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シャクティパット事件

最決平成17年7月4日

先行行為と手当ての全面的委託から救命義務を認め、不作為の殺人罪と、親族との保護責任者遺棄致死罪の限度での共同正犯を認めた。

刑法不作為犯生命・身体に対する罪共同正犯本試験で 8 問(短答 8・論文 0)

出題:司法H25・司法H27・司法R1・司法R5・司法R6・司法R7・予備H25・予備R7

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
平成15(あ)1468 殺人被告事件
裁判
決定・棄却
判例集
刑集 第59巻6号403頁
参照法条
刑法199条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

重篤な患者の親族から患者に対する「シャクティ治療」(判文参照)を依頼された者が入院中の患者を病院から運び出させた上必要な医療措置を受けさせないまま放置して死亡させた場合につき未必的殺意に基づく不作為による殺人罪が成立するとされた事例

裁判要旨

重篤な患者の親族から患者に対する「シャクティ治療」(判文参照)を依頼された者が,入院中の患者を病院から運び出させた上,未必的な殺意をもって,患者の生命を維持するために必要な医療措置を受けさせないまま放置して死亡させたなど判示の事実関係の下では,不作為による殺人罪が成立する。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人は、手の平で患部をたたいてエネルギーを通し自己治癒力を高めるという「シャクティ治療」を施す特別の能力があるとして、信奉者を集めていた。信奉者Aは脳内出血で入院した。意識障害があり、痰の除去や水分の点滴等を要する状態だったが、生命に危険はなく、数週間の治療を要し、回復後も後遺症が見込まれた。Aの息子Bも信奉者で、後遺症なく回復することを期待して被告人に治療を依頼した。

被告人は、脳内出血等の重篤な患者に同治療を施したことはなかった。それでも、主治医が退院はしばらく無理と警告していること、Bら家族が主治医の許可を得てから運ぼうとしていることを知りながら、「点滴治療は危険である。…明日中にAを連れてくるように」などと指示した。こうしてAを病院から千葉県内のホテルへ運び出させ、Aの生命に具体的な危険を生じさせた。

被告人はホテルでBらから治療をゆだねられ、Aがそのままでは死亡する危険があると認識した。しかし、指示の誤りが露呈するのを避けるためなどから、シャクティ治療を施すにとどまった。そして未必的殺意をもって、痰の除去・点滴等の必要な医療措置を受けさせないまま約1日放置し、Aを痰による気道閉塞で窒息死させた。

争点

  • 不作為による殺人罪の成否(作為義務の発生根拠)
  • 先行行為(自己の責めに帰すべき事由による危険創出)と手当ての全面的委託の評価
  • 殺意のある者と殺意のない者との間の共同正犯の成立範囲

判旨

上告棄却。職権判断で、不作為による殺人罪の成立を認めた原判断を正当とした。

規範(作為義務の発生)

  • 被告人は、①自己の責めに帰すべき事由により患者の生命に具体的な危険を生じさせた。
  • そのうえで、②患者が運び込まれたホテルで、被告人を信奉する患者の親族から、重篤な患者に対する手当てを全面的にゆだねられた立場にあった。
  • その際、③患者の重篤な状態を認識し、自らが救命できるとする根拠はなかった。
  • 以上から、被告人は直ちに患者の生命維持に必要な医療措置を受けさせる義務を負っていた。

結論

  • この義務に反し、未必的殺意をもって医療措置を受けさせないまま放置して患者を死亡させた被告人には、不作為による殺人罪が成立する。
  • 殺意のない患者の親族との間では、保護責任者遺棄致死罪の限度で共同正犯となる。

判決文から

「被告人は,自己の責めに帰すべき事由により患者の生命に具体的な危険を生じさせた上,患者が運び込まれたホテルにおいて,被告人を信奉する患者の親族から,重篤な患者に対する手当てを全面的にゆだねられた立場にあったものと認められる。」

作為義務の根拠=先行行為と全面的委託

「被告人は,患者の重篤な状態を認識し,これを自らが救命できるとする根拠はなかったのであるから,直ちに患者の生命を維持するために必要な医療措置を受けさせる義務を負っていたものというべきである。」

義務の内容と、認識・救命根拠の欠如

「殺意のない患者の親族との間では保護責任者遺棄致死罪の限度で共同正犯となると解するのが相当である。」

故意の異なる者の共同正犯の処理

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。