最判平成18年11月7日
刑訴法328条で許容される弾劾証拠は自己矛盾供述に限られ、その存在には厳格な証明を要する(限定説)とした判例
出題:司法H29・司法R7・予備R6
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成17(あ)378 現住建造物等放火,殺人,詐欺未遂被告事件
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 刑集 第60巻9号561頁
- 参照法条
- 刑訴法328条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
刑訴法328条により許容される証拠
裁判要旨
刑訴法328条により許容される証拠は,信用性を争う供述をした者のそれと矛盾する内容の供述が,同人の供述書,供述を録取した書面(刑訴法が定める要件を満たすものに限る。),同人の供述を聞いたとする者の公判期日の供述又はこれらと同視し得る証拠の中に現れている部分に限られる。
解説
事案
現住建造物等放火・殺人・詐欺未遂被告事件である。第1審で証人Aが火災発見時の状況を証言した。その後、弁護人は、消防司令補Bが作成した「聞込み状況書」(本件書証)を証拠請求した。検察官が不同意としたため、弁護人は刑訴法328条による採用を求めた。第1審裁判所は提示命令で内容を確認したうえで、同条の書面に当たらないとして請求を却下した。
本件書証には、BがAから火災発見時の状況を聞き取ったとされる内容が記載され、Aの公判証言と異なる点が含まれていた。もっとも、聞き取りの相手に記載内容を読み聞かせて署名・押印を求める形式ではなく、実際にもそのような手続はとられていなかった。
原判決は、328条の許容証拠は「現に証明力を争おうとする供述をした者の当該供述とは矛盾する供述又はこれを記載した書面」に限られるとした。そして、本件書証はBの供述を記載した書面であるとして、却下を是認した。上告趣意は、328条の許容証拠に限定はないとした福岡高判昭和24年11月18日との判例違反を主張した。
争点
- 刑訴法328条により許容される証拠の範囲(限定説か非限定説か)
- 自己矛盾供述の存在の立証に厳格な証明を要するか
- 署名押印を欠く供述録取書が328条の弾劾証拠として許容されるか
判旨
上告棄却。所論引用の福岡高裁判例を刑訴法410条2項により変更し、原判決を維持した。
規範
- 328条は、公判期日等における供述が、別の機会にした同一人の供述と矛盾する場合に、矛盾する供述をしたこと自体の立証を許し、公判供述の信用性の減殺を図ることを許容する趣旨である。
- 矛盾供述をしたという事実の立証には、刑訴法が定める厳格な証明を要する。
- したがって、328条で許容される証拠は、信用性を争う供述をした者のそれと矛盾する内容の供述が、次のいずれかの中に現れている部分に限られる。
- ①同人の供述書
- ②同人の供述を録取した書面(刑訴法が定める要件を満たすものに限る)
- ③同人の供述を聞いたとする者の公判期日の供述
- ④これらと同視し得る証拠
あてはめ
本件書証はAの供述を録取した書面であるが、Aの署名押印がないから②に当たらない。同視し得る事情もないから、328条の許容証拠に当たらない。
判決文から
「矛盾する供述をしたこと自体の立証を許すことにより,公判準備又は公判期日におけるその者の供述の信用性の減殺を図ることを許容する趣旨のものであり」
328条の趣旨=自己矛盾供述による弾劾
「別の機会に矛盾する供述をしたという事実の立証については,刑訴法が定める厳格な証明を要する趣旨であると解するのが相当である。」
矛盾供述の存在に厳格な証明を要求
「信用性を争う供述をした者のそれと矛盾する内容の供述が,同人の供述書,供述を録取した書面(刑訴法が定める要件を満たすものに限る。),同人の供述を聞いたとする者の公判期日の供述又はこれらと同視し得る証拠の中に現れている部分に限られる」
許容証拠の類型を示す規範部分
「本件書証は,前記足立の供述を録取した書面であるが,同書面には同人の署名押印がないから上記の供述を録取した書面に当たらず,これと同視し得る事情もないから」
署名押印欠如で328条も不可とした当てはめ
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
