小田急高架訴訟(本案判決)
都市施設に関する都市計画には広範な裁量があるとし、判断過程を審査する基準を示したうえで、高架式の採用を適法とした判決
出題:司法H22・司法H23・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成16(行ヒ)114 小田急線連続立体交差事業認可処分取消,事業認可処分取消請求事件
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第60巻9号3249頁
- 参照法条
- 都市計画法(平成4年法律第82号による改正前のもの)13条1項,都市計画法(平成4年法律第82号による改正前のもの)21条2項,都市計画法(平成11年法律第87号による改正前のもの)18条1項,公害対策基本法19条,東京都環境影響評価条例(昭和55年東京都条例第96号。平成10年東京都条例第107号による改正前のもの)23条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
都知事が行った都市高速鉄道に係る都市計画の変更が鉄道の構造として高架式を採用した点において裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるとはいえないとされた事例
裁判要旨
都知事が都市高速鉄道に係る都市計画の変更を行うに際し鉄道の構造として高架式を採用した場合において,(1)都知事が,建設省の定めた連続立体交差事業調査要綱に基づく調査の結果を踏まえ,上記鉄道の構造について,高架式,高架式と地下式の併用,地下式の三つの方式を想定して事業費等の比較検討をした結果,高架式が優れていると評価し,周辺地域の環境に与える影響の点でも特段問題がないと判断したものであること,(2)上記の判断が,東京都環境影響評価条例(昭和55年東京都条例第96号。平成10年東京都条例第107号による改正前のもの)23条所定の環境影響評価書の内容に十分配慮し,環境の保全について適切な配慮をしたものであり,公害対策基本法19条に基づく公害防止計画にも適合するものであって,鉄道騒音に対して十分な考慮を欠くものであったとはいえないこと,(3)上記の比較検討において,取得済みの用地の取得費等を考慮せずに事業費を算定したことは,今後必要となる支出額を予測するものとして合理性を有するものであることなど判示の事情の下では,上記の都市計画の変更が鉄道の構造として高架式を採用した点において裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるということはできない。
解説
事案
東京都知事(被上告参加人)は平成5年、小田急線の喜多見駅付近から梅ヶ丘駅付近までの区間(本件区間)について都市高速鉄道の都市計画を変更した(平成5年決定)。内容は、成城学園前駅付近を掘割式とし、それ以外を高架式として連続立体交差化するものである。
- 知事は建設省の連続立体交差事業調査要綱に基づく調査を踏まえ、高架式、高架式と地下式の併用、地下式の3方式を比較した。比較は計画的条件・地形的条件・事業的条件の3条件で行い、高架式(事業費約1900億円)が地下式(約3000億円・約3600億円)より優れると評価した。
- その後、東京都環境影響評価条例に基づく環境影響評価が行われ、知事はその結果も踏まえて環境面でも特段問題はないと判断した。
- 建設大臣は平成6年、都市計画法59条2項に基づいて、この都市計画を基礎に鉄道事業認可をした。あわせて、世田谷区が告示した付属街路に係る各都市計画を基礎に、付属街路事業認可をした。
- 沿線住民らは、優れた代替案である地下式を理由なく採用せず、騒音被害の大きい高架式を採った点で違法だと主張し、各認可の取消しを求めた。
争点
- 都市計画事業認可の取消訴訟で、前提となる都市計画の違法を主張できるか
- 都市施設に関する都市計画の決定・変更に対する裁量の広さと、司法審査の基準
- 高架式を採用した平成5年決定に、裁量権の範囲の逸脱・濫用があるか(環境考慮、事業費算定の合理性)
判旨
上告棄却(認可は適法)。
- 前提となる都市計画の違法:都市計画法61条は、事業の内容が都市計画に適合することを事業認可の基準としている。したがって、事業認可が適法であるためには、前提となる都市計画が適法であることが必要である。
- 裁量の広さ:都市計画法13条1項柱書き・5号に従って都市施設の規模・配置等を定めるには、諸般の事情を総合的に考慮し、政策的・技術的見地から判断することが不可欠である。そのため、この判断は行政庁の広範な裁量にゆだねられる。
- 審査基準:違法となるのは、次のいずれかの場合に限られる。
- 重要な事実に誤認があること等により、重要な事実の基礎を欠く場合
- 事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと、判断過程で考慮すべき事情を考慮しないこと等により、その内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠く場合
- あてはめ:高架式の採用に裁量権の逸脱・濫用はない。都市計画が違法でない以上、それを基礎とする鉄道事業認可も違法でない。
判決文から
「当該都市施設に関する諸般の事情を総合的に考慮した上で,政策的,技術的な見地から判断することが不可欠であるといわざるを得ない。」
広範な裁量を認める根拠部分
「その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合」
審査基準の前段(事実誤認型)
「事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合」
判断過程審査の定式。答案の規範そのもの
「都市計画事業認可が適法であるためには,その前提となる都市計画が適法であることが必要である。」
認可の取消訴訟で計画の違法を争える根拠
「このような算定方法は,当該都市計画の実現のために今後必要となる支出額を予測するものとして,合理性を有するというべきである。」
取得済み用地費を算入しない判断の合理性
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
