病院開設中止勧告事件
医療法上は行政指導である病院開設中止勧告について、保険医療機関指定への影響を重視して処分性を肯定した判例
出題:司法H22・司法H25・司法R5・司法R7・予備H30・予備R7
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成14(行ヒ)207 勧告取消等請求事件
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 民集 第59巻6号1661頁
- 参照法条
- 医療法(平成9年法律第125号による改正前のもの)30条の7、健康保険法(平成10年法律第109号による改正前のもの)43条ノ3第2項、行政事件訴訟法3条1項、2項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
医療法(平成9年法律第125号による改正前のもの)30条の7の規定に基づき都道府県知事が病院を開設しようとする者に対して行う病院開設中止の勧告と抗告訴訟の対象
裁判要旨
医療法(平成9年法律第125号による改正前のもの)30条の7の規定に基づき都道府県知事が病院を開設しようとする者に対して行う病院開設中止の勧告は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
解説
事案
Xは富山県高岡市で病床数400床の病院の開設を計画し、平成9年3月、富山県知事Yに医療法7条1項の開設許可を申請した。Yは同年10月、医療法30条の7に基づき、高岡医療圏の病床数が地域医療計画の必要病床数に達していることを理由に、病院開設を中止するよう勧告した(本件勧告)。Xはこれを拒否し、速やかな許可を求めた。
Yは同年12月に開設許可をした。同日、富山県厚生部長名の文書が送付され、そこには「中止勧告にもかかわらず病院を開設した場合には、昭和62年保険局長通知により保険医療機関の指定の拒否をすることとされている」旨の記載があった(本件通告部分)。
Xは、本件勧告の取消し、または本件通告部分(負担付き許可の負担部分であると主張)の取消しを求めて出訴した。原審は、勧告に従わなくても必然的に指定が拒否されるわけではないとして処分性を否定し、訴えをいずれも却下した。
争点
- 医療法30条の7に基づく病院開設中止勧告は、行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たるか
- 許可処分とともに送付された厚生部長名の通告部分を取消訴訟の対象とできるか
判旨
結論
- 本件勧告については処分性を肯定した。原判決のうちこの部分を破棄し、第1審判決を取り消して富山地裁に差し戻した。
- 本件通告部分については、厚生部長名の文書を知事がした中止勧告と解することはできないとして、訴え却下を是認した。
規範(答案用)
- 病院開設中止勧告は、医療法上は任意の服従を期待する行政指導として定められている。
- しかし、従わない場合には相当程度の確実さをもって保険医療機関の指定を受けられなくなるという結果をもたらす。
- 国民皆保険制度の下では、指定を受けられなければ実際上病院開設自体を断念せざるを得ない。
- この指定への効果と、病院経営における指定の意義を併せ考えると、勧告は行訴法3条2項の処分に当たる。
- 後に指定拒否処分を抗告訴訟で争えることは、この結論を左右しない。
判決文から
「当該勧告を受けた者に対し,これに従わない場合には,相当程度の確実さをもって,病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものということができる。」
後続の不利益との結びつきを「相当程度の確実さ」で認定
「保険医療機関の指定を受けることができない場合には,実際上病院の開設自体を断念せざるを得ないことになる。」
国民皆保険下での事実上の強制力を示す部分
「この勧告は,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たると解するのが相当である。」
処分性肯定の結論部分(要旨)
「後に保険医療機関の指定拒否処分の効力を抗告訴訟によって争うことができるとしても,そのことは上記の結論を左右するものではない。」
後続処分で争えることを理由とする否定論を排斥
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
