旧木屋平村事件
指名競争入札で地元企業を優先する合理性は認めつつ、村外業者であることのみを理由に一切指名しない措置は裁量逸脱濫用となりうるとした
出題:司法H26・予備R2
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成17(受)2087 損害賠償請求事件
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 集民 第221号627頁
- 参照法条
- 地方自治法234条1項,地方自治法234条2項,地方自治法234条6項,地方自治法施行令167条,地方自治法施行令167条の11,地方自治法施行令167条の12,公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律8条1号,公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律施行令7条1項2号,公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律施行令7条1項3号
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
村の発注する公共工事の指名競争入札に長年指名を受けて継続的に参加していた建設業者を特定年度以降全く指名せず入札に参加させなかった村の措置につき上記業者が村外業者に当たることを理由に違法とはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例
裁判要旨
村の発注する公共工事の指名競争入札に昭和60年ころから平成10年度まで指名を受けて継続的に参加し工事を受注してきていた建設業者に対し,村が,村外業者に当たること等を理由に,同12年度以降全く指名せず入札に参加させない措置を採った場合において,(1)村内業者で対応できる工事の指名競争入札では村内業者のみを指名するという実際の運用基準は村の要綱等に明定されておらず,村内業者であるか否かの客観的で具体的な判定基準も明らかにされていなかったこと,(2)上記業者は,平成6年に代表者らが同村から県内の他の町へ転居した後も,登記簿上の本店所在地を同村内とし,同所に代表者の母である監査役が居住し,上記業者の看板を掲げるなどしており,平成10年度までは指名を受け,受注した工事において施工上の支障を生じさせたこともうかがわれないことなど判示の事情の下では,指名についての上記運用及び上記業者が村外業者に当たるという判断が合理的であるとし,そのことのみを理由として,村の上記措置が違法であるとはいえないとした原審の判断には違法がある。 (補足意見及び反対意見がある。)
解説
事案
上告人は土木建築工事業の有限会社で、昭和60年ころから平成10年度まで旧木屋平村の公共工事の指名競争入札に継続的に参加し、工事を受注してきた。上告人は平成8年と平成10年に、自社を入札に参加させるよう村に求める行為(本件各行為)をした。村はこれを理由に、平成11年度は指名停止等要綱に基づいて指名回避をした。さらに平成12年度から16年度までは、村内業者と認められないことを主な理由に指名を回避し続けた。
村では従前から、村内業者で対応できない工事に限って村外業者を指名する運用がとられていた。上告人の実質的経営者と代表者は平成6年に県内の脇町へ転居し、同所に事務所を設けていた。他方、登記簿上の本店は村内に残り、そこに代表者の母である監査役が住み、看板を掲げていた。
上告人は、村の地位を承継した合併後の市に対し、国家賠償法1条1項に基づいて逸失利益等の賠償を求めた。原審は、地元優先の運用は合理的で、上告人を村外業者とした判断も合理的であるとして、請求をすべて棄却した。
争点
- 指名競争入札で村内業者のみを指名する運用、および村外業者であることを理由とする指名回避が、長の裁量権の逸脱・濫用として国家賠償法上違法となるか
- 指名に関する裁量を統制する法令(地方自治法234条、公共工事入札契約適正化法)の趣旨
判旨
原判決のうち、平成12年度以降の指名回避を理由とする損害賠償請求に関する部分を破棄し、差し戻した。その余の上告は棄却した。
規範
- 地方自治法234条1項・2項、同法施行令167条は、一般競争入札を原則とし、指名競争入札等を例外と位置づけている。公共工事入札契約適正化法は、入札の透明性と公正な競争を求めている。これらの法令は、入札について機会均等、公正性、透明性、経済性(価格の有利性)の確保を図るものである。
- 指名にあたり、①現場への近さ・現場の知識による確実な履行、②地元経済の活性化を考慮して地元企業を優先することには合理性がある。
- しかし、①②の条件を満たす村外業者もありうる。価格の有利性(競争性の低下防止)も考えれば、他の諸事情にかかわらず一律に村内業者のみを指名する運用が、常に合理的で裁量の範囲内とはいえない。
あてはめ
- 長年の指名・受注実績があり、村内・村外の判定も微妙な上告人を、形式的に村外業者と判断した。そのことのみを理由に、およそ一切の工事で指名しない措置をとったとすれば、それは考慮すべき事項を十分考慮していない。
- 一考慮要素にすぎない村外業者性だけを重視した点で極めて不合理であり、社会通念上著しく妥当性を欠く。したがって、裁量権の逸脱・濫用がないとはいえない。
判決文から
「地方自治法等の法令は,普通地方公共団体が締結する公共工事等の契約に関する入札につき,機会均等,公正性,透明性,経済性(価格の有利性)を確保することを図ろうとしているものということができる。」
裁量統制の基準となる法令の趣旨
「地元企業を優先する指名を行うことについては,その合理性を肯定することができるものの,①又は②の観点からは村内業者と同様の条件を満たす村外業者もあり得るのであり」
地元優先の合理性は肯定しつつ限界を示す
「し意的運用が可能となるものであって,公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の定める公表義務に反し,同法及び地方自治法の趣旨にも反するものといわざるを得ない。」
基準不明確な運用への評価
「考慮すべき事項を十分考慮することなく,一つの考慮要素にとどまる村外業者であることのみを重視している点において,極めて不合理であり,社会通念上著しく妥当性を欠くものといわざるを得ず」
考慮要素に着目した裁量審査の核心
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
