小田急高架訴訟(大法廷判決)
都市計画事業認可の取消訴訟で、行訴法9条2項を用い、著しい被害を直接受けるおそれのある周辺住民に原告適格を認めた
出題:司法H24・予備H29・予備H30・予備R3・予備R7
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 平成16(行ヒ)114 小田急線連続立体交差事業認可処分取消,事業認可処分取消請求事件
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 民集 第59巻10号2645頁
- 参照法条
- 行政事件訴訟法9条,都市計画法(平成11年法律第160号による改正前のもの)59条2項,都市計画法(平成7年法律第14号による改正前のもの)13条1項,都市計画法(平成11年法律第160号による改正前のもの)61条,公害対策基本法19条,環境基本法17条,東京都環境影響評価条例(昭和55年東京都条例第96号。平成10年東京都条例第107号による改正前のもの)24条,東京都環境影響評価条例(昭和55年東京都条例第96号。平成10年東京都条例第107号による改正前のもの)25条,東京都環境影響評価条例(昭和55年東京都条例第96号。平成10年東京都条例第107号による改正前のもの)45条,東京都環境影響評価条例(昭和55年東京都条例第96号。平成14年東京都条例第127号による改正前のもの)2条3号,東京都環境影響評価条例(昭和55年東京都条例第96号。平成10年東京都条例第107号による改正前のもの)2条5号,東京都環境影響評価条例(昭和55年東京都条例第96号。平成10年東京都条例第107号による改正前のもの)13条1項,東京都環境影響評価条例(昭和55年東京都条例第96号。平成10年東京都条例第107号による改正前のもの)別表3号
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
1 都市計画事業の認可の取消訴訟と事業地の周辺住民の原告適格 2 鉄道の連続立体交差化を内容とする都市計画事業の事業地の周辺住民が同事業の認可の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例 3 鉄道の連続立体交差化に当たり付属街路を設置することを内容とする都市計画事業の事業地の周辺住民が同事業の認可の取消訴訟の原告適格を有しないとされた事例
裁判要旨
1 都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち同事業が実施されることにより騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,都市計画法(平成11年法律第160号による改正前のもの)59条2項に基づいてされた同事業の認可の取消訴訟の原告適格を有する。 2 鉄道の連続立体交差化を内容とする都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち同事業に係る東京都環境影響評価条例(昭和55年東京都条例第96号。平成10年東京都条例第107号による改正前のもの)2条5号所定の関係地域内に居住する者は,その住所地が同事業の事業地に近接していること,上記の関係地域が同事業を実施しようとする地域及びその周辺地域で同事業の実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれがある地域として同条例13条1項に基づいて定められたことなど判示の事情の下においては,都市計画法(平成11年法律第160号による改正前のもの)59条2項に基づいてされた同事業の認可の取消訴訟の原告適格を有する。 3 鉄道の連続立体交差化に当たり付属街路を設置することを内容とする都市計画事業が鉄道の連続立体交差化を内容とする都市計画事業と別個の独立したものであること,上記付属街路が鉄道の連続立体交差化に当たり環境に配慮して日照への影響を軽減することを主たる目的として設置されるものであることなど判示の事情の下においては,付属街路の設置を内容とする上記事業の事業地の周辺に居住する住民は,都市計画法(平成11年法律第160号による改正前のもの)59条2項に基づいてされた同事業の認可の取消訴訟の原告適格を有しない。 (1,2につき補足意見,3につき補足意見及び反対意見がある。)
解説
事案
建設大臣は平成6年5月19日、都市計画法59条2項に基づき、東京都に対して2種類の認可をした。
- 本件鉄道事業認可:小田急小田原線の喜多見駅付近から梅ヶ丘駅付近までの区間を連続立体交差化(嵩上式・一部掘割式)する都市計画事業の認可。
- 本件各付属街路事業認可(6件):同区間の一部に付属街路を設置する都市計画事業の認可。付属街路は、高架化による沿線の日照への影響の軽減を主たる目的とし、交通処理、緊急車両の通行、街づくり等も目的とする。
上告人らは鉄道事業の事業地の周辺に居住し、事業地内の不動産に権利を持たない。一部の者は付属街路9号線・10号線の事業地内に土地等の権利を有していた。
東京都環境影響評価条例(本件条例)は、対象事業が環境に著しい影響を及ぼすおそれのある地域を「関係地域」と定めることとしており(2条5号、13条1項)、上告人らの一部はこの関係地域内に居住していた。
原審は、事業地内の不動産に権利を有しない周辺住民の原告適格を否定した。
争点
- 都市計画事業認可(都市計画法59条2項)の取消訴訟において、事業地内に権利を有しない周辺住民は行訴法9条1項の「法律上の利益を有する者」に当たるか
- 原告適格を有する周辺住民の範囲をどう画するか
- 鉄道事業と密接に関連する付属街路事業の認可について、事業地内に権利を有しない周辺住民は原告適格を有するか
判旨
一般論:「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項)とは、処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害され、または必然的に侵害されるおそれのある者をいう。処分の根拠法規が、不特定多数者の具体的利益を一般的公益に吸収解消させるにとどめず、個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むときは、その利益も法律上保護された利益に当たる。処分の相手方以外の者については、9条2項に従い、法令の文言のみによらず、次の事情を考慮して判断する。
- 法令の趣旨・目的(目的を共通にする関係法令の趣旨・目的も参酌する)
- 処分で考慮されるべき利益の内容・性質(違法な処分で害される利益の内容・性質、害される態様・程度も勘案する)
規範:都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち、事業の実施により騒音・振動等による健康または生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は、事業認可の取消訴訟の原告適格を有する。これと抵触する限度で最判平成11年11月25日を変更した。
あてはめ:
- 本件条例の関係地域内に居住する者は、鉄道事業認可の取消しの原告適格を有する。
- 関係地域外の者は、原告適格を有しない。
- 付属街路事業は鉄道事業とは別個独立の事業であり、認可ごとに検討すべきである。付属街路の目的・規模等から著しい被害のおそれは認められず、事業地内に権利を有する者を除き原告適格を有しない。
判決文から
「当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し」
9条2項の考慮事項を一般論として示した部分
「この具体的利益は,一般的公益の中に吸収解消させることが困難なものといわざるを得ない。」
個別的利益性を肯定する決め手の判示
「都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,当該事業の認可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として」
答案に書く原告適格の規範そのもの
「最高裁平成8年(行ツ)第76号同11年11月25日第一小法廷判決・裁判集民事195号387頁は,以上と抵触する限度において,これを変更すべきである。」
事業地内権利者限定説の判例変更
「本件各付属街路事業は,本件鉄道事業と密接な関連を有するものの,これとは別個のそれぞれ独立した都市計画事業であることは明らかであるから」
原告適格は処分ごとに判断するとした部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
