犯行再現写真事件
被害・犯行再現を記録した実況見分調書等は、321条3項に加え、再現者に応じ321条1項2号・3号か322条1項の要件を要するとした
出題:司法H24・司法H25・予備H23・予備H27・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成17(あ)684 大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反,器物損壊被告事件
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第59巻7号753頁
- 参照法条
- 刑訴法321条1項2号,刑訴法321条1項3号,刑訴法321条3項,刑訴法322条1項,刑訴法326条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
捜査官が被害者や被疑者に被害・犯行状況を再現させた結果を記録した実況見分調書等で実質上の要証事実が再現されたとおりの犯罪事実の存在であると解される書証の証拠能力
裁判要旨
捜査官が被害者や被疑者に被害・犯行状況を再現させた結果を記録した実況見分調書等で,実質上の要証事実が再現されたとおりの犯罪事実の存在であると解される書証が刑訴法326条の同意を得ずに証拠能力を具備するためには,同法321条3項所定の要件が満たされるほか,再現者の供述録取部分については,再現者が被告人以外の者である場合には同法321条1項2号ないし3号所定の要件が,再現者が被告人である場合には同法322条1項所定の要件が,写真部分については,署名押印の要件を除き供述録取部分と同様の要件が満たされる必要がある。
解説
事案
大阪府迷惑防止条例違反(電車内の痴漢)等の事件である。第1審で検察官は、2つの書証の取調べを請求した。
- 本件実況見分調書(立証趣旨「被害再現状況」):警察署の通路の長いすに被害者と犯人役の女性警察官が並んで座り、被害者が被害状況を再現した。これを別の警察官が見分・写真撮影して記録したもので、説明文付き写真12葉のうち8葉の説明文に被害者の供述が録取されている。
- 本件写真撮影報告書(立証趣旨「犯行再現状況」):取調室で被告人が被害者役の男性警察官を相手に犯行状況を再現した。これを記録したもので、説明文付き写真10葉のうち6葉の説明文に被告人の供述が録取されている。
弁護人は両書証に不同意とした。作成者である警察官の証人尋問の後、検察官は「321条3項により取り調べられたい」と述べ、弁護人の異議があったが裁判所は採用した。第1審は両書証を有罪認定の証拠とし、原審も事実誤認の判断資料とした。
争点
- 立証趣旨が「被害再現状況」「犯行再現状況」とされた再現書証の実質上の要証事実は何か
- 再現内容を記録した実況見分調書・写真撮影報告書が326条の同意なく証拠能力を得るための要件
- 再現写真部分に再現者の署名押印が必要か
判旨
上告棄却(職権判断)。
規範
- 捜査官が被害者・被疑者に被害・犯行状況を再現させた結果を記録した書証で、実質上の要証事実が再現されたとおりの犯罪事実の存在であるものがある。これが326条の同意なく証拠能力を得るには、321条3項の要件を満たすことに加え、さらに次の要件を満たす必要がある。
- 再現者の供述録取部分と写真:再現者が被告人以外の者なら321条1項2号ないし3号、被告人なら322条1項の要件。
- 写真は記録過程が機械的操作によるから、再現者の署名押印は不要である。
あてはめ
- 両書証は321条3項の要件を満たす。
- しかし供述録取部分は再現者の署名押印を欠き、証拠能力がない。
- 被告人の再現写真は任意の再現と認められ、証拠能力がある。
- 被害者の再現写真は、署名押印を除く321条1項3号の要件を満たさず、証拠能力がない。
- 証拠能力を欠く部分を含む全体を採用した点は違法である。ただし、その余の証拠で事実を優に認定できるから、判決に影響しない。
判決文から
「立証趣旨が「被害再現状況」,「犯行再現状況」とされていても,実質においては,再現されたとおりの犯罪事実の存在が要証事実になるものと解される。」
要証事実は立証趣旨でなく実質で判断する
「再現者の供述の録取部分及び写真については,再現者が被告人以外の者である場合には同法321条1項2号ないし3号所定の,被告人である場合には同法322条1項所定の要件を満たす必要があるというべきである。」
321条3項に加えて要求される伝聞例外要件
「もっとも,写真については,撮影,現像等の記録の過程が機械的操作によってなされることから前記各要件のうち再現者の署名押印は不要と解される。」
写真部分は署名押印不要とする理由
「各再現者の供述録取部分については,いずれも再現者の署名押印を欠くため,その余の要件を検討するまでもなく証拠能力を有しない。」
署名押印欠如で供述録取部分は即アウト
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
