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旭川市国民健康保険条例事件

最大判平成18年3月1日

国保料に憲法84条は直接適用されないが趣旨は及び、明確性の程度は総合考慮で判断する。市長への料率委任は合憲とした。

憲法財政・地方自治行政法の一般原則本試験で 12 問(短答 12・論文 0)

出題:司法H23・司法H24・司法H26・司法H29・司法H30・司法R5・予備R5

裁判所
最高裁判所大法廷
事件番号
平成12(行ツ)62 国民健康保険料賦課処分取消等請求事件
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第60巻2号587頁
参照法条
(1〜3につき)憲法84条,国民健康保険法(平成9年法律第124号による改正前のもの)76条 (1につき)国民健康保険法5条,国民健康保険法(平成14年法律第102号による改正前のもの)79条の2 (1,2につき)国民健康保険法81条 (2につき)旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号。平成6年旭川市条例第29号による改正前のもの)8条,旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号。平成10年旭川市条例第41号による改正前のもの)8条,旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号。平成9年旭川市条例第8号による改正前のもの)9条,旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号。平成12年旭川市条例第23号による改正前のもの)10条,旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号。平成9年旭川市条例第8号による改正前のもの)11条,旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号。平成7年旭川市条例第14号による改正前のもの)12条1項,旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号。平成8年旭川市条例第8号による改正前のもの)12条1項,旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号。平成9年旭川市条例第8号による改正前のもの)12条1項 (2,3につき)旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号)12条3項 (3につき)旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号)13条 (4につき)憲法14条,憲法25条,国民健康保険法6条6号,国民健康保険法77条,旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号)19条1項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

1 市町村が行う国民健康保険の保険料と憲法84条 2 国民健康保険の保険料率の算定基準を定めた上でその決定及び告示を市長に委任している旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号)8条(平成6年旭川市条例第29号による改正前のもの及び平成10年旭川市条例第41号による改正前のもの),12条3項と国民健康保険法81条及び憲法84条 3 旭川市長が平成6年度から同8年度までの各年度の国民健康保険の保険料率を各年度の賦課期日後に告示したことと憲法84条 4 恒常的に生活が困窮している状態にある者を国民健康保険の保険料の減免の対象としていない旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号)19条1項と国民健康保険法77条及び憲法25条,14条

裁判要旨

1 市町村が行う国民健康保険の保険料については,これに憲法84条の規定が直接に適用されることはないが,同条の趣旨が及ぶと解すべきであるところ,国民健康保険法81条の委任に基づき条例において賦課要件がどの程度明確に定められるべきかは,賦課徴収の強制の度合いのほか,社会保険としての国民健康保険の目的,特質等をも総合考慮して判断する必要がある。 2 旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号)が,8条(平成6年旭川市条例第29号による改正前のもの及び平成10年旭川市条例第41号による改正前のもの)において,国民健康保険の保険料率の算定の基礎となる賦課総額の算定基準を定めた上で,12条3項において,旭川市長に対し,保険料率を同基準に基づいて決定して告示の方式により公示することを委任したことは,国民健康保険法81条に違反せず,憲法84条の趣旨に反しない。 3 旭川市長が旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号)12条3項の規定に基づき平成6年度から同8年度までの各年度の国民健康保険の保険料率を各年度の賦課期日後に告示したことは,憲法84条の趣旨に反しない。 4 旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号)19条1項が,当該年において生じた事情の変更に伴い一時的に保険料負担能力の全部又は一部を喪失した者に対して国民健康保険の保険料を減免するにとどめ,恒常的に生活が困窮している状態にある者を保険料の減免の対象としていないことは,国民健康保険法77条の委任の範囲を超えるものではなく,憲法25条,14条に違反しない。 (1〜3につき補足意見がある。)

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

旭川市を保険者とする国民健康保険の一般被保険者の資格を取得した世帯主Xが、平成6〜8年度分の保険料について市から賦課処分を受けた。また、市長からは、所定の減免事由に該当しないとして減免しない旨の通知(減免非該当処分)を受けた。Xは各処分の取消し・無効確認を求めた。

  • 旭川市は国民健康保険税ではなく保険料方式を採用していた。保険料は地方税の滞納処分の例により強制徴収できる。
  • 本件条例は保険料率そのものを定めていなかった。8条で賦課総額の算定基準(事業費用の見込額から保険料以外の収入の見込額を控除した額を「基準として算定した額」)を定め、12条3項で市長に料率の決定と告示を委ねていた。
  • 市長は各年度の料率を、賦課期日(4月1日)後に告示した。
  • 事業経費の約3分の2は国庫負担金や一般会計繰入金等の公的資金で賄われていた。
  • 本件条例19条1項の減免対象は、災害や当該年の所得の著しい減少などで生活が困難となった者に限られ、恒常的な生活困窮者は含まれていなかった。

争点

  • 市町村が行う国民健康保険の保険料に憲法84条が適用されるか
  • 賦課総額の算定基準のみを条例で定め、保険料率の決定・告示を市長に委任することが国民健康保険法81条・憲法84条(の趣旨)に反するか
  • 保険料率を賦課期日後に告示したことが憲法84条の趣旨に反するか
  • 恒常的生活困窮者を減免対象としない条例19条1項が国民健康保険法77条の委任の範囲を超え、憲法25条・14条に反するか

判旨

上告棄却(全員一致)。

  • 租税の定義:国・地方公共団体が、課税権に基づき、経費に充てる資金を調達する目的で、特別の給付に対する反対給付としてでなく、一定の要件に該当するすべての者に課する金銭給付は、形式を問わず憲法84条の租税に当たる。
  • 国保料と84条:国保料は保険給付を受けうることへの反対給付であるから、84条は直接適用されない。これに対し、国民健康保険税は形式が税である以上、84条が適用される。
  • 84条の趣旨:租税以外の公課でも、賦課徴収の強制の度合い等において租税に類似するものには84条の趣旨が及ぶ。国保料は強制加入・強制徴収なのでこれに当たる。ただし、賦課要件をどの程度明確に定めるべきかは、当該公課の性質、賦課徴収の目的、強制の度合い等を総合考慮して判断する。国保料では、社会保険としての目的・特質も考慮される。
  • あてはめ:条例が賦課総額の算定基準を明確に定め、市長に料率の決定・告示を委任したことは、国民健康保険法81条に違反せず、84条の趣旨にも反しない。賦課期日後の告示も84条の趣旨に反しない。
  • 減免:恒常的生活困窮者を減免対象外とする条例19条1項は、国民健康保険法77条の委任の範囲内であり、憲法25条・14条に違反しない。

判決文から

「特別の給付に対する反対給付としてでなく,一定の要件に該当するすべての者に対して課する金銭給付は,その形式のいかんにかかわらず,憲法84条に規定する租税に当たるというべきである」

84条の「租税」の定義。反対給付性がないことが鍵

「形式が税である以上は,憲法84条の規定が適用されることとなる。」

国保税には84条が直接適用される点の対比

「国民に対して義務を課し又は権利を制限するには法律の根拠を要するという法原則を租税について厳格化した形で明文化したもの」

84条を侵害留保原理の厳格化と位置付けた

「租税以外の公課であっても,賦課徴収の強制の度合い等の点において租税に類似する性質を有するものについては,憲法84条の趣旨が及ぶと解すべきである」

「趣旨が及ぶ」の規範

「賦課要件が法律又は条例にどの程度明確に定められるべきかなどその規律の在り方については,当該公課の性質,賦課徴収の目的,その強制の度合い等を総合考慮して判断すべきものである。」

明確性の程度は総合考慮で決まる

「保険料率についてはし意的な判断が加わる余地はなく,これが賦課期日後に決定されたとしても法的安定が害されるものではない。」

賦課期日後の告示を許容した理由

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。