵があるとして、Aに対し、瑕疵修補に代わる損害賠償等約5304万円と遅延損害金の支払を求める本訴を提起した。Aは第1審係属中に、請負残代金約2418万円と遅延損害金の支払を求める反訴を提起した。その後Aが死亡し、相続人Y1・Y2(上告人ら、法定相続分各2分の1)が訴訟を承継した。Yらは第1審の口頭弁論期日に、相続した反訴請求に係る請負残代金債権を自働債権とし、本訴請求に係る損害賠償債権を受働債権とする相殺の意思表示をし、本訴の抗弁として主張した。認定された請負残代金は約1820万円、瑕疵による損害は約2475万円であった。原審は相殺を認め、Yらに各約327万円の支払を命じ、反訴を棄却した。そのうえで、反訴の提起を相殺の意思表示と同視し、相殺後の残債務の遅延損害金は反訴状送達日の翌日から生じると判断した。Yらが上告受理を申し立てた。
争点
- 本訴・反訴の係属中に、反訴請求債権を自働債権として本訴で相殺の抗弁を主張することは、重複起訴禁止(民訴法142条)の趣旨に反しないか
- 相殺の抗弁を主張した場合、反訴はどのように扱われるか(訴えの変更の方式・同意の要否)
- 反訴の提起を相殺の意思表示と同視できるか(相殺後の残債務の履行遅滞の起算日)
判旨
原判決を変更し、破棄自判した。
- 規範:本訴と反訴が係属している間に、反訴請求債権を自働債権、本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは禁じられない。この場合、反訴原告が異なる意思表示をしない限り、反訴は「反訴請求債権につき本訴で相殺の自働債権として既判力ある判断が示されたときは、その部分を反訴請求としない」趣旨の予備的反訴に変更される。そのため重複起訴の問題は生じない。
- この訴えの変更は、本訴・反訴を通じた審判の対象を変えず、反訴被告の利益も損なわない。したがって書面によることを要せず、反訴被告の同意も要しない。
- 請負残代金全額の支払を求める反訴の提起は、相殺の意思表示を含まない。相殺の効果は相殺の意思表示の時に生じ、相殺後の損害賠償残債務は相殺の意思表示をした日の翌日から履行遅滞となる。
- 反訴請求債権の全額について本訴で相殺の既判力ある判断が示されたので、反訴請求について判断する必要はない。
判決文から
「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは,重複起訴を禁じた民訴法142条の趣旨に反し,許されない」
平成3年判決の確認。本判決はこれと区別する
「本訴及び反訴が係属中に,反訴請求債権を自働債権とし,本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは禁じられない」
本判決の結論部分
「反訴は,反訴請求債権につき本訴において相殺の自働債権として既判力ある判断が示された場合にはその部分については反訴請求としない趣旨の予備的反訴に変更されることになる」
重複起訴を回避する理論構成
「上記の訴えの変更は,本訴,反訴を通じた審判の対象に変更を生ずるものではなく,反訴被告の利益を損なうものでもないから,書面によることを要せず,反訴被告の同意も要しない」
訴え変更の方式・同意が不要な理由
「本件反訴の提起が相殺の意思表示を含むと解することはできない」
遅延損害金の起算点に関する実体法上の判断
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
