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最決平成17年12月6日

別居中の共同親権者である父が、母の監護下にある2歳の子を有形力で連れ去った行為に、未成年者略取罪の成立を認めた。

刑法自由・名誉・信用に対する罪本試験で 7 問(短答 7・論文 0)

出題:司法H22・司法H29・司法H30・司法R4・司法R8・予備H29・予備R4

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
平成16(あ)2199 未成年者略取被告事件
裁判
決定・棄却
判例集
刑集 第59巻10号1901頁
参照法条
刑法35条,刑法224条,民法818条,民法820条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

母の監護下にある2歳の子を別居中の共同親権者である父が有形力を用いて連れ去った略取行為につき違法性が阻却されないとされた事例

裁判要旨

母の監護下にある2歳の子を有形力を用いて連れ去った略取行為は, 別居中の共同親権者である父が行ったとしても,監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情が認められず,行為態様が粗暴で強引なものであるなど判示の事情の下では,違法性が阻却されるものではない。(補足意見及び反対意見がある。)

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人は、妻Bに暴力を振るったことからBと別居していた。Bは長男C(当時2歳)を連れて八戸市の実家に移り、両親とともにCを養育していた。Bは夫婦関係調整の調停や離婚訴訟を起こして係争中であったが、被告人の親権・監護権を制約する法的処分はまだなかった。

被告人はCと会うこともままならないため、Cを奪って自ら監護養育しようと考えた。保育園から祖母DがCを連れ帰ろうとした際、そのすきをついて背後からCを抱きかかえた。そして、ドアロックをせずエンジンをかけたままにしておいた自車まで全力で走り、運転席に乗り込んでドアをロックした。Dがドアノブを引いたり窓ガラスをたたいて制止したが、意に介さず発進して連れ去った。

同日夜、民家のない林道上の車内で発見され、逮捕された。被告人は同年8月にも、知人女性に身内を装わせてCを保育園から連れ出させ、9日間支配下に置いたことがあった。

争点

  • 共同親権者の一方が、他方の監護下にある子を連れ去る行為は、未成年者略取罪(刑法224条)の構成要件に該当するか
  • 行為者が親権者であることは、犯罪論のどの段階で考慮されるか
  • 本件で違法性が阻却されるか(判断の枠組み)

判旨

上告棄却。未成年者略取罪の成立を認めた。

  • 構成要件該当性:共同親権者の一方が、他方の監護下で平穏に生活している子を有形力で連れ去り、保護されている環境から引き離して自己の事実的支配下に置いた行為は、未成年者略取罪の構成要件に該当する。
  • 親権者であることの位置づけ:行為者が親権者の1人であることは、違法性が例外的に阻却されるかどうかの判断で考慮される事情にとどまる。
  • 違法性阻却の判断:次の2点を検討する。
  • ①その行為に出ることが、子の監護養育上現に必要とされるような特段の事情があるか(正当性)
  • ②家族間の行為として社会通念上許容されうる枠内にとどまるか
  • あてはめ:本件では①の特段の事情がない。また、行為態様が粗暴・強引であること、Cが2歳の幼児であること、略取後の監護養育の確たる見通しがないことから、②もいえない。よって違法性は阻却されない。

判決文から

「その行為が未成年者略取罪の構成要件に該当することは明らかであり,被告人が親権者の1人であることは,その行為の違法性が例外的に阻却されるかどうかの判断において考慮されるべき事情であると解される」

親権者性を違法性阻却段階で考慮する枠組み

「Cの監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情は認められないから,その行為は,親権者によるものであるとしても,正当なものということはできない。」

正当性判断の基準(特段の事情)

「家族間における行為として社会通念上許容され得る枠内にとどまるものと評することもできない。」

社会的相当性の判断基準

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。